指揮官の休日 No.362 自衛隊記念日
2023/11/03 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
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専門コラム「指揮官の決断」は、第370回 自衛隊記念日 を掲載いたしました。
自衛隊記念日に際し、思うところを綴っています。
https://aegis-cms.co.jp/3141
No.362 自衛隊記念日
今週の水曜日、11月1日は自衛隊記念日でした。
自衛隊が創隊されたのは1954年7月1日で、創立記念日ということであれば7月1日なのですが、自衛隊記念日というのは、1966年に、隊員の士気の高揚、国民の理解の深化を目的として記念日として定められたもので、必ずしも11月1日そのものではありませんが、曜日や最高指揮官である内閣総理大臣の日程などを勘案しながら、周辺の日々で記念日行事が行われます。何故11月かというと、7月から10月は災害派遣などで部隊がいなくなるおそれがあり、気候が安定する11月が選ばれたということです。
かつては三自衛隊がそれぞれに毎年行っていましたが、1996年以降は三自衛隊の統合行事として行われるようになり、それぞれの持ち回りで記念行事が行われています。
一番有名なのは陸上自衛隊が担当する朝霞駐屯地で行われる中央観閲式で、海上自衛隊は相模湾で観艦式を行います。
今年は航空自衛隊が航空観閲式を入間基地で行うはずなのですが、筆者には何の情報もありません。
筆者は元海上自衛官なので、観艦式には何度も参加しています。
観艦式は総理大臣が座乗する護衛艦を中心とする6隻くらいの観閲部隊とその他の数十隻の護衛艦部隊が相模湾の中央ですれ違うという動きながらの式典で、その大部隊が初島の近くで180度の方向転換を行う壮大な艦隊運動を見ることが出来ます。
この動きながらの観艦式を行っている海軍は日本だけであり、他の海軍には真似しようにもできない艦隊運動です。イタリア海軍の連中に訊いたら、「うちがそんなことをしたら、あちこちで衝突事故を起こして、一日で戦力が半分になっちゃうよ。」と言われたことがあります。
この観艦式は一般の方も応募すれば乗ることができますが、倍率が極端に高く、なかなか乗艦拳を手に入れるのは大変です。
一方の陸上自衛隊担当の朝霞駐屯地の中央観閲式は毎年Youtubeでも動画を観ることができ、どのようなことが行われているのかが分かります。
かなり前に、当メールマガジンでも、この観閲式における部隊の行進で陸上自衛隊と海上自衛隊の違いについてご紹介しましたが、覚えておられる方もそれほど多くはないでしょうし、それ以後に読者となられた方もいらっしゃるので、再度説明させて頂きたいと思います。
平成28年度に朝霞駐屯地で行われた観閲行進の模様が23分の動画にまとめてアップされています。
実は、観閲行進が始まる前に、内閣総理大臣がやってきて、栄誉礼があったり、巡閲があったり、訓示があったりするのですが、それもYoutube上でご覧になれますので、興味のある方は検索してご覧ください。
今回のメールマガジンでは、観閲行進に絞って、陸上自衛隊の行進の仕方と海上自衛隊の行進の仕方の違いを説明します。
同じ自衛隊でも考え方が違うんですよ。
まずは、https://www.youtube.com/watch?v=f0R0eA0LsZc をご覧ください。
冒頭のシーンでは、三自衛隊音楽隊が合同で行進してきます。この音楽隊がまず配置につかないと観閲行進ができないからです。
陸海空音楽隊の三人の隊長を先頭に、バンドマスターに率いられた音楽隊員が演奏しながら行進してきます。
02:02 三人の音楽隊長が歩きながら右を向いて敬礼をしています。敬礼をしている先に紅白の垂れ幕で覆われたお立ち台が見えています。
02:05 カメラがちょっと引いて、お立ち台の全容が見えています。この時点ではよく分かりませんが、中央に安倍首相がいて、向かって右のほうに小柄な白いスーツが見えるのは、当時の稲田防衛大臣です。その他各自衛隊幕僚長や事務次官、防衛大学校長などが壇上に上がっています。
お立ち台の前には何本かの旗が自衛官によって保持されています。これは総理大臣旗、統合幕僚長旗、各幕僚長旗などで、指揮官旗と呼ばれます。
04:50 音楽隊が配置につき、まず陸上自衛隊の音楽隊長が指揮を始め、陸上自衛隊の正式行進曲「陸軍分列行進曲」の演奏が始まります。まず最初に観閲官の前を通る受閲部隊指揮官が陸上自衛隊第一師団長であることから、陸上自衛隊の正式行進曲が演奏されるのでしょう。
この曲は、明治18年に鹿鳴館で初演が行われた曲で、当時フランスから招聘されていたシャルル・ルルーという音楽家が作曲したものです。西南戦争最大の激戦であった田原坂の戦いにおいて官軍で編成された 抜刀隊の戦いを歌ったものであり、歌詞は「我は官軍、我こそは・・・」と始まる古式ゆかしい曲です。
06:37 受閲部隊指揮官第一師団長が装甲車の車上から「頭、右」の号令をかけて敬礼をします。同時に師団長旗の旗手が師団長旗を前に倒して敬礼します。
旗の敬礼は、旗を半分まで降ろすか、あるいは旗竿を前に倒すことで行われます。
これに対して壇上の首相以下が胸に手を当てて答礼をしているのが映し出されます。壇上にいる制服の自衛官は陸・海・空の幕僚長等ですが、挙手の敬礼をしています。
しかし、壇の前で保持されている総理大臣旗をはじめとする各指揮官旗はそのまま直立していることにご注目ください。総理大臣等の指揮官旗は答礼をしないのです。
06:58 大写しになった安倍首相の前にお立ち台の前に並んでいる指揮官旗が一斉に持ち上げられ、前に倒されました。
安倍首相や指揮官旗を保持している自衛官が斜め左前を向いています。
07:08 音楽隊長が演奏は続いているのに指揮をせずに右を見て敬礼しているのが見えます。
これは彼の右45度に部隊用国旗である日章旗が旗衛隊に護られて進んできているからです。音楽隊長は受閲部隊指揮官が通るときには指揮を続けていましたが、国旗には指揮を止めて敬礼をしています。
同時に、壇の下で保持されていた各指揮官旗が一斉に前に倒されて敬礼をしているのが見えます。指揮官旗は観閲部隊指揮官などには答礼はしませんでしたが、国旗に対しては答礼ではなく敬礼をするのです。
07:39 国旗を敬礼で見送っていた音楽隊長が指揮を再開しました。国旗が彼の左45度より向こうに進んだということです。
国旗が目の前を通る時、斜め45度に来たときに敬礼を行い、反対側45度になった時に敬礼を止めるのが礼式です。音楽隊長もお立ち台前の指揮官旗もそのように振舞っています。
次に防衛大学校学生隊が観閲行進を行っています。彼らは小銃を保持しています。
09:06 防衛大学校学生隊の第5梯隊が行進していますが、先頭で指揮刀を抜いて首相に敬礼している指揮官は女子学生ですね。
09:44 一度胸の手を降ろしていた壇上の人々が再び胸に手を当てました。防衛医科大学校学生隊が彼らの左45度まで行進してきて、敬礼しているのです。指揮官旗はそのままであることにご注意ください。
防衛医科大学校学生隊の指揮官に続き、指揮官付き幕僚が4名で行進し、その後ろを防衛医科大学校旗が行進しています。
続いて防衛医科大学校学生隊が行進していますが、さすがに武装はしておらず白いバッグを抱えています。仕方ないのでしょうが行進がおそろしくへたくそですね。
お医者さんになってからいい思い出になるでしょう。
11:18 高等工科学校が行進しています。もともとは陸上自衛隊少年工科学校として中学を卒業した者を採用して高校教育をしながら陸上自衛隊の中堅を担う人材を養成する学校でしたが、中学を卒業して入隊するため、これを自衛官にすると「日本は少年兵を使っている。」という国際非難を浴びますので、自衛官の定員から外し、卒業してから自衛官に採用される自衛隊員という位置づけになっています。つまり、ここで小銃をもって行進しているのは高校生です。神奈川県立湘南高校通信課程に在学しています。
学生隊指揮学生の後ろに4名の幕僚が従い、その後ろに小銃を抱えた旗衛隊に護られた学校旗が行進します。旗竿を前に倒して敬礼しながら通過します。
ここでも、首相以下は答礼はしていますが、指揮官旗は直立したままです。
12:43 壇上の人々が左を向いて答礼をしてます。陸上自衛隊部隊の行進が始まり、陸上自衛隊部隊の指揮官が「頭、右」を令したのに対する答礼です。指揮官旗は直立しています。
12:52 陸上自衛隊は指揮官の後ろを幕僚が乗った車両が続き、そのあとに部隊旗が通ります。つまり、部隊旗の前を指揮官が行進しています。
16:57 演奏を指揮している音楽隊長が左手を挙げました。その後、両手を交差させると「陸軍分列行進曲」の演奏が終わり、ドラムだけになり、陸上自衛隊の音楽隊長が指揮の位置を離れました。
17:12 代わりに海上自衛隊の音楽隊長が現れ、指揮を始めます。海上自衛隊部隊の行進が始まるのです。曲は海上自衛隊正式行進曲「軍艦」に代わります。
17:23 指揮官旗が一斉に持ち上げられ、続いて前に倒されて敬礼をします。演奏は続いていますが、音楽隊長も右を向いて敬礼をしています。安倍首相以下も胸に手を当てています。これは海上自衛隊部隊の先頭を自衛艦旗が行進しているからです。
自衛艦旗は国旗として扱われるため、内閣総理大臣といえども敬礼をしなければなりません。したがって指揮官旗も前に倒されて敬礼をしています。
17:35 一人だけ敬礼をしていない稲田防衛大臣が敬礼をするよう促されて胸に手を当てました。彼女は、自衛艦旗が国旗扱いだということを知らないのです。その程度の認識の防衛大臣だったということです。
17:40 自衛艦旗が旗衛隊に護られて首相の前を通りますが、行進している自衛艦旗は倒されていません。つまり答礼もしないのです。最初に通った部隊用国旗である日章旗もそうでしたが、日章旗や自衛艦旗は答礼さえしないのです。
17:51 海上自衛隊部隊の指揮官が首相の前に達しましたが、音楽隊長は演奏の指揮に戻って、指揮官に敬礼はしていません。音楽隊長が演奏中に敬礼をするのは日章旗と自衛艦旗に対してだけなのです。
首相以下は相変わらず胸に手を当てていますが、これは敬礼をしているのではなく、海上自衛隊部隊の敬礼に対して答礼をしていることになります。
以下、同様に航空自衛隊の部隊などの行進が続きます。
海上自衛隊の音楽隊長が航空自衛隊の音楽隊長と指揮を交代するときの演奏の止め方が陸上自衛隊の音楽隊長の止め方と異なることなど、よく注意してご覧になると面白いかもしれません。
ここでボケーッと見ていたのではない方々はお気づきになったかと思いますが、陸・空自衛隊と海上自衛隊の部隊とでは観閲行進のやり方が異なります。
陸・空自衛隊では指揮官が先頭で部隊旗はその後ろを行進しますが、海上自衛隊の行進は常に自衛艦旗が旗衛隊とともに先頭を行進します。
これは自衛艦旗が海上自衛隊の部隊旗であると同時に国旗として扱わなければならない存在だからです。
部隊旗や指揮官旗は日章旗や自衛艦旗に対しては敬礼をしますが、日章旗や自衛艦旗は答礼さえしません。
自衛艦旗が答礼するのは、洋上で民間船や他国の海軍艦艇から国旗または軍艦旗による敬礼をされた場合だけです。
国旗や軍艦旗に対しては、軍人ではなくとも、一応の敬意を払う必要があります。
よくステージに国旗が掲げられている集会などでスピーチを行う人が登壇した際、国旗に一礼して演台に向かう姿を見受けます。官房長官の記者会見なども毎回そのように行われています。これは当然のマナーです。
日本で日章旗に対して頭を下げることを要さないのは憲法で象徴と規定された天皇だけであり、同じ国家元首であっても米国大統領は星条旗に対して敬礼をしなければなりません。
彼は選挙で選ばられただけで、象徴ではないからです。
私たちは外国の国旗や国歌に対しても敬意を払う必要があります。
国際人として教育しなければならないというと何故か英語教育の話になるのですが、会話能力はもちろん大切でしょうが、国際的なマナーを知らずにやたら喋りまくる人が国際人と言えるかどうかは疑問ですよね。
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専門コラム「指揮官の決断」第370回 自衛隊記念日 掲載のお知らせ
11月1日は自衛隊記念日です。
自衛隊は1954年7月1日に防衛庁設置法と自衛隊法が施行されて発足したので、自衛隊が創設された日という意味では7月1日なのですが、隊員の士気の高揚、国民の理解と信頼を深めるという意味での自衛隊記念日が11月1日とされたのが1966年でした。
何故かというと、記念日行事を行うために、7月から10月であると台風などの災害での出動が予想されるので、天候が安定する11月が選ばれたようです。
この記念日に際し、かつては三自衛隊がそれぞれ記念日行事を行っていました。
陸上自衛隊を中心とする観閲行進などは、かつては神宮外苑絵画館前などで行われたり、式典が国立競技場で行われたりしました。駐屯地へ帰還する際、戦車が日比谷通りを走り抜けたりしていたこともありました。
それがある時から朝霞駐屯地で行われるようになり、市内で戦車を見かけるということがほとんどなくなりました。
続きはこちらでお読みください。
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今週の水曜日、11月1日は自衛隊記念日でした。
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一番有名なのは陸上自衛隊が担当する朝霞駐屯地で行われる中央観閲式で、海上自衛隊は相模湾で観艦式を行います。
今年は航空自衛隊が航空観閲式を入間基地で行うはずなのですが、筆者には何の情報もありません。
筆者は元海上自衛官なので、観艦式には何度も参加しています。
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一方の陸上自衛隊担当の朝霞駐屯地の中央観閲式は毎年Youtubeでも動画を観ることができ、どのようなことが行われているのかが分かります。
かなり前に、当メールマガジンでも、この観閲式における部隊の行進で陸上自衛隊と海上自衛隊の違いについてご紹介しましたが、覚えておられる方もそれほど多くはないでしょうし、それ以後に読者となられた方もいらっしゃるので、再度説明させて頂きたいと思います。
平成28年度に朝霞駐屯地で行われた観閲行進の模様が23分の動画にまとめてアップされています。
実は、観閲行進が始まる前に、内閣総理大臣がやってきて、栄誉礼があったり、巡閲があったり、訓示があったりするのですが、それもYoutube上でご覧になれますので、興味のある方は検索してご覧ください。
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同じ自衛隊でも考え方が違うんですよ。
まずは、https://www.youtube.com/watch?v=f0R0eA0LsZc をご覧ください。
冒頭のシーンでは、三自衛隊音楽隊が合同で行進してきます。この音楽隊がまず配置につかないと観閲行進ができないからです。
陸海空音楽隊の三人の隊長を先頭に、バンドマスターに率いられた音楽隊員が演奏しながら行進してきます。
02:02 三人の音楽隊長が歩きながら右を向いて敬礼をしています。敬礼をしている先に紅白の垂れ幕で覆われたお立ち台が見えています。
02:05 カメラがちょっと引いて、お立ち台の全容が見えています。この時点ではよく分かりませんが、中央に安倍首相がいて、向かって右のほうに小柄な白いスーツが見えるのは、当時の稲田防衛大臣です。その他各自衛隊幕僚長や事務次官、防衛大学校長などが壇上に上がっています。
お立ち台の前には何本かの旗が自衛官によって保持されています。これは総理大臣旗、統合幕僚長旗、各幕僚長旗などで、指揮官旗と呼ばれます。
04:50 音楽隊が配置につき、まず陸上自衛隊の音楽隊長が指揮を始め、陸上自衛隊の正式行進曲「陸軍分列行進曲」の演奏が始まります。まず最初に観閲官の前を通る受閲部隊指揮官が陸上自衛隊第一師団長であることから、陸上自衛隊の正式行進曲が演奏されるのでしょう。
この曲は、明治18年に鹿鳴館で初演が行われた曲で、当時フランスから招聘されていたシャルル・ルルーという音楽家が作曲したものです。西南戦争最大の激戦であった田原坂の戦いにおいて官軍で編成された 抜刀隊の戦いを歌ったものであり、歌詞は「我は官軍、我こそは・・・」と始まる古式ゆかしい曲です。
06:37 受閲部隊指揮官第一師団長が装甲車の車上から「頭、右」の号令をかけて敬礼をします。同時に師団長旗の旗手が師団長旗を前に倒して敬礼します。
旗の敬礼は、旗を半分まで降ろすか、あるいは旗竿を前に倒すことで行われます。
これに対して壇上の首相以下が胸に手を当てて答礼をしているのが映し出されます。壇上にいる制服の自衛官は陸・海・空の幕僚長等ですが、挙手の敬礼をしています。
しかし、壇の前で保持されている総理大臣旗をはじめとする各指揮官旗はそのまま直立していることにご注目ください。総理大臣等の指揮官旗は答礼をしないのです。
06:58 大写しになった安倍首相の前にお立ち台の前に並んでいる指揮官旗が一斉に持ち上げられ、前に倒されました。
安倍首相や指揮官旗を保持している自衛官が斜め左前を向いています。
07:08 音楽隊長が演奏は続いているのに指揮をせずに右を見て敬礼しているのが見えます。
これは彼の右45度に部隊用国旗である日章旗が旗衛隊に護られて進んできているからです。音楽隊長は受閲部隊指揮官が通るときには指揮を続けていましたが、国旗には指揮を止めて敬礼をしています。
同時に、壇の下で保持されていた各指揮官旗が一斉に前に倒されて敬礼をしているのが見えます。指揮官旗は観閲部隊指揮官などには答礼はしませんでしたが、国旗に対しては答礼ではなく敬礼をするのです。
07:39 国旗を敬礼で見送っていた音楽隊長が指揮を再開しました。国旗が彼の左45度より向こうに進んだということです。
国旗が目の前を通る時、斜め45度に来たときに敬礼を行い、反対側45度になった時に敬礼を止めるのが礼式です。音楽隊長もお立ち台前の指揮官旗もそのように振舞っています。
次に防衛大学校学生隊が観閲行進を行っています。彼らは小銃を保持しています。
09:06 防衛大学校学生隊の第5梯隊が行進していますが、先頭で指揮刀を抜いて首相に敬礼している指揮官は女子学生ですね。
09:44 一度胸の手を降ろしていた壇上の人々が再び胸に手を当てました。防衛医科大学校学生隊が彼らの左45度まで行進してきて、敬礼しているのです。指揮官旗はそのままであることにご注意ください。
防衛医科大学校学生隊の指揮官に続き、指揮官付き幕僚が4名で行進し、その後ろを防衛医科大学校旗が行進しています。
続いて防衛医科大学校学生隊が行進していますが、さすがに武装はしておらず白いバッグを抱えています。仕方ないのでしょうが行進がおそろしくへたくそですね。
お医者さんになってからいい思い出になるでしょう。
11:18 高等工科学校が行進しています。もともとは陸上自衛隊少年工科学校として中学を卒業した者を採用して高校教育をしながら陸上自衛隊の中堅を担う人材を養成する学校でしたが、中学を卒業して入隊するため、これを自衛官にすると「日本は少年兵を使っている。」という国際非難を浴びますので、自衛官の定員から外し、卒業してから自衛官に採用される自衛隊員という位置づけになっています。つまり、ここで小銃をもって行進しているのは高校生です。神奈川県立湘南高校通信課程に在学しています。
学生隊指揮学生の後ろに4名の幕僚が従い、その後ろに小銃を抱えた旗衛隊に護られた学校旗が行進します。旗竿を前に倒して敬礼しながら通過します。
ここでも、首相以下は答礼はしていますが、指揮官旗は直立したままです。
12:43 壇上の人々が左を向いて答礼をしてます。陸上自衛隊部隊の行進が始まり、陸上自衛隊部隊の指揮官が「頭、右」を令したのに対する答礼です。指揮官旗は直立しています。
12:52 陸上自衛隊は指揮官の後ろを幕僚が乗った車両が続き、そのあとに部隊旗が通ります。つまり、部隊旗の前を指揮官が行進しています。
16:57 演奏を指揮している音楽隊長が左手を挙げました。その後、両手を交差させると「陸軍分列行進曲」の演奏が終わり、ドラムだけになり、陸上自衛隊の音楽隊長が指揮の位置を離れました。
17:12 代わりに海上自衛隊の音楽隊長が現れ、指揮を始めます。海上自衛隊部隊の行進が始まるのです。曲は海上自衛隊正式行進曲「軍艦」に代わります。
17:23 指揮官旗が一斉に持ち上げられ、続いて前に倒されて敬礼をします。演奏は続いていますが、音楽隊長も右を向いて敬礼をしています。安倍首相以下も胸に手を当てています。これは海上自衛隊部隊の先頭を自衛艦旗が行進しているからです。
自衛艦旗は国旗として扱われるため、内閣総理大臣といえども敬礼をしなければなりません。したがって指揮官旗も前に倒されて敬礼をしています。
17:35 一人だけ敬礼をしていない稲田防衛大臣が敬礼をするよう促されて胸に手を当てました。彼女は、自衛艦旗が国旗扱いだということを知らないのです。その程度の認識の防衛大臣だったということです。
17:40 自衛艦旗が旗衛隊に護られて首相の前を通りますが、行進している自衛艦旗は倒されていません。つまり答礼もしないのです。最初に通った部隊用国旗である日章旗もそうでしたが、日章旗や自衛艦旗は答礼さえしないのです。
17:51 海上自衛隊部隊の指揮官が首相の前に達しましたが、音楽隊長は演奏の指揮に戻って、指揮官に敬礼はしていません。音楽隊長が演奏中に敬礼をするのは日章旗と自衛艦旗に対してだけなのです。
首相以下は相変わらず胸に手を当てていますが、これは敬礼をしているのではなく、海上自衛隊部隊の敬礼に対して答礼をしていることになります。
以下、同様に航空自衛隊の部隊などの行進が続きます。
海上自衛隊の音楽隊長が航空自衛隊の音楽隊長と指揮を交代するときの演奏の止め方が陸上自衛隊の音楽隊長の止め方と異なることなど、よく注意してご覧になると面白いかもしれません。
ここでボケーッと見ていたのではない方々はお気づきになったかと思いますが、陸・空自衛隊と海上自衛隊の部隊とでは観閲行進のやり方が異なります。
陸・空自衛隊では指揮官が先頭で部隊旗はその後ろを行進しますが、海上自衛隊の行進は常に自衛艦旗が旗衛隊とともに先頭を行進します。
これは自衛艦旗が海上自衛隊の部隊旗であると同時に国旗として扱わなければならない存在だからです。
部隊旗や指揮官旗は日章旗や自衛艦旗に対しては敬礼をしますが、日章旗や自衛艦旗は答礼さえしません。
自衛艦旗が答礼するのは、洋上で民間船や他国の海軍艦艇から国旗または軍艦旗による敬礼をされた場合だけです。
国旗や軍艦旗に対しては、軍人ではなくとも、一応の敬意を払う必要があります。
よくステージに国旗が掲げられている集会などでスピーチを行う人が登壇した際、国旗に一礼して演台に向かう姿を見受けます。官房長官の記者会見なども毎回そのように行われています。これは当然のマナーです。
日本で日章旗に対して頭を下げることを要さないのは憲法で象徴と規定された天皇だけであり、同じ国家元首であっても米国大統領は星条旗に対して敬礼をしなければなりません。
彼は選挙で選ばられただけで、象徴ではないからです。
私たちは外国の国旗や国歌に対しても敬意を払う必要があります。
国際人として教育しなければならないというと何故か英語教育の話になるのですが、会話能力はもちろん大切でしょうが、国際的なマナーを知らずにやたら喋りまくる人が国際人と言えるかどうかは疑問ですよね。
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専門コラム「指揮官の決断」第370回 自衛隊記念日 掲載のお知らせ
11月1日は自衛隊記念日です。
自衛隊は1954年7月1日に防衛庁設置法と自衛隊法が施行されて発足したので、自衛隊が創設された日という意味では7月1日なのですが、隊員の士気の高揚、国民の理解と信頼を深めるという意味での自衛隊記念日が11月1日とされたのが1966年でした。
何故かというと、記念日行事を行うために、7月から10月であると台風などの災害での出動が予想されるので、天候が安定する11月が選ばれたようです。
この記念日に際し、かつては三自衛隊がそれぞれ記念日行事を行っていました。
陸上自衛隊を中心とする観閲行進などは、かつては神宮外苑絵画館前などで行われたり、式典が国立競技場で行われたりしました。駐屯地へ帰還する際、戦車が日比谷通りを走り抜けたりしていたこともありました。
それがある時から朝霞駐屯地で行われるようになり、市内で戦車を見かけるということがほとんどなくなりました。
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