指揮官の休日 No.095 カッコいい男たち
2018/09/21 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、No.103 『失敗の本質』再考:自らの使命は何なのかを問い続けよ を掲載しています。
名著『失敗の本質』について再び考えています。
詳しくは、https://aegis-cms.co.jp/1275 をご覧ください。
No.095 カッコいい男たち
世の中には格好の良い男性が沢山いますが、私にとっても尊敬するおそろしく格好のいい男性が3人います。
誰だと思われますか?
私の経歴をご存知の方はその3人を英国のネルソン、米国のジョン・ポール・ジョーンズ、そして日本の東郷平八郎だと思われるかもしれませんが、残念でした。
確かにこの3人の海軍の提督たちはそれぞれ傑出した軍人であり、尊敬する海軍軍人であることは間違いありませんが、格好良くて尊敬するとなるとちょっと違う人物になります。
お一人はすでに亡くなりましたが米国人で、プリンストン大学在学中に海軍を志願して海軍中尉で終戦を迎え、その後ビジネスの世界で活躍された方です。
海上自衛隊の連絡官として米国に駐在していた時に個人的に面識を得て、ずっと憧れ続けたダンディです。
ペンシルバニアの田舎町に日本で知り合った日本人の奥様とひっそりと暮らしておられ、ある時、夕食に招かれて伺ったところ、広いリビングルームの隅に立って読むのにちょうどの高さの書見台をおいて、そこで大きな分厚い皮表紙の本を読んでおられました。
何を読んでいるのかを訊ねると、ヨーロッパの近代史でちょうどドイツの宰相ビスマルクの政治に関する部分だということで、両手で持って読んだらいい筋トレになるだろうなと思うような分厚い本について説明してくれました。
知性がジャケットを着ているような方でした。
物静かな方でしたが、海軍士官としてヨーロッパ戦線で戦ったことを誇りとしておられ、私が海上自衛官だったことから特別な関心を持って頂いたようです。
米国企業の取締役としてカリフォルニアに赴任した際、何とか時間を作って夫婦で未亡人をペンシルバニアにお訪ねし、ご自宅で臨終の時を迎えられた時の様子を伺いました。
最期に奥様にリクエストしてCDでかけた音楽が“Eternal Father Strong to Save “ だったそうです。
この曲はNavy Hymn(海軍讃美歌)と言われる荘厳な曲です。
最期まで海軍軍人であったことを誇りにされていたのだということを知りました。
YouTubeでお聴き頂けます。https://www.youtube.com/watch?v=2dlXmuYuAYc
もうお一方はまだまだお元気で執筆活動を続けておられる元経営者、大学教授ですが、日本でスキューバダイバーがまだ三桁しかいないころから海中の映画を撮っていて、日本で初めてのダイビング専用のヨットを建造された方です。
私たちがまだ若い学生時代、シーボニアハーバーに入港して、その方の船にオーナーがいるのが分かると、私たちはそばを航行する際、デッキの上で姿勢を正したものでした。
当時その方は第一線の経営者で、バリバリという稲妻のようなオーラが後ろに見える感じでしたが、極めて上手に歳を重ねられています。
エッセイストとしても傑出した方で、私のこのメールマガジンなど遥かに及ばない広さと奥行きのある多数のエッセイは、いまだに私の枕元の書となっています。
最近の若いヨット乗りはどうか分かりませんが、30代以上のヨット乗りで「田邊英蔵」の名前を知らないと言ったらそいつはモグリです。(ダイバーだという意味ではありませんよ。)
数多くの経営書も執筆しておられ、その教養の深さと広さ、そしてユーモアのセンスには圧倒されます。
https://www.amazon.co.jp/%E7%94%B0%E8%BE%BA-%E8%8B%B1%E8%94%B5/e/B001I7PO7I
最後の一人には会ったことがありません。
私に言わせると格好良さでは群を抜いているヘミングウェイです。
以前、海の英語でbefore the mast という言葉に言及した際、福田恒存氏が翻訳したヘミングウェイの『老人と海』に誤訳があるとご紹介しました。
“ When I was your age, I was before the mast on a square-rigged ship that run to Africa.” という個所を、「お前くらいの年ごろには、おれはアフリカ通いの横帆を張った船に乗り込んで、マストの前に立っていた。」と訳しています。
before the mast というのは平水夫としてという意味なのですが、この海の言葉を氏はご存じなかったようです。
米国を代表する大作家の著作が、そのような誤訳のまま版を重ねていた日本の出版事情にもビックリしますが、私が初めて原書で読んだ本がこの本で、中学3年の時に学校の寮で悪戦苦闘していたのをつい昨日のように覚えています。
ヘミングウェイの作品はどれも何度読んでも、何歳になって読んでも素晴らしいのですが、特に『海流の中の島々』、『キリマンジャロの雪』などが印象に残っています。
しかし、残念ながら、彼の作品の映画化は見事に全部失敗と言っていいかと思うくらい好きになれません。これは世の映画評論家の皆さんと見解を異にするのかもしれませんが、駄作ばかりのように思えます。
私は父の転勤が多かったために中学・高校は横浜の全寮制の学校に入ったのですが、両親が遠方にいたために週末に帰宅できず、と言ってそれほどお金も持っていなかったので、当時300円で3本観ることのできる「名画座」に通って往年の名画をうんざりするほど観てきました。
その中で、ヘミングウェイ原作の映画化も何本か観ていますが、どれもつまらないという印象しかありません。
そもそも彼の原作の最初の映画化は1932年の『武器よさらば』だったのですが、ゲイリー・クーパーとヘレン・ヘイズという当時の人気役者を起用した割に、ヘミングウェイの味がまったくしない作品でした。
その後に作られた『誰がために鐘は鳴る』もゲイリー・クーパーと当時最高の人気を誇っていたイングリッド・バーグマンを起用したのですが、なんとなく小説をそのまま短く説明しただけの作品に納まってしまい、少しもヘミングウェイの空気が伝わらないのです。
『老人と海』はやはり原作の方が圧倒的によく、映画は観るに耐えません。
強いて言えば、『キリマンジャロの雪』のグレゴリー・ペックやエヴァ・ガードナー、スーザン・ヘイワードなどの濃厚な演技が、ヘミングウェイの硬質な感じをよく表していて良かったかなと思う程度です。
ということで、作品の映画化には恵まれなかったヘミングウェイですが、これは考えようによっては原作が素晴らしすぎて、映画がついて行かないのかもしれません。
ヘミングウェイの写真は大抵はアメリカンカジュアルを着ており、あるいは着ていないので上半身裸だったり、漁師が着るようなシャツにバーミューダーパンツとい
う、当時まだそんなものが流行っていなかった頃にそれらを着こなしていたというとんでもないダンディです。着古した狩猟用のレザーのベストも何年着るとあれだけのビンテージ感が出るのか分からないのですが、それを着こなすことのできるのも彼だからでしょう。
一見、ファッションや持ち物には無頓着なように見えるのですが、実は使っているものには相当のこだわりがあり、時計やペンなどその筋に詳しい人が見ると、かなりマニアックなこだわりがあったようです。
私は彼が愛用していたと言われるモレスキンの手帳が欲しくて探し回ったこともあります。彼が書斎で昼寝をしている写真の背景に写っている本棚にこれの手帳が数十冊並んでいるのを見て憧れてしまったのです。
結局、遠洋航海でポーツマスに入港した際、知り合いになった英国海軍の士官に基地の外のファイロファクス専門店に連れて行ってもらい、まだ日本で売られていなかった黒い皮の表紙のファイロファクスを手に入れたのですが、これは35年経った今も愛用しています。
モレスキンの手帳は手に入りませんでしたが、このこだわりはヘミングウェイの影響でしょう。
私はあまりモノ・フェチではなく、車は荷物が沢山積めて運転がしやすければいいと思っていますし、着るものもブランドにこだわったことはありません。(海上自衛隊で着ていた制服だけは、横須賀の安藤洋服店がいいと思っていましたが、やたらと高いので毎回ここでオーダーしていたわけではありません。ほかの店の3倍くらいの値段でしたからね。)
しかし、ヘミングウェイ流の生き方にはいつも関心を持っていて、その写真はしょっちゅう眺めています。
ご紹介したお三方は、とにかく格好いいのです。
ダンディズムを体現していると言って過言ではありません。
かくありたいといつも願っているお三方です。
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Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
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専門コラム「指揮官の決断」掲載のご案内
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当コラムでかつて「『失敗の本質』の失敗の本質」というタイトルの一文を掲載したことがあります。
(専門コラム「指揮官の決断」 No.030 『失敗の本質』の失敗の本質 https://aegis-cms.co.jp/560
ビジネスマン必読の書と言われる『失敗の本質』(ダイヤモンド社 1984年野中幾次郎他)という
本についての私の見方を記述したものです。
私の見解は自衛官OBには評価されましたが、組織論の研究者からは一部を除いて反論を受けました。
またビジネスの関係者の方々はよく分からないという反応がありました。
自衛官に評価されたのは、現場の感覚では『失敗の本質』という本が釈然としない思いがあったところ
を私が説明したからにほかなりません。
続きはこちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/1275
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
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開催予定セミナーのご案内
スペシャルセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変えるクライシスマネジメントの5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然
として対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシス
マネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
経営トップの皆様、役員、各部門の長の方々のご参加をお勧めします。
開催場所:ホテルグランドヒル市ヶ谷
東京都新宿区市ヶ谷本村町4-1
開催時期:決定次第お知らせします。
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
エクゼクティブセミナー
――危機管理が人を育て、事業を伸ばす!――
「危機を機会に変える経営トップのための5大戦略」
どうすれば危機に陥りにくい組織を作ることができるのか、危機的な状況に陥った場合に、毅然と
して対応できるようになるためにはどのような組織を作っておけばいいのかを、イージスクライシス
マネジメントシステムを体系化した講師が語ります。
スペシャルセミナーの内容を踏襲しつつ、特に経営トップのために企画されたセミナーです。部隊
指揮官、企業の役員、経営者を経験している講師が、経営トップの皆様に特に伝えたい思いを語ります。
経営トップ、役員等の方々限定のセミナーです。
開催場所: 当社鎌倉極楽寺セミナーハウス
リゾート感覚溢れる湘南鎌倉の隠れ家的セミナーハウスです。
限定少人数で開催いたします。
(住所は公開しておりません。参加の方に個別にお知らせします。)
開催時期: 決定次第お知らせします。
セミナー料金: ¥38,000 (返金保証)
内容にご不満の場合は、理由の如何を問わず全額を返金させていただきます。
その他
特別開催: 経営トップの皆様が役員や担当者をお連れになり、チームで受講したいとお考えの場合は、
上記の当社鎌倉極楽寺セミナーハウスのエクゼクティブセミナーをご利用ください。当社開催日以外であ
っても、日程の調整を承ります。
セミナーについて、詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
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No.095 カッコいい男たち
世の中には格好の良い男性が沢山いますが、私にとっても尊敬するおそろしく格好のいい男性が3人います。
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確かにこの3人の海軍の提督たちはそれぞれ傑出した軍人であり、尊敬する海軍軍人であることは間違いありませんが、格好良くて尊敬するとなるとちょっと違う人物になります。
お一人はすでに亡くなりましたが米国人で、プリンストン大学在学中に海軍を志願して海軍中尉で終戦を迎え、その後ビジネスの世界で活躍された方です。
海上自衛隊の連絡官として米国に駐在していた時に個人的に面識を得て、ずっと憧れ続けたダンディです。
ペンシルバニアの田舎町に日本で知り合った日本人の奥様とひっそりと暮らしておられ、ある時、夕食に招かれて伺ったところ、広いリビングルームの隅に立って読むのにちょうどの高さの書見台をおいて、そこで大きな分厚い皮表紙の本を読んでおられました。
何を読んでいるのかを訊ねると、ヨーロッパの近代史でちょうどドイツの宰相ビスマルクの政治に関する部分だということで、両手で持って読んだらいい筋トレになるだろうなと思うような分厚い本について説明してくれました。
知性がジャケットを着ているような方でした。
物静かな方でしたが、海軍士官としてヨーロッパ戦線で戦ったことを誇りとしておられ、私が海上自衛官だったことから特別な関心を持って頂いたようです。
米国企業の取締役としてカリフォルニアに赴任した際、何とか時間を作って夫婦で未亡人をペンシルバニアにお訪ねし、ご自宅で臨終の時を迎えられた時の様子を伺いました。
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この曲はNavy Hymn(海軍讃美歌)と言われる荘厳な曲です。
最期まで海軍軍人であったことを誇りにされていたのだということを知りました。
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もうお一方はまだまだお元気で執筆活動を続けておられる元経営者、大学教授ですが、日本でスキューバダイバーがまだ三桁しかいないころから海中の映画を撮っていて、日本で初めてのダイビング専用のヨットを建造された方です。
私たちがまだ若い学生時代、シーボニアハーバーに入港して、その方の船にオーナーがいるのが分かると、私たちはそばを航行する際、デッキの上で姿勢を正したものでした。
当時その方は第一線の経営者で、バリバリという稲妻のようなオーラが後ろに見える感じでしたが、極めて上手に歳を重ねられています。
エッセイストとしても傑出した方で、私のこのメールマガジンなど遥かに及ばない広さと奥行きのある多数のエッセイは、いまだに私の枕元の書となっています。
最近の若いヨット乗りはどうか分かりませんが、30代以上のヨット乗りで「田邊英蔵」の名前を知らないと言ったらそいつはモグリです。(ダイバーだという意味ではありませんよ。)
数多くの経営書も執筆しておられ、その教養の深さと広さ、そしてユーモアのセンスには圧倒されます。
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最後の一人には会ったことがありません。
私に言わせると格好良さでは群を抜いているヘミングウェイです。
以前、海の英語でbefore the mast という言葉に言及した際、福田恒存氏が翻訳したヘミングウェイの『老人と海』に誤訳があるとご紹介しました。
“ When I was your age, I was before the mast on a square-rigged ship that run to Africa.” という個所を、「お前くらいの年ごろには、おれはアフリカ通いの横帆を張った船に乗り込んで、マストの前に立っていた。」と訳しています。
before the mast というのは平水夫としてという意味なのですが、この海の言葉を氏はご存じなかったようです。
米国を代表する大作家の著作が、そのような誤訳のまま版を重ねていた日本の出版事情にもビックリしますが、私が初めて原書で読んだ本がこの本で、中学3年の時に学校の寮で悪戦苦闘していたのをつい昨日のように覚えています。
ヘミングウェイの作品はどれも何度読んでも、何歳になって読んでも素晴らしいのですが、特に『海流の中の島々』、『キリマンジャロの雪』などが印象に残っています。
しかし、残念ながら、彼の作品の映画化は見事に全部失敗と言っていいかと思うくらい好きになれません。これは世の映画評論家の皆さんと見解を異にするのかもしれませんが、駄作ばかりのように思えます。
私は父の転勤が多かったために中学・高校は横浜の全寮制の学校に入ったのですが、両親が遠方にいたために週末に帰宅できず、と言ってそれほどお金も持っていなかったので、当時300円で3本観ることのできる「名画座」に通って往年の名画をうんざりするほど観てきました。
その中で、ヘミングウェイ原作の映画化も何本か観ていますが、どれもつまらないという印象しかありません。
そもそも彼の原作の最初の映画化は1932年の『武器よさらば』だったのですが、ゲイリー・クーパーとヘレン・ヘイズという当時の人気役者を起用した割に、ヘミングウェイの味がまったくしない作品でした。
その後に作られた『誰がために鐘は鳴る』もゲイリー・クーパーと当時最高の人気を誇っていたイングリッド・バーグマンを起用したのですが、なんとなく小説をそのまま短く説明しただけの作品に納まってしまい、少しもヘミングウェイの空気が伝わらないのです。
『老人と海』はやはり原作の方が圧倒的によく、映画は観るに耐えません。
強いて言えば、『キリマンジャロの雪』のグレゴリー・ペックやエヴァ・ガードナー、スーザン・ヘイワードなどの濃厚な演技が、ヘミングウェイの硬質な感じをよく表していて良かったかなと思う程度です。
ということで、作品の映画化には恵まれなかったヘミングウェイですが、これは考えようによっては原作が素晴らしすぎて、映画がついて行かないのかもしれません。
ヘミングウェイの写真は大抵はアメリカンカジュアルを着ており、あるいは着ていないので上半身裸だったり、漁師が着るようなシャツにバーミューダーパンツとい
う、当時まだそんなものが流行っていなかった頃にそれらを着こなしていたというとんでもないダンディです。着古した狩猟用のレザーのベストも何年着るとあれだけのビンテージ感が出るのか分からないのですが、それを着こなすことのできるのも彼だからでしょう。
一見、ファッションや持ち物には無頓着なように見えるのですが、実は使っているものには相当のこだわりがあり、時計やペンなどその筋に詳しい人が見ると、かなりマニアックなこだわりがあったようです。
私は彼が愛用していたと言われるモレスキンの手帳が欲しくて探し回ったこともあります。彼が書斎で昼寝をしている写真の背景に写っている本棚にこれの手帳が数十冊並んでいるのを見て憧れてしまったのです。
結局、遠洋航海でポーツマスに入港した際、知り合いになった英国海軍の士官に基地の外のファイロファクス専門店に連れて行ってもらい、まだ日本で売られていなかった黒い皮の表紙のファイロファクスを手に入れたのですが、これは35年経った今も愛用しています。
モレスキンの手帳は手に入りませんでしたが、このこだわりはヘミングウェイの影響でしょう。
私はあまりモノ・フェチではなく、車は荷物が沢山積めて運転がしやすければいいと思っていますし、着るものもブランドにこだわったことはありません。(海上自衛隊で着ていた制服だけは、横須賀の安藤洋服店がいいと思っていましたが、やたらと高いので毎回ここでオーダーしていたわけではありません。ほかの店の3倍くらいの値段でしたからね。)
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4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
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5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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