指揮官の休日 No.373 海を巡る三大航海記
2024/01/19 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第381回 能登半島の地震・津波災害からいかに教訓を導き出すか を掲載いたしました。
新年早々、能登半島で起きた大規模自然災害からいかに教訓を引き出すかについて考えています。
詳しくはこちらをお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/3230
No.373 海を巡る三大航海記
前回、当メールマガジンでは、海にまつわるエッセイの秀作を独断と偏見で三作選びご紹介いたしました。いずれも海に対する深い愛情がにじみ出ており、甲乙つけがたいものです。
ただ、うち一冊はまだ発行されておらず、残念ながら皆様はまだ読めません。乞うご期待です。
今回は、航海記のベスト3を紹介いたします。
と言いつつ、皆さまは、どうせうち1冊は自分がこれから書く予定のものだろうと疑っておられることと拝察いたします。
ご期待を裏切るのは当メールマガジンの最も得意とするところですので、今回もしっかりとそのご期待を裏切り、ちゃんと三冊ご紹介いたします。
私だって本くらい読みますからね。
第一冊は、ロビン・ノックス・ジョンストン著の『スハイリ号の孤独な冒険』です。
彼は英国の商船乗りですが、世界で初めてヨットによる無寄港単独世界一周を成し遂げたヨット乗りでもあります。
1968年6月に英国のファルマスを出港し、翌年4月に313日間かけてファルマスに戻ってきました。彼がファルマス入港直前に税関の係官が移乗してきて、すました顔で「どちらから?」と尋ね、「ファルマスから」と答えたことは当時有名になりました。
この本は、彼の非凡な冒険心と卓越した航海技術を描いた魅力的な物語であり、孤独な航海者としての極限状態での挑戦に焦点を当てており、スハイリ号という小さなヨットで大洋を横断する中で直面する孤独や過酷な自然環境にどのように対処していったのかを詳細に描写しています。
特筆すべき点は、彼の強靭な精神力と決断力です。彼は長期間にわたり一人きりで海上に身を置き、時折の嵐や技術的な問題に直面しながらも、挫折することなく航海を続け、その抜群の忍耐力と勇気には感動を覚えます。
この航海記はそれだけではなく、その冒険を支える航海技術や機材に関する詳細な描写も散りばめられており、ヨットの船体やセイル、無線通信機器などの技術的な要素がリアルに描かれ、航海の舞台裏も知ることができます。
つまり、ヨットを知らない方が読むと感動しますが、ヨット乗りが読むと著者が直面した実際の困難をどう解決したかに理解を深め、その航海のリアリティを味わうことができます。
この本の初版は1970年ですが、1975年までに7刷を数えています。その後絶版となり、現在はアマゾンでも古書しか買えません。
私はこの本の原書が読みたくて、米国などに行くたびにいろいろな本屋に行って探しました。ニューヨークに行ったときは、マリナーズという海事関係の本をたくさんおいてある書店にも行きましたが手に入りませんでした。
そのうち、アマゾンで本を買うようになって、試しに米国アマゾンのサイトを検索したら、ペーパーバックが出版されていることが分かり、注文してみたら1週間くらいで配送されたのでびっくりしました。
その頃、東京駅近くの八重洲ブックセンターの1階で、この本が書棚にあるのを見つけて、驚いて購入しました。しばらくしてまた八重洲ブックセンターに行くと、またまた同じ書棚に置いてあるのを見つけ、それも購入しました。
何故か、出版から30年以上たった本が八重洲ブックセンターに置いてあるのです。
見つけるたびに買っていたので、我が家には8冊くらいあるはずです。
いろいろなところに分散しておいてあるので、どこにいても読むことができます。
海上自衛隊在勤中も転勤先には必ず持って行っていました。
二冊目はジョシュア・スローカム著『スプレー号世界周航記』です。
カナダ生まれの船乗りで、廃船を改造したヨット「スプレー号」で単独で世界を一周した記録です。
無寄港ではなく、様々な土地に寄港しながらの航海記です。
この書物は単なる船旅の記録にとどまらず、スローカム自身の観察力豊かな視点から自然や文化に対する深い理解が垣間見え、彼の旅が触れた異国の風景や人々との交流、自然の神秘に対する洞察が素晴らしい本です。単なる冒険譚以上に、異なる文化への尊重や自然との調和への深い尊重が感じられ、一方で、冒険にはリスクと困難が伴うことも描かれています。スローカムが直面した嵐や航海上のトラブルは、彼の強靭な精神力と航海技術を試すものであり、それが彼の冒険をより印象深いものにしています。
彼は船乗りとしての訓練しか受けていないのですが、その言葉は詩的であり、自然との一体感を表現するために繊細な表現が用いられています。彼の大洋や風、波の描写はリアリティを帯びながらも、詩的な要素が散りばめられており、文学作品としても一級品だと思います。
三冊目は、堀江謙一著『太平洋ひとりぼっち』です。
日本人のヨット乗りとして初めて単独で太平洋横断を成し遂げた堀江謙一さんの航海記です。血気盛んな若者らしく、その筆致は決してエレガントではありませんが、彼がどのような情熱をもってその航海を成し遂げたか記述されています。
今の筆者の眼から見ると、危なっかしいこと甚だしく、よく無事に横断できたなと思いますが、若いということは、惧れを知らないということなのだとつくづく思わされます。
彼が乗っていった「マーメイド号」というヨットは全長19フィート5.8mであり、全幅は2mしかありません。設計者は横山晃氏であり、当時日本を代表するヨットの設計家の設計によるものではありますが、資金の乏しかった堀江さんは、その船をラワン材の合板で作るという荒業で挑んでいます。
学生時代の私でも、その船なら、行っても八丈島くらいであり、今なら江の島から大島へ行くのだって嫌です。
航海記をご紹介するといいつつ、ヨットの航海記ばかりになってしまいました。
ヨット以外にも優れた航海記はいろいろと出版されています。
コロンブス、マゼラン、シャックルトン、クックなど歴史的価値のある航海記もありますし、厳密には航海記と言えるかどうか分からないのですが、ダーウィン著『ビーグル号航海記』などというものもあります。また、オフセットから攻めると、北杜夫著『ドクトルまんぼう航海記』なども面白いですね。
欧米には古典から新刊まで、数多くの航海記がありますが、日本ではほとんど見かけません。たまに船旅を紹介している本が置いてある程度です。
筆者は、かねてから日本人は海が嫌いであり、海洋民族ではないと主張しています。
この主張をするたびに海上自衛隊の先輩方から怒られるのですが、主張はいまだに変わりません。
海洋民族ならまともな海洋文学があるはずであり、また書店に航海記が一冊もないということはありえないはずです。
このベスト3がすべて日本人著者によって飾られる日が来るといいなぁなどと思っています。
まぁ、そのうち私の航海記が顔を出すかもしれませんけどね。
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専門コラム「指揮官の決断」第381回 能登半島の地震・津波災害からいかに教訓を導き出すか 掲載のお知らせ
2024年の幕開けに能登半島を襲った地震・津波被害は、日を追うごとにその被害の現実が明らかになっていき、大変な被害であったことが分かってきました。
1月16日現在では222人の方が亡くなったことが確認されています。
ある一定の年齢以上の方々には、阪神淡路大震災の被害をご記憶の方がいらっしゃいます。
5500人近い方が亡くなった大きな災害でした。
私たち人間には、比較効果という心理作用があり、物事を評価する際に、他の事例と比較して判断する傾向があります。阪神淡路大震災の5500人や東日本大震災の2万人という数字が、今回の200人の被害と比較されることで、今回の出来事が相対的に小さく感じられる可能性があります。これは、以前の災害がより大きな影響を残し、それに比べて現在の被害が小さく感じられるという心理的な傾向です。
比較効果は主観的な評価や感情に影響を与える可能性があり、その影響は人々の経験や過去の出来事との関連性によって異なります。
https://aegis-cms.co.jp/3230
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Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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No.373 海を巡る三大航海記
前回、当メールマガジンでは、海にまつわるエッセイの秀作を独断と偏見で三作選びご紹介いたしました。いずれも海に対する深い愛情がにじみ出ており、甲乙つけがたいものです。
ただ、うち一冊はまだ発行されておらず、残念ながら皆様はまだ読めません。乞うご期待です。
今回は、航海記のベスト3を紹介いたします。
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私だって本くらい読みますからね。
第一冊は、ロビン・ノックス・ジョンストン著の『スハイリ号の孤独な冒険』です。
彼は英国の商船乗りですが、世界で初めてヨットによる無寄港単独世界一周を成し遂げたヨット乗りでもあります。
1968年6月に英国のファルマスを出港し、翌年4月に313日間かけてファルマスに戻ってきました。彼がファルマス入港直前に税関の係官が移乗してきて、すました顔で「どちらから?」と尋ね、「ファルマスから」と答えたことは当時有名になりました。
この本は、彼の非凡な冒険心と卓越した航海技術を描いた魅力的な物語であり、孤独な航海者としての極限状態での挑戦に焦点を当てており、スハイリ号という小さなヨットで大洋を横断する中で直面する孤独や過酷な自然環境にどのように対処していったのかを詳細に描写しています。
特筆すべき点は、彼の強靭な精神力と決断力です。彼は長期間にわたり一人きりで海上に身を置き、時折の嵐や技術的な問題に直面しながらも、挫折することなく航海を続け、その抜群の忍耐力と勇気には感動を覚えます。
この航海記はそれだけではなく、その冒険を支える航海技術や機材に関する詳細な描写も散りばめられており、ヨットの船体やセイル、無線通信機器などの技術的な要素がリアルに描かれ、航海の舞台裏も知ることができます。
つまり、ヨットを知らない方が読むと感動しますが、ヨット乗りが読むと著者が直面した実際の困難をどう解決したかに理解を深め、その航海のリアリティを味わうことができます。
この本の初版は1970年ですが、1975年までに7刷を数えています。その後絶版となり、現在はアマゾンでも古書しか買えません。
私はこの本の原書が読みたくて、米国などに行くたびにいろいろな本屋に行って探しました。ニューヨークに行ったときは、マリナーズという海事関係の本をたくさんおいてある書店にも行きましたが手に入りませんでした。
そのうち、アマゾンで本を買うようになって、試しに米国アマゾンのサイトを検索したら、ペーパーバックが出版されていることが分かり、注文してみたら1週間くらいで配送されたのでびっくりしました。
その頃、東京駅近くの八重洲ブックセンターの1階で、この本が書棚にあるのを見つけて、驚いて購入しました。しばらくしてまた八重洲ブックセンターに行くと、またまた同じ書棚に置いてあるのを見つけ、それも購入しました。
何故か、出版から30年以上たった本が八重洲ブックセンターに置いてあるのです。
見つけるたびに買っていたので、我が家には8冊くらいあるはずです。
いろいろなところに分散しておいてあるので、どこにいても読むことができます。
海上自衛隊在勤中も転勤先には必ず持って行っていました。
二冊目はジョシュア・スローカム著『スプレー号世界周航記』です。
カナダ生まれの船乗りで、廃船を改造したヨット「スプレー号」で単独で世界を一周した記録です。
無寄港ではなく、様々な土地に寄港しながらの航海記です。
この書物は単なる船旅の記録にとどまらず、スローカム自身の観察力豊かな視点から自然や文化に対する深い理解が垣間見え、彼の旅が触れた異国の風景や人々との交流、自然の神秘に対する洞察が素晴らしい本です。単なる冒険譚以上に、異なる文化への尊重や自然との調和への深い尊重が感じられ、一方で、冒険にはリスクと困難が伴うことも描かれています。スローカムが直面した嵐や航海上のトラブルは、彼の強靭な精神力と航海技術を試すものであり、それが彼の冒険をより印象深いものにしています。
彼は船乗りとしての訓練しか受けていないのですが、その言葉は詩的であり、自然との一体感を表現するために繊細な表現が用いられています。彼の大洋や風、波の描写はリアリティを帯びながらも、詩的な要素が散りばめられており、文学作品としても一級品だと思います。
三冊目は、堀江謙一著『太平洋ひとりぼっち』です。
日本人のヨット乗りとして初めて単独で太平洋横断を成し遂げた堀江謙一さんの航海記です。血気盛んな若者らしく、その筆致は決してエレガントではありませんが、彼がどのような情熱をもってその航海を成し遂げたか記述されています。
今の筆者の眼から見ると、危なっかしいこと甚だしく、よく無事に横断できたなと思いますが、若いということは、惧れを知らないということなのだとつくづく思わされます。
彼が乗っていった「マーメイド号」というヨットは全長19フィート5.8mであり、全幅は2mしかありません。設計者は横山晃氏であり、当時日本を代表するヨットの設計家の設計によるものではありますが、資金の乏しかった堀江さんは、その船をラワン材の合板で作るという荒業で挑んでいます。
学生時代の私でも、その船なら、行っても八丈島くらいであり、今なら江の島から大島へ行くのだって嫌です。
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ある一定の年齢以上の方々には、阪神淡路大震災の被害をご記憶の方がいらっしゃいます。
5500人近い方が亡くなった大きな災害でした。
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