指揮官の休日 No.391 125ccが原付になるって知ってました?
2024/07/26 (Fri) 07:24
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
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https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第401回 危機管理の本質 を掲載いたしました。
危機管理論の基礎について考えています。
詳しくは、こちらをお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/3344
No.391 125ccが原付になるって知ってました?
イ何気なく、道路交通法改正のニュースを観ていて、びっくりしました。
来年、125ccのバイクが原付になるそうです。
つまり、現在は自動二輪免許がなければ乗れない125ccのバイクでも、原付の基準に合致すれば原付免許で乗れるようになるのだそうです。
これは道交法改正ではなく、筆者に言わせれば「改悪」です。
このような「改悪」はいろいろなところで行われます。
例えば、船舶職員法と船舶安全法が改悪された結果、全長3m未満、馬力2馬力以内の機関を搭載する船舶は、船舶職員の免許なしに、かつ、船舶検査も受けずに航行することができるようになっています。
かつては、どんな小さくてもエンジンがついていれば免許と検査が必要でした。
これは、釣りブームにより、カートップに積むことのできる小型のボートに対する需要が高まっていることを受けたメーカーが、その購買に支障となる免許と検査を不要とするように圧力をかけた結果として船舶職員法と船舶安全法が改悪されたものです。
このクラスのボートは、乗っても大人二人くらいが限度であり、そう遠くまで出る無茶な人もいないでしょうし、目的はほとんどが釣りでしょうから、湾内のポイントまで移動できればいいので、大した事故になることはあまりないかもしれません。
しかし、その船は事故にならなくとも、海上でそのような船と行き会う船にとっては恐ろしい脅威なのです。
なぜか?
海の上では、衝突が起きそうになる時に、どちらがどのように動くべきかということが法律で定まっています。また、法律以前の問題として、船乗りには、どうすべきかという常識的判断があります。
船舶職員法上の免許を持たないボートを走らせている者がそれらの法律を知っているのか、あるいはその程度の常識があるのかどうか、行き会う船には分からないのです。
たしかに法律は不知は罰するという原則がありますが、事故が起きてから責任問題を論じも手遅れなのです。
湾内で、そのような小型のボートと、このまま行くと衝突するかもしれないというとき、法律ではどちらの船が針路速力を一定に保ち、他方がこれを避けるということが規定されています。
ただ、相手が免許もちでない場合で、こちらが針路速力を一定にしなければならない側の船だった時、果たして相手船がこちらを避けてくれるのか分からないのです。
筆者はヨット乗りですが、ヨットはこの法律のなかでも「帆船」としての動き方を要求されます。一方の船の動作だけで衝突が回避できない場合には、最善の協力動作を行って、両船で衝突を回避しなければならないのですが、帆船の場合は風向きによって、その協力動作ができない状況に追い込まれているおそれもあります。
そこで、動力船は帆船を避けなければならないと一般的には規定されているのですが、免許を持っていない連中がそれを知っているかどうか、ヨット乗り側には分からないのです。
船舶安全法の適用が除外されるのは結構かと思います。
筆者の小さなヨットも船舶安全法に基づく船舶検査を受けていますが、国はそれでその船の安全を保証などしてくれません。
お金をとって人を乗せる船なら、最低限の安全備品などを載せている必要があるでしょうから、その検査は必要ですし、厳格に行う必要があります。
「KAZU 1」ではその検査が杜撰だったので無線連絡が取れないという事態が起きてしまいました。
しかし、小型のボートで釣りに行きたいオーナーとその友達だけで乗っているなら検査など不要でしょう。救命胴衣を着けていなくて溺れても自業自得です。
ただ、免許を持っていない船長では、どう動くのか分からないので、海上で行き会った場合にこちらもどう動けばいいのか分からないのが困るのです。
相手が漁船なら、当方のヨットの動きは明確です。
漁船は絶対にヨットを避けないので(動力船は帆船を避けなければならないのが海上衝突予防法の規定なのですが。)、法的責任の問題はともかくとして、当方も命が惜しいので、先に逃げるしかありません。つまり、漁船には近づかないのが鉄則です。
漁業協同組合員は勘違いしている者が多いのですが、釣り船もヨットを避けてくれません。釣り船(いわゆる乗り合いの遊漁船)は、海上衝突予防法上の漁船ではありません。
漁船として海上衝突予防法上の特別の配慮を受けるのは、網を引いている漁船だけです。網を船尾から引いていると、動きが大きく制約されますし、その漁船の真後ろを通ると網を切ってしまうので、網を引いている場合には、そちらが針路速力を一定にして、行き会う船の方が避けることになっているのです。しかし、遊漁船までも自分たちは漁船だと思っているのか、こいつらに針路を譲ってもらったことはただの一度もありません。
黎明期のダイバーであり、ダイビング専用外洋艇のオーナーであり、卓越した経営者であり、かつエッセイストクラブ賞を受賞したこともあるエッセイストであった田邊英蔵氏の名言に「私は法律を守って走っている漁船を見たことがない。」というのがありますが、少なくともヨットで漁船に針路を避けてもらったことはありませんし、護衛艦の航海指揮官として当直中に、そのまま走ればお互いに相手船を左に見て行き違うことができるのに、直前でいきなり相手の漁船がいきなり思い切り左舵をとって間一髪で衝突という事態も経験しています。この連中の操船は一切信じてはなりません。
道路交通法においては「信頼の原則」というものがあります。
1930年代にドイツで判例として確立した原則であり、現在では航空法も海上衝突予防法においても適用される原則です。これは、相手も法律を知っており、そこに規定されるように行動することを期待できる、という原則なのですが、だからといって、相手がその通りに行動しなかった場合の対応が免除されるということではありません。海上衝突予防法においては、相手船の避航動作だけで衝突が回避できないときには針路保持船も衝突を回避するための最善の協力動作をしなければなりません。つまり、漁船に信頼の原則などを適用してはならないのです。
これを証するのがヨットと漁船の衝突事故です。その時の態勢の如何に関わらず、一方的にヨットの責任が問われることになります。これが海上保安庁です。
なので、まともなヨット乗りは漁船を見たら逃げてしまいます。彼らに法律やその他の論理は通じませんから。
これと同様のことが、一般道路でも起きようとしています。
ただでさえ50cc原付の走り方は無茶苦茶です。
車間距離は一切守らず、車の真後ろをついてきて、ちょっとでも左側が空いているとすり抜けていきます。連中は追い越しは右側からしなければならないことなど知らないのでしょう。また制限速度が30km/hであることも知らないようです。134号線の60km/hの道で、軽々と追い越されることは常態化しています。
三車線交差点で二段階右折をしている原付など見たことがありません。
しかし、警察はこれを取り締まろうとしません。
業界の圧力でしょう。
その業界が50cc原付の普及に頭を抱えているのだそうです。排ガス規制のため、50ccの原付をいくら売っても儲けにならないということのようです。
まして、新しい排ガス規制は50ccのエンジンでは乗り切れないことから、125ccの原付という道交法改悪になったようです。
小型バイクを普及させて利益を上げるためには、免許がややこしいことは望ましくありません。
普通免許を持っている者なら運転できるようにしたいというのがメーカーの思惑でしょう。
最近の若い人たちは筆者の若いころのように自動車の免許を取りたがらないそうですが、それらの人たちも原付免許なら自動二輪よりは簡単に取得できるのが目の付け所です。
しかし、原付の基準に適合する車種のみとしても、簡単な免許制度では出鱈目な運転が行われるのは目に見えています。
それは電動キックボードを見れば明らかです。
筆者の住む湘南ではまだあまり見かけませんが、都内ではいたるところで出鱈目に走っているのが目につきます。信号無視どころか、道路の逆走などは普通に行われていますし、ウィンカーを出して曲がっているところは見たことがありません。
歩道に乗り上げても速度は落とさず、人を避けて蛇行を繰り返すため、どう走るのかまったく分かりません。
電動キックボードだけでなく、現在の原付も同様に、その走りは道交法上出鱈目なものが目につきます。
その出鱈目な走りを125ccのバイクが行うのです。
馬力などを基準に適合させないと原付と認められないそうですが、時速100kmで走る原付が出てくるのは時間の問題でしょう。
筆者が若いころ、自動二輪に乗っていた時期があります。
その頃のバイク乗りは、「自分は原付乗りではない。」というプライドを持っていましたので、車間距離を取って道路の右側中央を走り、追い越す際も右側を抜けていきました。
最近のバイク乗りは堕落しており、右側をすり抜けるのが普通だと思っている連中ばかりです。
その証拠に、西湘バイパスで、後ろにバイクが来ると筆者は右側を空けるために左寄りに車を走らせるのですが、それを嫌がらせだと思っている連中が多く、すり抜けるときに睨みつけている奴が多いのです。
ライディングフォームから、「こいつはまともなバイク乗りだな。」と思うバイクは、右側を空けると、すぐさま加速して追い越していき、追い抜きざまに左手でピースサインを出していく者もいます。
筆者が若いころに乗っていたのは、トレールバイクでしたので、ロードやアメリカンとは仲間意識を持っていませんでしたが、同じトレールタイプやマウンテンバイクと出会うと親指を立てるサインを交換したものでした。そのようなときに味わう清々しさはもうないのかもしれません。
いずれにせよ、来年以降、125ccの原付バイクが筆者の天敵リストに名を連ねることは間違いないでしょう。
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専門コラム「指揮官の決断」第401回 危機管理の本質
以前から当コラムでは危機管理の基本が理解できる体系化を何度も目指してきました。基礎講座のようなコラムも何度か書いてきましたが、コロナ禍が起きたりして、現実の危機管理の問題が大きくなり、原理原則を説いている場合ではないという状況に陥ってその企てが頓挫してきています。
今年はしっかりとそのような編集方針で書いていこうと考えていた元旦に能登半島が激震に襲われ、翌日には羽田で大型旅客機がマスコミのカメラの目の前で燃え堕ちるという事件が起こり、またまた原理原則の話をしている場合ではないという仕儀に至ってしまいました。
しかしながら、当コラムの本来の使命として、皆様に危機管理を正しく理解して頂くために、なんど挫折してもくじけず、危機管理とは何かを語っていく必要があるという認識は揺らいでいませんので、今回はその本質論に立ち戻ろうと思っています。
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
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1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
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No.391 125ccが原付になるって知ってました?
イ何気なく、道路交通法改正のニュースを観ていて、びっくりしました。
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つまり、現在は自動二輪免許がなければ乗れない125ccのバイクでも、原付の基準に合致すれば原付免許で乗れるようになるのだそうです。
これは道交法改正ではなく、筆者に言わせれば「改悪」です。
このような「改悪」はいろいろなところで行われます。
例えば、船舶職員法と船舶安全法が改悪された結果、全長3m未満、馬力2馬力以内の機関を搭載する船舶は、船舶職員の免許なしに、かつ、船舶検査も受けずに航行することができるようになっています。
かつては、どんな小さくてもエンジンがついていれば免許と検査が必要でした。
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しかし、その船は事故にならなくとも、海上でそのような船と行き会う船にとっては恐ろしい脅威なのです。
なぜか?
海の上では、衝突が起きそうになる時に、どちらがどのように動くべきかということが法律で定まっています。また、法律以前の問題として、船乗りには、どうすべきかという常識的判断があります。
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たしかに法律は不知は罰するという原則がありますが、事故が起きてから責任問題を論じも手遅れなのです。
湾内で、そのような小型のボートと、このまま行くと衝突するかもしれないというとき、法律ではどちらの船が針路速力を一定に保ち、他方がこれを避けるということが規定されています。
ただ、相手が免許もちでない場合で、こちらが針路速力を一定にしなければならない側の船だった時、果たして相手船がこちらを避けてくれるのか分からないのです。
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船舶安全法の適用が除外されるのは結構かと思います。
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「KAZU 1」ではその検査が杜撰だったので無線連絡が取れないという事態が起きてしまいました。
しかし、小型のボートで釣りに行きたいオーナーとその友達だけで乗っているなら検査など不要でしょう。救命胴衣を着けていなくて溺れても自業自得です。
ただ、免許を持っていない船長では、どう動くのか分からないので、海上で行き会った場合にこちらもどう動けばいいのか分からないのが困るのです。
相手が漁船なら、当方のヨットの動きは明確です。
漁船は絶対にヨットを避けないので(動力船は帆船を避けなければならないのが海上衝突予防法の規定なのですが。)、法的責任の問題はともかくとして、当方も命が惜しいので、先に逃げるしかありません。つまり、漁船には近づかないのが鉄則です。
漁業協同組合員は勘違いしている者が多いのですが、釣り船もヨットを避けてくれません。釣り船(いわゆる乗り合いの遊漁船)は、海上衝突予防法上の漁船ではありません。
漁船として海上衝突予防法上の特別の配慮を受けるのは、網を引いている漁船だけです。網を船尾から引いていると、動きが大きく制約されますし、その漁船の真後ろを通ると網を切ってしまうので、網を引いている場合には、そちらが針路速力を一定にして、行き会う船の方が避けることになっているのです。しかし、遊漁船までも自分たちは漁船だと思っているのか、こいつらに針路を譲ってもらったことはただの一度もありません。
黎明期のダイバーであり、ダイビング専用外洋艇のオーナーであり、卓越した経営者であり、かつエッセイストクラブ賞を受賞したこともあるエッセイストであった田邊英蔵氏の名言に「私は法律を守って走っている漁船を見たことがない。」というのがありますが、少なくともヨットで漁船に針路を避けてもらったことはありませんし、護衛艦の航海指揮官として当直中に、そのまま走ればお互いに相手船を左に見て行き違うことができるのに、直前でいきなり相手の漁船がいきなり思い切り左舵をとって間一髪で衝突という事態も経験しています。この連中の操船は一切信じてはなりません。
道路交通法においては「信頼の原則」というものがあります。
1930年代にドイツで判例として確立した原則であり、現在では航空法も海上衝突予防法においても適用される原則です。これは、相手も法律を知っており、そこに規定されるように行動することを期待できる、という原則なのですが、だからといって、相手がその通りに行動しなかった場合の対応が免除されるということではありません。海上衝突予防法においては、相手船の避航動作だけで衝突が回避できないときには針路保持船も衝突を回避するための最善の協力動作をしなければなりません。つまり、漁船に信頼の原則などを適用してはならないのです。
これを証するのがヨットと漁船の衝突事故です。その時の態勢の如何に関わらず、一方的にヨットの責任が問われることになります。これが海上保安庁です。
なので、まともなヨット乗りは漁船を見たら逃げてしまいます。彼らに法律やその他の論理は通じませんから。
これと同様のことが、一般道路でも起きようとしています。
ただでさえ50cc原付の走り方は無茶苦茶です。
車間距離は一切守らず、車の真後ろをついてきて、ちょっとでも左側が空いているとすり抜けていきます。連中は追い越しは右側からしなければならないことなど知らないのでしょう。また制限速度が30km/hであることも知らないようです。134号線の60km/hの道で、軽々と追い越されることは常態化しています。
三車線交差点で二段階右折をしている原付など見たことがありません。
しかし、警察はこれを取り締まろうとしません。
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その業界が50cc原付の普及に頭を抱えているのだそうです。排ガス規制のため、50ccの原付をいくら売っても儲けにならないということのようです。
まして、新しい排ガス規制は50ccのエンジンでは乗り切れないことから、125ccの原付という道交法改悪になったようです。
小型バイクを普及させて利益を上げるためには、免許がややこしいことは望ましくありません。
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最近の若い人たちは筆者の若いころのように自動車の免許を取りたがらないそうですが、それらの人たちも原付免許なら自動二輪よりは簡単に取得できるのが目の付け所です。
しかし、原付の基準に適合する車種のみとしても、簡単な免許制度では出鱈目な運転が行われるのは目に見えています。
それは電動キックボードを見れば明らかです。
筆者の住む湘南ではまだあまり見かけませんが、都内ではいたるところで出鱈目に走っているのが目につきます。信号無視どころか、道路の逆走などは普通に行われていますし、ウィンカーを出して曲がっているところは見たことがありません。
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馬力などを基準に適合させないと原付と認められないそうですが、時速100kmで走る原付が出てくるのは時間の問題でしょう。
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その頃のバイク乗りは、「自分は原付乗りではない。」というプライドを持っていましたので、車間距離を取って道路の右側中央を走り、追い越す際も右側を抜けていきました。
最近のバイク乗りは堕落しており、右側をすり抜けるのが普通だと思っている連中ばかりです。
その証拠に、西湘バイパスで、後ろにバイクが来ると筆者は右側を空けるために左寄りに車を走らせるのですが、それを嫌がらせだと思っている連中が多く、すり抜けるときに睨みつけている奴が多いのです。
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筆者が若いころに乗っていたのは、トレールバイクでしたので、ロードやアメリカンとは仲間意識を持っていませんでしたが、同じトレールタイプやマウンテンバイクと出会うと親指を立てるサインを交換したものでした。そのようなときに味わう清々しさはもうないのかもしれません。
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