指揮官の休日 No.096 世界一有名な募集広告に思うこと
2018/09/28 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、No.104 言論における責任とは を掲載しています。
マスメディアにおける発言に伴う責任のあり方を考えています。
詳しくは、https://aegis-cms.co.jp/1280 をご覧ください。
No.096 世界一有名な募集広告に思うこと
以前当メールマガジンでこの国には海洋文化がないと書いたところ、そんなことはないだろうというご批判を頂きました。
実はその前にも別のところで我が国には海洋文化が無いと発言したところ、海上自衛隊の先輩から「お前はものを知らん。日本には冠たる海洋文化がある。」として、志賀島に起源をもつ安曇族や世界遺産指定された宗像神社にゆかりの宗像族等の海人族が山陰、瀬戸内、北陸、信濃等に文化圏を形成しており、平安時代以降では倭寇の朝鮮・中国の侵略、九州、瀬戸内、紀伊半島の水軍の活躍、江戸時代には松前廻船等の海運業が発達する等の歴史があるとご教示頂きました。
確かに歴史的に海と共に生きてきた人々が日本にまったくいなかったと申し上げるつもりはありません。
しかし、あえて申し上げますが、我が国に海洋文化はありません。あるいは古代に日本の一部にあったかもしれませんが、ここ数百年あるいは1千年の間に、これらの海洋文化は耐えてしまい、根付くことがありませんでした。
安曇族や宗像族がどのような文化を持っていたのか、国民に共有されていないのです。その地の伝承であったり、歴史研究に関心を持つ方々には周知の事実かも知れませんが、それは我が国に根付いた文化と言えるものではありません。
現代の日本には海洋文化は残っていないし、これからもこの国に海洋文化が形成されることはないかと思っています。
さらに勘違いされては困るのは倭寇や水軍、松前廻船等の海運業などはこの国に海洋文化を育んでいません。
我が国は世界に冠たる海軍国であった歴史を持ち、また造船大国であったこともあります。現在も世界的な海運国です。しかし、だからといって海洋文化が芽生えたのでしょうか。
文化と文明は違うのです。
文明は生活の必要から発達します。生きていくのに必要な問題を解決する過程で発展していくのが文明です。
それは主として技術の発達から派生してきます。
世界の四大文明が農業技術を中心に勃興したことからも分かるように、お腹を満たす技術、生活を便利にする技術を生み出していくのが文明です。
文化はその対極にあります。文化では食べることができません。
生活を精神的に豊かにしますが、お腹を満たすことはできません。
その観点から見直せば、日本には海洋文化はまったく根付いていません。
以前、このメールマガジンでも申し上げましたが、書店に行けばすぐ分かります。
海をテーマとした本ばかりを集めた書店の何と少ないことか。
そしてやっと見つけたコーナーにあるのは釣りの本と小型船舶操縦士の受験参考書程度です。(メールマガジン「指揮官の休日」No.091 貝殻 shellback https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all&m=118 )
山岳図書を集めたコーナーのある書店はたくさんあります。ちょっと大きな書店では必ずあります。
しかし、海の本を手に入れることはほとんどできません。
何故でしょうか。
私たち日本人が海が嫌いだからです。関心もないし基本的には嫌いなので海をテーマにした本など出版しても売れないのです。
私の地元に江ノ電という電車が走っています。
この江ノ電に鎌倉から乗り、稲村ケ崎の駅を出てちょっとすると相模湾が一望できるポイントに差しかかります。
私はこの江ノ電によく乗るのですが、若い女性客がたくさん乗っている時には、海が見えたとたんに悲鳴が上がることがあります。
「キャーッ 海だ!」
うっかり本などを読んでいるとびっくりするくらいです。
お住まいはどちらですか? と訊かれて「鎌倉です。」と答えるとほぼ100%「いいところにお住まいですね。」と返されます。海が近くていいですねぇ、ということなのです。
「海が好き」とおっしゃる方は山ほどいます。(駄洒落です。)
ただ、これらの方々は自分が海に出て行くことを想定しておらず、海を海岸から眺めること、しかも天気がよくて凪いでいる時の海を眺めているのが好きなのでしょう。
つまり、「海」が好きなのではなく、「海を見ている」のが好きであったり、あるいは「海を見ている自分」が好きなのです。
海が好きとおっしゃる方の9割がたは海岸線の向こうにある海を眺めているのが好きなので、自分が海岸線の向こうに出て行きたいと思っているわけではないのです。
私自身、海が好きですか? と訊かれると、返答に困ります。
海に関しては楽しかった思い出よりも苦しかった思い出が何十倍もあるからです。
いつも「もう懲り懲り」と思っていたことも間違いありません。
珈琲が好きですとか映画が好きです、というのと同程度に「好きです。」とは言えないのです。
それでは私たち日本人は何故海が嫌いなのでしょうか
気象です。
日本近海は目まぐるしく天気が変わり、航海の難所となっています。
太平洋を渡る時、日本から3日も離れると文字通り「太平」の海になるのですが、逆にあと三日で日本に着くというころになると覚悟を決めなければなりません。
倭寇や遣隋使船、遣唐使船などは航海というよりも漂流に近いものだったと思われます。それが証拠に鑑真和上は日本にやってくるのに15年もかかっています。
私たち日本人が海が嫌いなのは、その気象海象の厳しさに相まって、私たちの体質が船に向いていないということも大きな要因でしょう。
私たちは本当に船に弱いのです。
咸臨丸という船が日本の船として初めて太平洋を渡ってアメリカへ使節を派遣しました。艦長は勝海舟であり、随員には福沢諭吉もいました。
しかし、この船は日本人の手によって太平洋を渡ったのではありません。
顧問として乗っていたオランダ海軍の軍人や下士官連中が運航のほとんどを行い、勝海舟以下日本海軍の乗員たちはほとんどが船酔いで甲板に出ることができない状態が続いたままサンフランシスコに着いたのです。
イギリスの南極探検家シャックルトンが探検隊員を募集するときに出した広告というものが残っています。
これが世界一有名な募集広告と言われ、コピーライティングを勉強する人は必ず目にするのだそうです。
MEN WANTED for Hazardous Journey.
Small wages, bitter cold, long months of complete darkness, constant danger, safe return doubtful.
Honor and recognition in case of success. Ernest Shackleton
「求む男子。至難の旅。
僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。 アーネスト・シャクルトン」
この広告に数千人の応募者があったと伝えられています。
ワシントンのスミソニアン博物館ではこの広告の実在が確認できないとして「神話である。」としているようですが、これが信じられているところがシャックルトンであり、また英国人気質です。
海洋文化はこのような国に根付いているのであって、現代の我が国には海洋文化はその片鱗すら見つけられないというのが私の何と言われようと変わらない主張です。
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Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
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No.104 言論における責任とは を掲載しています。
新潮社の雑誌「新潮45」が廃刊に追い込まれました。
ことの発端は自民党議員の杉田水脈氏のLGBTを巡る記事ですが、私はこの問題の専門家ではありませんのでコメントは差し控えます。
しかし、この問題が現代における言論の自由に関する一つの問題提起ではないかと思っています。
私は杉田議員の主張に賛同するものではありませんが、彼女にも自ら正しいと信じたことについて発言する権利はあります。まして彼女は政治家ですので、あらゆる機会を使って自らの信念や政治信条を有権者に訴えるということは必要なことでしょう。国会の場において発言し、それが私たち国民の目に触れる機会というのはそう頻繁にあるものではないからです。
現代社会においてはウェブサイトにおいて自由に発言できますが、ウェブサイトは意図的に閲覧しなければならないので、出版の方が影響力が圧倒的に大きいことは未だに事実です。
続きはこちらからお読みください。
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
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開催予定セミナーのご案内
スペシャルセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変えるクライシスマネジメントの5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然
として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシス
マネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
経営トップの皆様、役員、各部門の長の方々のご参加をお勧めします。
開催場所:ホテルグランドヒル市ヶ谷
東京都新宿区市ヶ谷本村町4-1
開催時期:決定次第お知らせします。
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
エクゼクティブセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変える経営トップのための5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然と
して対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシス
マネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
スペシャルセミナーの内容を踏襲しつつ、特に経営トップのために企画されたセミナーです。部隊
指揮官、企業の役員、経営者を経験している講師が、経営トップの皆様に特に伝えたい思いを語ります。
経営トップ、役員等の方々限定のセミナーです。
開催場所: 当社鎌倉極楽寺セミナーハウス
リゾート感覚溢れる湘南鎌倉の隠れ家的セミナーハウスです。
限定少人数で開催いたします。
(住所は公開しておりません。参加の方に個別にお知らせします。)
開催時期: 決定次第お知らせします。
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
その他
特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、
上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であ
っても、日程の調整を承ります。
セミナーについて、詳しくはこちらをご覧ください。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
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No.096 世界一有名な募集広告に思うこと
以前当メールマガジンでこの国には海洋文化がないと書いたところ、そんなことはないだろうというご批判を頂きました。
実はその前にも別のところで我が国には海洋文化が無いと発言したところ、海上自衛隊の先輩から「お前はものを知らん。日本には冠たる海洋文化がある。」として、志賀島に起源をもつ安曇族や世界遺産指定された宗像神社にゆかりの宗像族等の海人族が山陰、瀬戸内、北陸、信濃等に文化圏を形成しており、平安時代以降では倭寇の朝鮮・中国の侵略、九州、瀬戸内、紀伊半島の水軍の活躍、江戸時代には松前廻船等の海運業が発達する等の歴史があるとご教示頂きました。
確かに歴史的に海と共に生きてきた人々が日本にまったくいなかったと申し上げるつもりはありません。
しかし、あえて申し上げますが、我が国に海洋文化はありません。あるいは古代に日本の一部にあったかもしれませんが、ここ数百年あるいは1千年の間に、これらの海洋文化は耐えてしまい、根付くことがありませんでした。
安曇族や宗像族がどのような文化を持っていたのか、国民に共有されていないのです。その地の伝承であったり、歴史研究に関心を持つ方々には周知の事実かも知れませんが、それは我が国に根付いた文化と言えるものではありません。
現代の日本には海洋文化は残っていないし、これからもこの国に海洋文化が形成されることはないかと思っています。
さらに勘違いされては困るのは倭寇や水軍、松前廻船等の海運業などはこの国に海洋文化を育んでいません。
我が国は世界に冠たる海軍国であった歴史を持ち、また造船大国であったこともあります。現在も世界的な海運国です。しかし、だからといって海洋文化が芽生えたのでしょうか。
文化と文明は違うのです。
文明は生活の必要から発達します。生きていくのに必要な問題を解決する過程で発展していくのが文明です。
それは主として技術の発達から派生してきます。
世界の四大文明が農業技術を中心に勃興したことからも分かるように、お腹を満たす技術、生活を便利にする技術を生み出していくのが文明です。
文化はその対極にあります。文化では食べることができません。
生活を精神的に豊かにしますが、お腹を満たすことはできません。
その観点から見直せば、日本には海洋文化はまったく根付いていません。
以前、このメールマガジンでも申し上げましたが、書店に行けばすぐ分かります。
海をテーマとした本ばかりを集めた書店の何と少ないことか。
そしてやっと見つけたコーナーにあるのは釣りの本と小型船舶操縦士の受験参考書程度です。(メールマガジン「指揮官の休日」No.091 貝殻 shellback https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all&m=118 )
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しかし、海の本を手に入れることはほとんどできません。
何故でしょうか。
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「海が好き」とおっしゃる方は山ほどいます。(駄洒落です。)
ただ、これらの方々は自分が海に出て行くことを想定しておらず、海を海岸から眺めること、しかも天気がよくて凪いでいる時の海を眺めているのが好きなのでしょう。
つまり、「海」が好きなのではなく、「海を見ている」のが好きであったり、あるいは「海を見ている自分」が好きなのです。
海が好きとおっしゃる方の9割がたは海岸線の向こうにある海を眺めているのが好きなので、自分が海岸線の向こうに出て行きたいと思っているわけではないのです。
私自身、海が好きですか? と訊かれると、返答に困ります。
海に関しては楽しかった思い出よりも苦しかった思い出が何十倍もあるからです。
いつも「もう懲り懲り」と思っていたことも間違いありません。
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それでは私たち日本人は何故海が嫌いなのでしょうか
気象です。
日本近海は目まぐるしく天気が変わり、航海の難所となっています。
太平洋を渡る時、日本から3日も離れると文字通り「太平」の海になるのですが、逆にあと三日で日本に着くというころになると覚悟を決めなければなりません。
倭寇や遣隋使船、遣唐使船などは航海というよりも漂流に近いものだったと思われます。それが証拠に鑑真和上は日本にやってくるのに15年もかかっています。
私たち日本人が海が嫌いなのは、その気象海象の厳しさに相まって、私たちの体質が船に向いていないということも大きな要因でしょう。
私たちは本当に船に弱いのです。
咸臨丸という船が日本の船として初めて太平洋を渡ってアメリカへ使節を派遣しました。艦長は勝海舟であり、随員には福沢諭吉もいました。
しかし、この船は日本人の手によって太平洋を渡ったのではありません。
顧問として乗っていたオランダ海軍の軍人や下士官連中が運航のほとんどを行い、勝海舟以下日本海軍の乗員たちはほとんどが船酔いで甲板に出ることができない状態が続いたままサンフランシスコに着いたのです。
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