指揮官の休日 No.020 「キャプテン・スミス事件」
2017/04/14 (Fri) 08:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、No.028 「決定の本質」 を掲載いたしております。
意思決定論に大きなパラダイムシフトをもたらした本について語っています。
詳しくは、http://aegis-cms.co.jp/549 をご覧ください。
No.020 「キャプテン・スミス事件」
『キャプテン・フィリップス』というトム・ハンクス主演のソマリア沖を航行するタンカーのハイジャック事件を扱った映画がありましたが、その話題ではありません。
1990年から2年間、私は海上自衛隊の連絡官として家族とともに米国東部に駐在していました。湾岸戦争があった年で、私は1等海尉(海軍大尉相当)でした。
ある日、打合せで別の部屋から自分の机に戻ってくると、「国防省のキャプテン・スミスから電話がありました。」というメモがありました。米国のオフィスでは日本のオフィスのように不在者にかかってきた電話を隣の人が取って伝言を聞いておいてくれるということはまずないのですが、私の近くで仕事をしているアリスさんというおばさんがとても親切で、時々電話を取ってくれるのです。
国防省に電話で話をするような関係の知り合いはおらず、まして大佐から電話があるというのは何事かと不思議に思ったのですが、それだけのメモで、アリスさんに聞いてもどういう用件なのかわからないということでした。
しばらくして、また打合せから戻ってくると同じメモが残っていることがありました。
そこで、アリスさんに次に電話があったら先方の連絡先を聞いておいてくれるように頼んでおきました。
それからまたしばらくして、同じ電話があったらしく、今度は国防省の電話番号が書かれていました。そこでこちらから電話をするとキャプテン・スミスの秘書が出て、本人は会議のため外出しており、今日は戻らないということでした。
たびたび電話を頂いているのだが、何の用か知らないかを尋ねたところ、次の週に私が勤務するオフィスのある基地に出張する用事があり、その際に是非お目にかかりたいと言っていたのでそのための連絡だと思うということでした。
国防省から何の用事があるのか分からなかったのですが、その秘書が、空港から私のいるオフィスまでは遠いのかと聞いてきたため、どうやって来るのかを尋ねました。
私が駐在していたのはペンシルヴァニア州の山の中にある海軍基地で、州都であるハリスバーグの空港からは車で30分弱のところでした。それを説明すると、それではレンタカーを手配しなければなどと秘書が言うので、「お迎えに上がるので、予定を教えて欲しい。」と伝えておきました。わざわざ大佐がお見えになるのに、放っておくわけにもいかないからです。
ファックスで予定などが送られてきたところによると、大した用事でもなさそうで、私に会うのが主目的のように思われました。
当日、私は緊張してハリスバーグの空港に出向き、到着ロビーでワシントンからの飛行機を待ちました。
国際空港とはいえ滑走路が一本しかない小さな空港で、ロビーからも到着便が見えるのですが、予定の便が着いて乗客のほとんどが出てきているのに肝心のスミス大佐が現れません。困惑していると、目の前に私と同じくらいの齢格好のジーンズにTシャツの女性がコーヒーの紙コップを持って立ち止まり、「貴方が海上自衛隊の林1尉か?」と聞いてきました。「そうだ」と答えると、彼女は「私は合衆国海兵隊のスミス大尉よ。(“ I’m Captain Smith, U.S.Marine Corps”)」と言ったのです。
私はキャプテン・スミスと言われて海軍大佐だと思い込んでいたのですが、キャプテンは海軍では大佐ですが、陸軍、空軍、海兵隊では大尉です。
海軍大佐が会いに来ると思い込んでいたので「お迎えに上がる」と申し出たのですが、大尉なら同じ階級なのでわざわざ迎えに行く必要もなかったのです。
米軍の士官は配置によっては大尉でも秘書が付いていることは珍しくないのですが、考えてみれば電話では秘書としか話をしたことがなかったので、本人が若い女性士官だとは思ってもみなかったのです。
基地へ車で戻る途中、来訪の理由を聞いたのですが、沖縄と岩国の海兵隊の基地に出張し、その後で東京での会議に出席する予定があるのだが、東京の会議まで1週間ほど間があり、一度帰国するのも面倒なのでそのまま日本に留まる予定で、その間、観光旅行を計画しているのだがアドバイスを欲しい、ということでした。基地に着くと着替えのために何処かへ姿を消していましたが、しばらくすると、なるほど海兵隊大尉の制服で現れました。
そんなことでわざわざワシントンから飛んでこなくても国防省の中のツーリストで聞けばいいじゃないかと思いましたが、これも日米の同盟関係の強化に資するなら仕方ないと自らを慰め、かつ、ワシントンの日本大使館にいる防衛駐在官にペンシルヴァニアに日本の親切な海軍大尉がいると聞いていたということで、もう来てしまっているし、目の前で無邪気にニコニコしているので、1時間ほどかけて1週間の観光旅行計画を立ててあげました。
数か月後、ほとんど忘れかけていたときに、奈良で鹿と一緒に撮った絵葉書が送られてきました。
この私にとっての大事件以後、米軍内で海軍の大佐とその他の軍種の大尉をどう呼び分けているのだろうかと気になっていました。
帰国してから何年か経ったある時、2等海佐(海軍中佐相当)になっていた私は防衛省が開催した「アジア太平洋安全保障セミナー」への参加を命ぜられました。防衛省が環太平洋地域各国の少佐から中佐くらいの軍人を集め、相互理解や信頼醸成を進めるためにセミナーを開催しているのです。
米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、フィリピン、シンガポール、マレーシア、タイなど普段から付き合いのある国の軍人だけではなく、ロシア、中国、ベトナム、インド、モンゴルなどあまりお付き合いの無い国の軍人も参加し、それぞれに陸・海・空自衛隊からホスト役として自衛官が参加し、約2週間にわたり行動を共にするのです。
その間、日本を理解してもらうために自衛隊の部隊見学や企業の工場見学、京都の史跡見学などが計画され、東京に戻って各国の安全保障政策の発表や、将来にわたる信頼醸成措置をどのようにしていくかなどの討議を行うのです。
この時、米国からは海兵隊の中佐が参加していました。彼とよく昼食を一緒にする機会があったので、ある時、「君らは海兵隊の大尉と海軍の大佐をどう呼び分けるんだ?」と訊いてみました。
中佐の彼は「そんなの簡単だ。俺が ” Captain, Good Morning, sir” (大佐殿、おはようございます。)と言えば相手は大佐だし、” Hey you, Captain“(おい、そこの大尉)と呼びかければ相手は大尉だ。」と言ってのけたのです。
二人で大笑いしましたが、参考にも何にもなりませんでした。
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当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧ください
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専門コラム「指揮官の決断」掲載のご案内
No.028 「決定の本質」 を掲載しています。
国際関係論や意思決定論を学ぶ者にとっての必読書にグレアム・アリソンの『決定の本質』という本があります。
私が学部の学生で、組織論を専攻しようと決めたものの、組織論の中で何を勉強しようかと悩んでいた時に出会った本で、ひょっとすると私のその後の進路に極めて大きな影響を与えた本かもしれません。
続きはこちらでご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/549
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お薦めの書籍
『山動く』
W.G.パゴニス 同文書院
湾岸戦争における後方支援作戦の総指揮官であったパゴニス陸軍中将の著。戦史において、これほど詳細にロジスティックスが語られたことはかつてありませんでした。壮大かつ緻密な作戦を遂行した指揮官のリーダーシップ論が語られています。
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当社は次の二つのタイプのセミナーを開催いたしております。
スペシャルセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変えるクライシスマネジメントの5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシスマネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
経営トップの皆様、役員、各部門の長の方々のご参加をお勧めします。
開催場所:ホテルグランドヒル市ヶ谷
東京都新宿区市ヶ谷本村町4-1
開催時期:4月24日(月) 13:00~17:00
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
エクゼクティブセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変える経営トップのための5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシスマネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
スペシャルセミナーの内容を踏襲しつつ、特に経営トップのために企画されたセミナーです。部隊指揮官、企業の役員、経営者を経験している講師が、経営トップの皆様に特に伝えたい思いを語ります。
経営トップ、役員等の方々限定のセミナーです。
開催場所: 当社鎌倉極楽寺セミナーハウス
リゾート感覚溢れる湘南鎌倉の隠れ家的セミナーハウスです。
限定少人数で開催いたします。
(住所は公開しておりません。参加の方に個別にお知らせします。)
開催時期: 平成29年4月21日(金) 13:00~17:00
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特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であっても、日程の調整を承ります。
セミナーについて、詳しくはこちらをご覧ください。
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コンサルティングのご案内 当社では4種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるのかどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたいと考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がないので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご要望には、個別に対応させて頂きます。
お気軽にご相談ください。
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海軍大佐が会いに来ると思い込んでいたので「お迎えに上がる」と申し出たのですが、大尉なら同じ階級なのでわざわざ迎えに行く必要もなかったのです。
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そんなことでわざわざワシントンから飛んでこなくても国防省の中のツーリストで聞けばいいじゃないかと思いましたが、これも日米の同盟関係の強化に資するなら仕方ないと自らを慰め、かつ、ワシントンの日本大使館にいる防衛駐在官にペンシルヴァニアに日本の親切な海軍大尉がいると聞いていたということで、もう来てしまっているし、目の前で無邪気にニコニコしているので、1時間ほどかけて1週間の観光旅行計画を立ててあげました。
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