指揮官の休日 No.054 『乾杯』
2017/12/08 (Fri) 08:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、No.062 プロトコール後進国? を掲載いたしております。
世界に冠たる「おもてなし」ができる日本への注文です。
詳しくは、http://aegis-cms.co.jp/965 をご覧ください。
No.054 『乾杯』
「齢を取ると・・・」などと言う歳になったのか、と自分でもつくづく思いますが、齢をとると涙腺が脆くなるのは事実かも知れません。
時々、会合などで話をして欲しいと頼まれることがあります。
世の中には常時20万人の制服自衛官がいます。彼らは通常は塀の中や山の中、海の上、あるいは雲の上にいて、街にいるときは制服を着ていないので、警察官や消防官よりも見かけることがない存在だからだと思いますが、私の元の職業がよほど特殊だと思われているらしく、何か話を・・とのご要望を受けることがあるのです。
皆さんのご期待に応えて、本当に「エーッ!」という面白い話をしたいとは思うのですが、いろいろな制約があって、なかなか講演などでお話しすることはできません。
仕方なく、皆様がよくご存じの話を、切り口を変えてお話しすることが多くなります。
最近も母校のOB会で、東日本大震災の話をさせて頂きました。
これは私が海上自衛隊を退官した年に起こった大規模災害であり、忘れようにも忘れられない事件であると同時に、風化させるにはまだ早いと思っているからです。
講演のタイトルは「3.11 自衛隊の闘い」としました。
「戦い」ではなく「闘い」としたのは、自衛隊にとっては文字通り死に物狂いの闘いであり、しかし、敵と戦ったのではなかったからです。
自衛隊にとって3.11とは自分との闘いでした。我が国の歴史上最悪の自然災害と原発事故という状況下、自らも被災し、家族の行方も分からないまま救難活動に出動した隊員も多く、また、崩壊した自宅に戻ったところに召集命令が伝達されて出頭してきた予備自衛官もいました。
この大規模災害に際して、10万名の自衛官が動員されましたが、それは全兵力の約半分です。
残りの半分は何をしていたのでしょうか。
22万名の自衛官が我が国の独立と平和を守るために任務に就いているのですが、その半数が東北での災害派遣に従事しているため、残りの半数がその任務をこなしていたのです。
22万名でも絶えず兵力不足に悩まされているのに、その半数で任務を遂行しなければならず、こちらも「闘い」でした。
我が国の惨事と世界の安全保障情勢がリンクしている訳もなく、ロシアや中国は、その大惨事に翻弄されている我が国の即応態勢がどうなっているのかをチェックするために防空識別圏への侵入を繰り返しました。
航空自衛隊は我が国の態勢を偵察に来る外国軍用機に対する対領空侵犯措置を怠らず、海上自衛隊もソマリア沖で行っている海賊対処行動を継続し、かつ、尖閣諸島周辺海域への監視も緩めませんでした。
陸上自衛隊は、東北に全国から部隊を送り込み、一方で、もともと14万名で行う本土防衛を半数で行うための態勢を構築し直しました。
日本の各国の大使館にいる駐在武官たちは、自衛隊がどのように反応するのかを興味深く見守っていました。戦場に出たことの無い自衛隊の本当の実力が分かるからです。
彼らは海上自衛隊が自衛艦隊司令官の「可動全艦、直ちに出航せよ。」というシンプルさにおいて前代未聞の命令下令後、58分間に42隻を出航させたことに驚嘆しました。
完全な停泊状態にあった軍艦を1時間でこれだけの数を出航させることのできる海軍は世界に他にないからです。
世界は陸上自衛隊のヘリコプターが水素爆発を繰り返した原発の炉心直上で散水を行ったことにも驚嘆しました。
日本政府の対応に不信感を持ち、放射能汚染を恐れて遥か沖合に避退していた米海軍は、この陸上自衛隊の決死の行動を見て、「自衛隊は本気だ」と戻ってきました。
この3.11は自衛隊にとっては本当の「激闘」でした。
このことと、私の涙腺が緩くなりつつあることの関係は何だ?と思っておられる方もおられるかと思います。
長渕剛という歌手がいます。私と同じ世代で、極めて人気のあるシンガーソングライターです。私はそのジャンルの音楽をあまり聴かないので、特に好きな歌手というわけでもありませんでした。
その長渕剛さんが、東日本大震災に際し、ボランティア活動のために東北にやってきたのです。
東日本大震災でボランティア活動をした芸能人は多数います。
ツイッターなどにも全く何も喋らず、一切マスコミに隠れて倒壊した家屋の跡片付けなどの重労働をしていた俳優に同じくボランティア活動をしていた私の息子が会っていますが、他にも大勢の方が東北へ行ったのだろうと思います。
多くの芸能人は、避難所で歌を歌ったり、炊き出しを行ったりしていましたが、この時の長渕剛さんが何をやったかというと、災害派遣に従事している自衛隊の慰問をしてくれたのです。
航空自衛隊の松島航空基地は、その基地自体が津波に襲われて、母基地としていたブルーインパルスが避退できずに機体を水没させるという被害を出しましたが、東北への災害派遣になくてはならない基地であるとの認識から、全力で機能を回復させ、この基地を足掛かりとして仙台空港の機能を回復させることが出来ました。
その後も、現地に空輸される膨大な物資をハンドリングするターミナル業務や東北の空域を飛行する航空機に対する補給支援などの業務で、全国から出動してきた隊員たちが忙殺されていたのですが、そこへ彼がやってきたのです。
格納庫に臨時にステージが作られ、溢れんばかりの自衛官が集まり、彼の歌を聴きました。
そこで最後に行われたのが彼の名曲の『乾杯』の大合唱です。
格納庫に集まった作業服にヘルメット姿の隊員たちが肩を組み、大声で歌いました。
皆疲れ切っているはずなのに、満面の笑顔です。
この様子は今も動画で観ることが出来ます。
YouTubeで配信されています。https://www.youtube.com/watch?v=EMtbGbGLQ2A
是非、ご覧ください。
航空自衛隊の基地なのですが、私の知っている隊員も2名映っています。
このビデオを観ると、いまだに本当に涙腺が緩む思いをします。
ほとんどの隊員が、まだ寒い東北の基地で、ほとんど寝る間もない作業に忙殺されていたはずです。
自分たちが自衛隊創設以来最大の任務に従事しているという自覚を持ち、「俺たちがやらなきゃ誰がやるんだ?」という思いで必死の働きをしていたのを私はよく知っています。皆、自分たちの限界が試されていることを理解していました。
「みんな、がんばったなぁ」と映っている一人一人に声を掛けてやりたくなるのです。
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No.062 プロトコール後進国? を掲載しています。
「おもてなし」というのは日本の得意芸であり、世界中の人々が感動する私たち日本人の美徳だと思っています。
アメリカでもイギリスでも、それなりのホテルやレストランなどに行くと、思わず唸りたくなる心遣いがされていることに気付くことがありますが、日本の「おもてなし」はそれらに一歩も引けを取らないでしょう。
日本流の「おもてなし」は、欧米のそれと質は異なるように思います。相手が気が付かないように行うのを美徳としているようです。誰も気が付かないような細部にまで心遣いをしていながら、そんなことはしていませんよ、という風を装ってしまうのが日本のおもてなしには顕著であるように思うのですが、いかがでしょうか。
続きはこちらでご覧ください。
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お薦めの書籍
『決定の本質』
グレアム・アリソン
中央公論社
意思決定論を学ぶ者の必読書であると同時に、社会科学を学ぶ者にとって、パラダイムの構築ということはどういうことなのかについて大きなヒントを与えてくれる本です。内容については、ウェブサイトの専門コラム No.028 決定の本質 をご覧ください。
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新刊書案内
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
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開催予定セミナーのご案内
スペシャルセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変えるクライシスマネジメントの5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシスマネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
経営トップの皆様、役員、各部門の長の方々のご参加をお勧めします。
開催場所:ホテルグランドヒル市ヶ谷
東京都新宿区市ヶ谷本村町4-1
開催時期:1月30日(火) 13:00~16:00
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
エクゼクティブセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変える経営トップのための5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシスマネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
スペシャルセミナーの内容を踏襲しつつ、特に経営トップのために企画されたセミナーです。部隊指揮官、企業の役員、経営者を経験している講師が、経営トップの皆様に特に伝えたい思いを語ります。
経営トップ、役員等の方々限定のセミナーです。
開催場所: 当社鎌倉極楽寺セミナーハウス
リゾート感覚溢れる湘南鎌倉の隠れ家的セミナーハウスです。
限定少人数で開催いたします。
(住所は公開しておりません。参加の方に個別にお知らせします。)
開催時期: 平成30年1月26日(金) 13:00~16:00
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
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その他
特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であっても、日程の調整を承ります。
セミナーについて、詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるのかどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたいと考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がないので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂きます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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No.054 『乾杯』
「齢を取ると・・・」などと言う歳になったのか、と自分でもつくづく思いますが、齢をとると涙腺が脆くなるのは事実かも知れません。
時々、会合などで話をして欲しいと頼まれることがあります。
世の中には常時20万人の制服自衛官がいます。彼らは通常は塀の中や山の中、海の上、あるいは雲の上にいて、街にいるときは制服を着ていないので、警察官や消防官よりも見かけることがない存在だからだと思いますが、私の元の職業がよほど特殊だと思われているらしく、何か話を・・とのご要望を受けることがあるのです。
皆さんのご期待に応えて、本当に「エーッ!」という面白い話をしたいとは思うのですが、いろいろな制約があって、なかなか講演などでお話しすることはできません。
仕方なく、皆様がよくご存じの話を、切り口を変えてお話しすることが多くなります。
最近も母校のOB会で、東日本大震災の話をさせて頂きました。
これは私が海上自衛隊を退官した年に起こった大規模災害であり、忘れようにも忘れられない事件であると同時に、風化させるにはまだ早いと思っているからです。
講演のタイトルは「3.11 自衛隊の闘い」としました。
「戦い」ではなく「闘い」としたのは、自衛隊にとっては文字通り死に物狂いの闘いであり、しかし、敵と戦ったのではなかったからです。
自衛隊にとって3.11とは自分との闘いでした。我が国の歴史上最悪の自然災害と原発事故という状況下、自らも被災し、家族の行方も分からないまま救難活動に出動した隊員も多く、また、崩壊した自宅に戻ったところに召集命令が伝達されて出頭してきた予備自衛官もいました。
この大規模災害に際して、10万名の自衛官が動員されましたが、それは全兵力の約半分です。
残りの半分は何をしていたのでしょうか。
22万名の自衛官が我が国の独立と平和を守るために任務に就いているのですが、その半数が東北での災害派遣に従事しているため、残りの半数がその任務をこなしていたのです。
22万名でも絶えず兵力不足に悩まされているのに、その半数で任務を遂行しなければならず、こちらも「闘い」でした。
我が国の惨事と世界の安全保障情勢がリンクしている訳もなく、ロシアや中国は、その大惨事に翻弄されている我が国の即応態勢がどうなっているのかをチェックするために防空識別圏への侵入を繰り返しました。
航空自衛隊は我が国の態勢を偵察に来る外国軍用機に対する対領空侵犯措置を怠らず、海上自衛隊もソマリア沖で行っている海賊対処行動を継続し、かつ、尖閣諸島周辺海域への監視も緩めませんでした。
陸上自衛隊は、東北に全国から部隊を送り込み、一方で、もともと14万名で行う本土防衛を半数で行うための態勢を構築し直しました。
日本の各国の大使館にいる駐在武官たちは、自衛隊がどのように反応するのかを興味深く見守っていました。戦場に出たことの無い自衛隊の本当の実力が分かるからです。
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日本政府の対応に不信感を持ち、放射能汚染を恐れて遥か沖合に避退していた米海軍は、この陸上自衛隊の決死の行動を見て、「自衛隊は本気だ」と戻ってきました。
この3.11は自衛隊にとっては本当の「激闘」でした。
このことと、私の涙腺が緩くなりつつあることの関係は何だ?と思っておられる方もおられるかと思います。
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その長渕剛さんが、東日本大震災に際し、ボランティア活動のために東北にやってきたのです。
東日本大震災でボランティア活動をした芸能人は多数います。
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多くの芸能人は、避難所で歌を歌ったり、炊き出しを行ったりしていましたが、この時の長渕剛さんが何をやったかというと、災害派遣に従事している自衛隊の慰問をしてくれたのです。
航空自衛隊の松島航空基地は、その基地自体が津波に襲われて、母基地としていたブルーインパルスが避退できずに機体を水没させるという被害を出しましたが、東北への災害派遣になくてはならない基地であるとの認識から、全力で機能を回復させ、この基地を足掛かりとして仙台空港の機能を回復させることが出来ました。
その後も、現地に空輸される膨大な物資をハンドリングするターミナル業務や東北の空域を飛行する航空機に対する補給支援などの業務で、全国から出動してきた隊員たちが忙殺されていたのですが、そこへ彼がやってきたのです。
格納庫に臨時にステージが作られ、溢れんばかりの自衛官が集まり、彼の歌を聴きました。
そこで最後に行われたのが彼の名曲の『乾杯』の大合唱です。
格納庫に集まった作業服にヘルメット姿の隊員たちが肩を組み、大声で歌いました。
皆疲れ切っているはずなのに、満面の笑顔です。
この様子は今も動画で観ることが出来ます。
YouTubeで配信されています。https://www.youtube.com/watch?v=EMtbGbGLQ2A
是非、ご覧ください。
航空自衛隊の基地なのですが、私の知っている隊員も2名映っています。
このビデオを観ると、いまだに本当に涙腺が緩む思いをします。
ほとんどの隊員が、まだ寒い東北の基地で、ほとんど寝る間もない作業に忙殺されていたはずです。
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特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であっても、日程の調整を承ります。
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