指揮官の休日 No.033 万歳の正しい作法
2017/07/14 (Fri) 08:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、No.041 災害報道 を掲載いたしております。
大規模災害時における報道の問題について論究しています。
詳しくは、http://aegis-cms.co.jp/635 をご覧ください。
No.033 万歳の正しい作法
私は公務員生活を30年ほど経験しています。海の上にいることもありましたが、不幸なことに東京の防衛省での役人暮らしが多かったように思います。
中央にいると、他省庁の役人と業務調整をすることがよくあります。各省庁ごとにいろいろなカラーがあって面白いのですが、それもそれぞれの省庁が背負っている歴史によるところが大きいようです。
防衛省などは戦後にできた役所ですので、あまり古いものは引き摺っていないのですが、財務省や外務省、あるいは当時の運輸省などの役人と話していると面白いことがあります。
「この根拠は何ですか?」と訊くと、「太政官布告第○○号です。」などと答えが返ってくることがあって、慣れるまではびっくりしていました。
宮内庁などは2000年くらいの歴史を引き摺っていますので、内部ではもっととんでもない会話が飛び交っているのではないかと推測しています。
国の法律や規則などは、改正されたり廃止されたりしなければそのまま効力を持ち続けるので、現在も生きている太政官布告があるのです。
例えば、日本の国旗は、平成11年に「国旗及び国歌に関する法律」が施行されるまでは、明治3年に太政官布告として定められた商船規則に商船に掲げる旗として規定されていたのが日章旗を国旗とする根拠でした。
平成11年まで、太政官布告を根拠として日章旗を国旗としていたのです。
私たち日本人は、何かお目出度いことがあったり、誰かを激励したりする際に「万歳」をよく行います。日常では何気なく誰かが音頭を取って万歳三唱をしていますが、実はこの万歳のやり方については規則があるのをご存知でしょうか。
明治12年4月1日、太政官布告第168号の「萬歳三唱令」及び「萬歳三唱令の細部実施要領」によって、万歳のやり方が規定されています。
次のとおりです。
萬歳三唱令.施行明治十二年四月一日
太政宮布告第百六十八号-
第一条
萬歳三唱は大日本帝国及ぴ帝国臣民の天壌無窮の発展を祈念し発声するものとす。
第二条
発声にあたってはその音頭をとる者は気力充実態度厳正を心掛けるべし、また唱和する者は全員その心を一にして声高らかに唱和するものとす。
第三条
唱和要領の細部については捌に定む
朕萬歳三唱令を裁可し之を公布せしむ 此布告は明治十二年四月一臼より施行すへきことを命す
萬歳三唱令の細部案施要領
一 萬歳三喝の実施にあたっての基本姿勢は直立不動の姿勢なり この際両手を真っ直く 下方に伸はし体側にしっかり替けるものとす
二 万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を垂直に高々と挙げるべし この際両手指が真っ直ぐに伸びかつ両掌を正しく内側に向けておくことが肝要なり
三 万歳の発声終了と同時に素早く元の不動の姿勢に涙るへし
四 .以上の動作を両三度繰り返して行うへし いすれの動作をとるにあたっても節度を持しかつ気迫を込めて行うことか肝要なり
要するに、いい加減に両手を上げて「バンザ~ィ」などとやるのではなく、直立不動の姿勢から右足を半歩踏み出し、両手の平を内側に向けて耳の横で真上に真っ直ぐ伸ばし、全員が心を一つにして声高く「万歳」を唱和するという動作を節度と気迫を持って3回繰り返すというものです。
これを読まれた皆様は、今後、いい加減な気持ちで万歳三唱など出来なくなるはずです。三唱をする際には、この太政官布告を思い出して、心してご発声をお願いいたします。何せ、国が定めた規則があるのですから。
かつて、幹部候補生学校を卒業して任官し、3年ほど初任幹部としていろいろな船に乗組んで様々な経験を積んだ後、初めて海上幕僚監部のスタッフとして東京に着任して夜遅くまで勤務していた頃、先輩のスタッフから「オイ若いの、候補生学校でしっかりと万歳のやり方を習ってきたか?」と言われ、この太政官布告について教えられました。
それまでの艦隊勤務とは全く異なる役人の仕事をさせられて戸惑うことばかりだった私は、この太政官布告を見て、国の官僚機構というのはほんとにとんでもない組織だなぁと感心したのを覚えています。
騙されていたと知ったのは、数年後、2回目の海幕勤務を命ぜられて東京へ戻った時でした。
さすがにお役所仕事にも慣れ、どうもこの太政官布告の胡散臭さが気になっていました。施行日と布告番号はあるのに布告日の記載がないのが変だなと思ったのと、各省庁の役人も知っているにもかかわらず、その文言が微妙に異なるのが気になったのです。
海幕勤務では月曜日に出勤して金曜日に帰宅するというような勤務が別に珍しくないのですが、ある夜、例によって夜遅くオフィスで仕事をしていて一段落がついた時、思いついたことがあって、この太政官布告を調べ始めました。どうせ終電に間に合わないので、その日も泊まるつもりでいたのでしょう。
そこで分かったのは、この太政官布告は存在しないということでした。
どこの省の誰が作ったのか分かりませんが、このころ霞が関を中心とした官庁街で出回っていた怪文書らしく、法令データベースに登録されていないのです。
中央官庁の役人は深夜まで勤務していることが珍しくありません。国会で大臣が議会における質問に答弁するするための資料を作らなければならず、質問する議員が趣意書を前日までに国会に送付してくるのですが、これが前日の夜11時などということが珍しくなく、それから担当省庁に振り分けられ、各省で調整しながら答弁資料を作るので、どうしても深夜になるのです。
昼間は会議やかかってくる電話が多くて、まとまった作業をしようとすると夜にならざるを得ないという事情もあります。
多分、そのような勤務をしていたどこかの省の役人が、忙中に閑を見つけて、茶目っ気を出して書き上げたものかと推測されます。
しかし、役人らしいもっともらしい書かれ方がされており、かなり頭のいい奴が書いたんだろうなぁと感心したりしていました。明治のお役所の文書の特徴が凝縮したような書きぶりだからです。
皆様も、役職やお立場によって宴会などで「万歳のご発声をお願いします。」などと頼まれることがあるかと思います。その際に、この「万歳三唱令」について解説してから万歳を行うと、結構面白い「万歳三唱」になります。本当に信じ込んでお帰りになる方もいらっしゃるので可笑しくて仕方ありません。罪のない嘘なので、目くじら立てて怒られることもなく、私は大抵ほったらかしにしておきますので、いまだに信じている方もいらっしゃるかと思います。
騙されたと知った私はどうしたでしょうか?
当然のことながら、その頃、最初の艦隊勤務を卒業して海幕勤務を命ぜられて着任してきた後輩にしっかりと教えてやりました。
「オイ新人、候補生学校でちゃんと万歳のやり方は習ってきたんだろうな?」
「受けた教えはしっかりと後輩に申し継ぐ」 これが伝統を大切にする組織のやり方です。
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当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧ください
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専門コラム「指揮官の決断」掲載のご案内
No.041 災害報道 を掲載しています。
九州北部が記録的な豪雨に見舞われ、大きな被害が出ました。
被害の大きかった地区の1時間降雨量は130ミリ近かったと言われます。これがどれほど凄まじいものか、私自身は体験したことがないので分かりません。私の経験では80ミリが最大ですが、それを遥かに超える雨量ということで表現する言葉が見当たりません。80ミリを経験したのは石垣島の近くの洋上で、凄まじい波と戦っていたのですが、波の上にいるのか下にいるのか分からなくなるほどの雨の勢いでした。
続きはこちらでご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/635
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お薦めのセミナー
第5回事前防災・減災のための国土強靱化推進セミナー/危機管理ステージ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
企業や自治体のBCP、事前防災、水害/感染症対策に関する様々な取組みを紹介
2017年7月19日~21日、東京ビッグサイト・東2ホール(主催:日本能率協会)
~3日間で全15講演を企画~
・熊本地震に学ぶ自治体の防災マネジメント
・SCREENグループにおけるBCMの取り組み
・真の事業継続に向けた大成建設の取り組み
・タイにおける大水害後のBCPとグローバル展開の留意点
・豪雨対策など河川行政に関する最近の話題
・中外製薬のBCPへの取り組み、環境・安全・衛生を統合する意義とは
・東京メトロの大規模水害対策
・東日本大震災の教訓を生かした熊本地震の対応
・国際的大規模イベントにおけるリスクマネジメント
・東京都の帰宅困難者対策
・ISO22301を活用したBCMの推進~過去の災害経験を踏まえて~
・新型インフルエンザ等の対応から学ぶ航空会社の感染症対策
・フードディフェンスの課題と取り組みにおけるポイント
・茨城県常総市の豪雨災害での対応事例~
・水害にそなえて~都市型水害対策に対する東京都北区の取組~
詳細申込⇒ http://www.jma.or.jp/mente/outline/disaster.html#seminar
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「指揮官の決断/休日」
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開催予定セミナーのご案内
エクゼクティブセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変える経営トップのための5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシスマネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
スペシャルセミナーの内容を踏襲しつつ、特に経営トップのために企画されたセミナーです。部隊指揮官、企業の役員、経営者を経験している講師が、経営トップの皆様に特に伝えたい思いを語ります。
経営トップ、役員等の方々限定のセミナーです。
開催場所: 当社鎌倉極楽寺セミナーハウス
リゾート感覚溢れる湘南鎌倉の隠れ家的セミナーハウスです。
限定少人数で開催いたします。
(住所は公開しておりません。参加の方に個別にお知らせします。)
開催時期: 平成29年7月21日(金) 13:00~17:00
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
その他
特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であっても、日程の調整を承ります。
セミナーについて、詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるのかどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたいと考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がないので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂きます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
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No.033 万歳の正しい作法
私は公務員生活を30年ほど経験しています。海の上にいることもありましたが、不幸なことに東京の防衛省での役人暮らしが多かったように思います。
中央にいると、他省庁の役人と業務調整をすることがよくあります。各省庁ごとにいろいろなカラーがあって面白いのですが、それもそれぞれの省庁が背負っている歴史によるところが大きいようです。
防衛省などは戦後にできた役所ですので、あまり古いものは引き摺っていないのですが、財務省や外務省、あるいは当時の運輸省などの役人と話していると面白いことがあります。
「この根拠は何ですか?」と訊くと、「太政官布告第○○号です。」などと答えが返ってくることがあって、慣れるまではびっくりしていました。
宮内庁などは2000年くらいの歴史を引き摺っていますので、内部ではもっととんでもない会話が飛び交っているのではないかと推測しています。
国の法律や規則などは、改正されたり廃止されたりしなければそのまま効力を持ち続けるので、現在も生きている太政官布告があるのです。
例えば、日本の国旗は、平成11年に「国旗及び国歌に関する法律」が施行されるまでは、明治3年に太政官布告として定められた商船規則に商船に掲げる旗として規定されていたのが日章旗を国旗とする根拠でした。
平成11年まで、太政官布告を根拠として日章旗を国旗としていたのです。
私たち日本人は、何かお目出度いことがあったり、誰かを激励したりする際に「万歳」をよく行います。日常では何気なく誰かが音頭を取って万歳三唱をしていますが、実はこの万歳のやり方については規則があるのをご存知でしょうか。
明治12年4月1日、太政官布告第168号の「萬歳三唱令」及び「萬歳三唱令の細部実施要領」によって、万歳のやり方が規定されています。
次のとおりです。
萬歳三唱令.施行明治十二年四月一日
太政宮布告第百六十八号-
第一条
萬歳三唱は大日本帝国及ぴ帝国臣民の天壌無窮の発展を祈念し発声するものとす。
第二条
発声にあたってはその音頭をとる者は気力充実態度厳正を心掛けるべし、また唱和する者は全員その心を一にして声高らかに唱和するものとす。
第三条
唱和要領の細部については捌に定む
朕萬歳三唱令を裁可し之を公布せしむ 此布告は明治十二年四月一臼より施行すへきことを命す
萬歳三唱令の細部案施要領
一 萬歳三喝の実施にあたっての基本姿勢は直立不動の姿勢なり この際両手を真っ直く 下方に伸はし体側にしっかり替けるものとす
二 万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を垂直に高々と挙げるべし この際両手指が真っ直ぐに伸びかつ両掌を正しく内側に向けておくことが肝要なり
三 万歳の発声終了と同時に素早く元の不動の姿勢に涙るへし
四 .以上の動作を両三度繰り返して行うへし いすれの動作をとるにあたっても節度を持しかつ気迫を込めて行うことか肝要なり
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それまでの艦隊勤務とは全く異なる役人の仕事をさせられて戸惑うことばかりだった私は、この太政官布告を見て、国の官僚機構というのはほんとにとんでもない組織だなぁと感心したのを覚えています。
騙されていたと知ったのは、数年後、2回目の海幕勤務を命ぜられて東京へ戻った時でした。
さすがにお役所仕事にも慣れ、どうもこの太政官布告の胡散臭さが気になっていました。施行日と布告番号はあるのに布告日の記載がないのが変だなと思ったのと、各省庁の役人も知っているにもかかわらず、その文言が微妙に異なるのが気になったのです。
海幕勤務では月曜日に出勤して金曜日に帰宅するというような勤務が別に珍しくないのですが、ある夜、例によって夜遅くオフィスで仕事をしていて一段落がついた時、思いついたことがあって、この太政官布告を調べ始めました。どうせ終電に間に合わないので、その日も泊まるつもりでいたのでしょう。
そこで分かったのは、この太政官布告は存在しないということでした。
どこの省の誰が作ったのか分かりませんが、このころ霞が関を中心とした官庁街で出回っていた怪文書らしく、法令データベースに登録されていないのです。
中央官庁の役人は深夜まで勤務していることが珍しくありません。国会で大臣が議会における質問に答弁するするための資料を作らなければならず、質問する議員が趣意書を前日までに国会に送付してくるのですが、これが前日の夜11時などということが珍しくなく、それから担当省庁に振り分けられ、各省で調整しながら答弁資料を作るので、どうしても深夜になるのです。
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多分、そのような勤務をしていたどこかの省の役人が、忙中に閑を見つけて、茶目っ気を出して書き上げたものかと推測されます。
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その他
特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であっても、日程の調整を承ります。
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代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
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