メールマガジン「指揮官の休日」 No.433 淡い期待
2025/11/28 (Fri) 11:11
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第450回 存立危機事態 を掲載いたしました。
安全保障や軍事に関しては専門外として論ずることを避けてきた当コラムですが、台湾問題が危機管理上の大きな問題になりつつあり、危機管理専門コラムとして触れないわけにはいかなくなり、まず、この問題を取り扱うことの困難性について解説しています。
https://aegis-cms.co.jp/3627
No.433 淡い期待
先月、日本の憲政史上最低級の首相が退陣し、高市早苗内閣が誕生しました。
5人の候補者の中で、唯一マクロ経済を理解している候補者だったので、とりあえず安心しました。これ以上、この国の経済を陥れる経済政策を取られると、冗談ではなく日本は世界の三流国にも留まれなくなります。すでに二流国に転落していますので。
石破首相が、「日本の経済は酷い、ギリシャよりも悪い。」と発言して物議を醸しだしましたが、この発言の根拠が経済学的には誤りなのですが、実態上は正しい発言でした。
経済学的に誤りと言うのは、彼の発言の根拠がGDPと国の債務残高の比率がギリシャよりも高いことだったからです。
実は、この数字は経済学的には何の意味もありません。財務省が国民を騙すために見つけてきた数字にすぎません。その証拠に、日本の国債に対する信頼を示すCDS(Credit Default Swap)はG7の中で2番目です。
ただ、実態的に彼の発言が正しいというのは、日本の財政政策がギリシャよりも酷いからです。
ギリシャはこのCDSの値が極端に酷く、誰もその国債を買おうとしませんでした。いつ紙くずになるか分からないからです。ところがギリシャは国を挙げて再建に努め、財政を改善させ、いまやCDS値もイタリアよりも良くなっています。
それに比べて、日本の歴代内閣は相変わらずのプライマリーバランス黒字化を目指し、この国を貧乏にしようと必死の政策を取っています。つまり、石破首相が述べた理由とはまったく反対の理由で、この国の経済はギリシャよりも酷いことになっているということです。
新総裁はそのことを理解しており、所信表明でも責任ある積極財政と言う表現をしています。
しかし、この国の現首相である奇妙な生き物がことごとく壊して回った(という意味ではゴジラに匹敵する能力を持っていたことになります。)日本の精神性を立て直すのには時間がかかるでしょう。
財務省のとてつもない妨害と戦い、メディアと戦わなければならないのは明白でしょう。
彼女にはそれらと戦う意志や気力が十分だと思っています。
ただ、総裁選が終わった後の言動で、気になることもあります。
まず、総裁選が終わった直後のスピーチで、「全員に馬車馬のように働いていただく。私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる。」と発言したことです。
この発言を巡って、「政府が推し進めてきた健康的な職場づくりを否定し、古くからの精神主義を復活させるもの」として撤回を求める声明を出したのが、「過労死弁護団全国連絡会議」です。
これは弁護士が中心となって組織されている団体ですが、この連中は六法全書をどこまで読むことができるのか疑問なのですが、おそろしくお粗末な読解力と言わざるを得ません。
この発言が誰に宛てた発言であったかというというと、自民党の代議士たちに対してです。そうでなければ党を再生させることができないからです。
人数が少なくなっているので、一人が何人分もの働きをしなければならないのです。
国民全体に「働け」と言ったのではありません。そんなことも分からない弁護士が作っている団体であることが分かって、がっかりしています。
筆者が問題しているのは、そこではなく、「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる。」という部分です。
筆者に言わせれば、「そんなこと当たり前だろう。」というところです。
筆者はかつて、水上部隊司令部の幕僚として2年間で17日しか休みの無い勤務をしたことがあります。当時、海上自衛隊に1隻しかなかったイージス艦の戦力化に必死になっていた部隊の司令部幕僚として、幹部学校指揮幕僚課程を修業して着任したのです。
水上部隊だったため、航海中は連日司令部勤務でしたし、母港に帰っても、様々な調整や次の訓練の計画などで土・日もなく司令部で勤務していました。むしろ週末の方が、他からの電話などがあまり入らないので効率よく仕事ができると思っていたくらいでした。
当時の筆者の週末というのは、夜10時、11時まで仕事をしているのではなく、8時くらいには街に出て飲むか、というものでした。
当時、筆者は2等海佐でした。
末端の国家公務員ですら、そんな仕事をしていたのに、一国の首相がワーク・ライフ・バランスなどとんでもない、というのが筆者の思いです。
筆者はこのメールマガジンやコラムの中で、「憲政史上、職責を果たせずに自決した政治家を一人も知らない。」と発言していますが、同様に勤務過多による過労で死んだ政治家も一人も知りません。在職中に亡くなった首相としては大平首相、小渕首相がいます。
大平首相は選挙の遊説中に倒れ、急性心不全で亡くなりましたが、以前からニトロールを服用していたこともあり、もともと循環器系の病気を持っていたようです。
小渕首相も在職中に亡くなりました。脳梗塞が原因で生じる一過性脳虚血発作と診断されていますが、国会での答弁中にも言葉が出てこないことがあり、心房細動の持病があり、それによって軽い脳塞栓症が起こっていたことが疑われます。それによって軽い脳塞栓症が起こっていたことが疑われています。
つまり、新憲法のもとで、首相になっていなければもう少し長生きされたであろうという政治家は二人しかいません。
安倍首相は例外で、第一、第二次内閣ともに持病の腸炎のため政務を担当できなくなり、国政を停滞させることから身を引いたと言われています。
首相は自衛隊の最高指揮官です。部下の自衛隊員は宣誓をしています。
その宣誓文は次のように結ばれています。「強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」
そのような隊員のトップに立つ首相に「ワーク・ライフ・バランス」なんか考えられてたまるか、というのが筆者の正直な思いです。
また、もう一つがっかりしたことがあります。
彼女が総裁に決まって最初に総裁の椅子に座る写真を報道は撮りたがります。
この時彼女は、総裁室にある日章旗と自民党旗に向かって一礼してから椅子に座りました。前総裁はやらなかった動作なので、これだけは評価できますが、しかし、問題はその日章旗の位置です。
このメールマガジンやコラムで何度も指摘していますが、日章旗が総裁の椅子の左後ろにあるのは許容できません。
この位置で執務ができるのは、天皇だけです。(ちなみに天皇の執務室に日章旗は置かれていません。)自民党総裁ごときが座っていい位置ではありません。
たとえ首相であっても、その位置で執務することは常識外れです。首相は国家元首ではないからです。(ちなみに、米国大統領は元首ですが、ホワイトハウスの大統領執務室では、国旗の左前で仕事をしています。つまり、国旗を自分よりも右側に置いているのです。)
そういった常識を政治家に期待しても無駄なので、誰かが教えてやらなければなりません。
官邸にも国家公務員の優秀なスタッフはいるでしょうし、自民党にも優秀な秘書はいるはずです。しかし、彼等にもそのような常識は期待できません。
首相に日章旗の右前でスピーチをさせる場合が多いので気にしています。
筆者が秘書官だったり、副官だったりしたら、まず事前に確認する際に国旗の位置を指摘して置き直させるところですが、そういう秘書官も副官もいなかったのでしょう。
国際儀礼が心配です。
稲田防衛大臣だった時の自衛隊観閲式で、当時の安倍首相以下、多くの方々がお立ち台に立って、目の前を行進していく部隊の敬礼を受けて答礼をされていました。
この中で、部隊が敬礼するのに答礼する場合と、首相以下が先に敬礼すべき場合があります。
まず最初に全体の指揮を執る陸上自衛隊の第一師団長が行進の先頭として、車上から敬礼をしてきます。
それに対しては答礼すればいいのですが、その後ろを日章旗が旗衛隊に守られて行進してきます。それは国旗ですから、首相といえども敬礼しなければなりません。
この時、音楽隊の指揮を執っているのは陸上自衛隊の音楽隊長ですが、彼も指揮を一時中断し、挙手の敬礼をしています。そのあとは、まず防衛大学校学生隊、防衛医科大学校学生隊、工科学校学生隊などが続き、その後に陸上自衛隊の部隊が行進します。陸上自衛隊の行進が終わると、行進曲が「軍艦行進曲」に代わり、海上自衛隊の行進が始まるのですが、海上自衛隊は陸上自衛隊と異なり、部隊旗である自衛艦旗が最初に、しかも指揮官の前を行進してくるのです。それは、自衛艦旗が部隊旗であると同時に国旗でもあるからです。
観閲式参加部隊の指揮を執る陸上自衛隊第一師団長は国旗の前を行進してきますが、海上自衛隊の指揮官は国旗の前を行進するような非常識な真似はしませんので、自衛艦旗が先に旗衛隊に守られて行進していきます。
お立ち台上の安倍首相は、自衛艦旗が行進してくるのを見て自分から敬礼され、その他の事務次官や各幕僚長なども自衛艦旗に敬礼しているのに、稲田防衛大臣だけは直立したまま動きません。多分、自衛艦旗の後ろを行進してくる海自部隊の敬礼に応えるつもりなんでしょう。たまらずに、お立ち台の後ろに控えていた陸上自衛官(女性だったので、多分副官だったかもしれません。)が稲田大臣に耳打ちすると、慌てて自衛艦旗に敬礼をしました。音楽隊の指揮は海上自衛隊の音楽隊長に代わっており、彼も指揮を一時中断して挙手の敬礼をしています。
彼女は弁護士出身のはずですが自衛隊法を読んでいないのでしょう。政治家の常識なんてその程度のものです。
ただ、大臣副官がそれくらい事前にレクチャーしておくべきでしょう。
大臣副官はまだ若いので、政治家には常識など期待できないということを知らず、政治家に対する幻想を持っているのかもしれません。
以上、高市総裁が選出されて以来、気付いたことなどをダラダラと書き連ねました。
しかし、さしあたって二点しか述べていません。
前総裁の場合には、総裁就任前から論点が百出していましたので、それに比べれば圧倒的に少数です。
この国に最後に残された希望が彼女なのかもしれません。
日本の憲政史上稀にも見ない醜悪で下品なトップの後に就任された新首相は、比較において「女神」に見えます。
トランプ大統領の訪日において、横須賀在泊の空母ジョージ・ワシントンで、大統領から米軍兵士に紹介され、片手を高々と上げて、ジャンプして一回りして米軍兵士の心を鷲掴みにし、APEC首脳会議では、隣に座ったインドネシアのプラボウォ大統領に椅子を摺り寄せて話しかけて、東南アジアの人々の好感度をアップさせたり、オーストラリアのアルバニージー首相と通訳抜きで話し込んだり、チリのボリッチ大統領とは肩を組んで話をしたりして、前トップとは雲泥の差のあるコミュニケーション能力を発揮しています。
G20で、イタリアのメローニ首相とは、初対面であるにもかかわらず両手を広げてハグを交わし、一挙に距離を縮めてしまいました。
初めての海外での会議に出席して、テーブルで一人でスマホを眺め、あいさつに近寄ってきた列国首脳とは椅子に座ったまま握手をするという前首相の外交非常識に比べると格段の開きがあります。
経済や安全保障に関する考え方は、ある程度知られていましたが、その外交手腕が未知数と言われてきた首相ですが、経験を積んでいけば、阿部元首相をしのぐ世界的なリーダーになっていくでしょう。
しばらく期待して見守ることにします。
https://www.youtube.com/watch?v=jnXnBo9Koos
https://search.yahoo.co.jp/realtime/search/tweet/1984536878050394301?detail=1&ifr=tl_twdtl&rkf=1
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専門コラム「指揮官の決断」更新のご案内
第450回 存立危機事態 を掲載いたしました。
ちょっと事情があって、しばらくコラムの執筆ができませんでした。
このコラムをお読みいただいている多くの方々はご存じですが、筆者の政治およびメディア嫌いは筋金入りで、さらに相手が政治そのものでなく政治家になると、それに向かう態度も、我ながらそこまでやるかというくらい極端なものになります。一般の方相手にはとてもではないけれど失礼で、そんなことは絶対できないよ、というような態度も、相手が政治家だと平気でします。
例えば、筆者は経営者ですので、名刺を交換すべき時には、しっかりと自分の名刺もお渡ししますし、相手方と同時になるときには、自分の名刺が下になるように差し出したりもします。
しかし、相手が政治家だと、名刺をもらっても(まず受け取ろうとしませんが・・・)、自分の名刺を渡さないこともあります。また相手がマスコミ関係者であると、さらに失礼な態度を当初から取ることがあります。
以下は本文をお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/3627
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石破首相が、「日本の経済は酷い、ギリシャよりも悪い。」と発言して物議を醸しだしましたが、この発言の根拠が経済学的には誤りなのですが、実態上は正しい発言でした。
経済学的に誤りと言うのは、彼の発言の根拠がGDPと国の債務残高の比率がギリシャよりも高いことだったからです。
実は、この数字は経済学的には何の意味もありません。財務省が国民を騙すために見つけてきた数字にすぎません。その証拠に、日本の国債に対する信頼を示すCDS(Credit Default Swap)はG7の中で2番目です。
ただ、実態的に彼の発言が正しいというのは、日本の財政政策がギリシャよりも酷いからです。
ギリシャはこのCDSの値が極端に酷く、誰もその国債を買おうとしませんでした。いつ紙くずになるか分からないからです。ところがギリシャは国を挙げて再建に努め、財政を改善させ、いまやCDS値もイタリアよりも良くなっています。
それに比べて、日本の歴代内閣は相変わらずのプライマリーバランス黒字化を目指し、この国を貧乏にしようと必死の政策を取っています。つまり、石破首相が述べた理由とはまったく反対の理由で、この国の経済はギリシャよりも酷いことになっているということです。
新総裁はそのことを理解しており、所信表明でも責任ある積極財政と言う表現をしています。
しかし、この国の現首相である奇妙な生き物がことごとく壊して回った(という意味ではゴジラに匹敵する能力を持っていたことになります。)日本の精神性を立て直すのには時間がかかるでしょう。
財務省のとてつもない妨害と戦い、メディアと戦わなければならないのは明白でしょう。
彼女にはそれらと戦う意志や気力が十分だと思っています。
ただ、総裁選が終わった後の言動で、気になることもあります。
まず、総裁選が終わった直後のスピーチで、「全員に馬車馬のように働いていただく。私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる。」と発言したことです。
この発言を巡って、「政府が推し進めてきた健康的な職場づくりを否定し、古くからの精神主義を復活させるもの」として撤回を求める声明を出したのが、「過労死弁護団全国連絡会議」です。
これは弁護士が中心となって組織されている団体ですが、この連中は六法全書をどこまで読むことができるのか疑問なのですが、おそろしくお粗末な読解力と言わざるを得ません。
この発言が誰に宛てた発言であったかというというと、自民党の代議士たちに対してです。そうでなければ党を再生させることができないからです。
人数が少なくなっているので、一人が何人分もの働きをしなければならないのです。
国民全体に「働け」と言ったのではありません。そんなことも分からない弁護士が作っている団体であることが分かって、がっかりしています。
筆者が問題しているのは、そこではなく、「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる。」という部分です。
筆者に言わせれば、「そんなこと当たり前だろう。」というところです。
筆者はかつて、水上部隊司令部の幕僚として2年間で17日しか休みの無い勤務をしたことがあります。当時、海上自衛隊に1隻しかなかったイージス艦の戦力化に必死になっていた部隊の司令部幕僚として、幹部学校指揮幕僚課程を修業して着任したのです。
水上部隊だったため、航海中は連日司令部勤務でしたし、母港に帰っても、様々な調整や次の訓練の計画などで土・日もなく司令部で勤務していました。むしろ週末の方が、他からの電話などがあまり入らないので効率よく仕事ができると思っていたくらいでした。
当時の筆者の週末というのは、夜10時、11時まで仕事をしているのではなく、8時くらいには街に出て飲むか、というものでした。
当時、筆者は2等海佐でした。
末端の国家公務員ですら、そんな仕事をしていたのに、一国の首相がワーク・ライフ・バランスなどとんでもない、というのが筆者の思いです。
筆者はこのメールマガジンやコラムの中で、「憲政史上、職責を果たせずに自決した政治家を一人も知らない。」と発言していますが、同様に勤務過多による過労で死んだ政治家も一人も知りません。在職中に亡くなった首相としては大平首相、小渕首相がいます。
大平首相は選挙の遊説中に倒れ、急性心不全で亡くなりましたが、以前からニトロールを服用していたこともあり、もともと循環器系の病気を持っていたようです。
小渕首相も在職中に亡くなりました。脳梗塞が原因で生じる一過性脳虚血発作と診断されていますが、国会での答弁中にも言葉が出てこないことがあり、心房細動の持病があり、それによって軽い脳塞栓症が起こっていたことが疑われます。それによって軽い脳塞栓症が起こっていたことが疑われています。
つまり、新憲法のもとで、首相になっていなければもう少し長生きされたであろうという政治家は二人しかいません。
安倍首相は例外で、第一、第二次内閣ともに持病の腸炎のため政務を担当できなくなり、国政を停滞させることから身を引いたと言われています。
首相は自衛隊の最高指揮官です。部下の自衛隊員は宣誓をしています。
その宣誓文は次のように結ばれています。「強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」
そのような隊員のトップに立つ首相に「ワーク・ライフ・バランス」なんか考えられてたまるか、というのが筆者の正直な思いです。
また、もう一つがっかりしたことがあります。
彼女が総裁に決まって最初に総裁の椅子に座る写真を報道は撮りたがります。
この時彼女は、総裁室にある日章旗と自民党旗に向かって一礼してから椅子に座りました。前総裁はやらなかった動作なので、これだけは評価できますが、しかし、問題はその日章旗の位置です。
このメールマガジンやコラムで何度も指摘していますが、日章旗が総裁の椅子の左後ろにあるのは許容できません。
この位置で執務ができるのは、天皇だけです。(ちなみに天皇の執務室に日章旗は置かれていません。)自民党総裁ごときが座っていい位置ではありません。
たとえ首相であっても、その位置で執務することは常識外れです。首相は国家元首ではないからです。(ちなみに、米国大統領は元首ですが、ホワイトハウスの大統領執務室では、国旗の左前で仕事をしています。つまり、国旗を自分よりも右側に置いているのです。)
そういった常識を政治家に期待しても無駄なので、誰かが教えてやらなければなりません。
官邸にも国家公務員の優秀なスタッフはいるでしょうし、自民党にも優秀な秘書はいるはずです。しかし、彼等にもそのような常識は期待できません。
首相に日章旗の右前でスピーチをさせる場合が多いので気にしています。
筆者が秘書官だったり、副官だったりしたら、まず事前に確認する際に国旗の位置を指摘して置き直させるところですが、そういう秘書官も副官もいなかったのでしょう。
国際儀礼が心配です。
稲田防衛大臣だった時の自衛隊観閲式で、当時の安倍首相以下、多くの方々がお立ち台に立って、目の前を行進していく部隊の敬礼を受けて答礼をされていました。
この中で、部隊が敬礼するのに答礼する場合と、首相以下が先に敬礼すべき場合があります。
まず最初に全体の指揮を執る陸上自衛隊の第一師団長が行進の先頭として、車上から敬礼をしてきます。
それに対しては答礼すればいいのですが、その後ろを日章旗が旗衛隊に守られて行進してきます。それは国旗ですから、首相といえども敬礼しなければなりません。
この時、音楽隊の指揮を執っているのは陸上自衛隊の音楽隊長ですが、彼も指揮を一時中断し、挙手の敬礼をしています。そのあとは、まず防衛大学校学生隊、防衛医科大学校学生隊、工科学校学生隊などが続き、その後に陸上自衛隊の部隊が行進します。陸上自衛隊の行進が終わると、行進曲が「軍艦行進曲」に代わり、海上自衛隊の行進が始まるのですが、海上自衛隊は陸上自衛隊と異なり、部隊旗である自衛艦旗が最初に、しかも指揮官の前を行進してくるのです。それは、自衛艦旗が部隊旗であると同時に国旗でもあるからです。
観閲式参加部隊の指揮を執る陸上自衛隊第一師団長は国旗の前を行進してきますが、海上自衛隊の指揮官は国旗の前を行進するような非常識な真似はしませんので、自衛艦旗が先に旗衛隊に守られて行進していきます。
お立ち台上の安倍首相は、自衛艦旗が行進してくるのを見て自分から敬礼され、その他の事務次官や各幕僚長なども自衛艦旗に敬礼しているのに、稲田防衛大臣だけは直立したまま動きません。多分、自衛艦旗の後ろを行進してくる海自部隊の敬礼に応えるつもりなんでしょう。たまらずに、お立ち台の後ろに控えていた陸上自衛官(女性だったので、多分副官だったかもしれません。)が稲田大臣に耳打ちすると、慌てて自衛艦旗に敬礼をしました。音楽隊の指揮は海上自衛隊の音楽隊長に代わっており、彼も指揮を一時中断して挙手の敬礼をしています。
彼女は弁護士出身のはずですが自衛隊法を読んでいないのでしょう。政治家の常識なんてその程度のものです。
ただ、大臣副官がそれくらい事前にレクチャーしておくべきでしょう。
大臣副官はまだ若いので、政治家には常識など期待できないということを知らず、政治家に対する幻想を持っているのかもしれません。
以上、高市総裁が選出されて以来、気付いたことなどをダラダラと書き連ねました。
しかし、さしあたって二点しか述べていません。
前総裁の場合には、総裁就任前から論点が百出していましたので、それに比べれば圧倒的に少数です。
この国に最後に残された希望が彼女なのかもしれません。
日本の憲政史上稀にも見ない醜悪で下品なトップの後に就任された新首相は、比較において「女神」に見えます。
トランプ大統領の訪日において、横須賀在泊の空母ジョージ・ワシントンで、大統領から米軍兵士に紹介され、片手を高々と上げて、ジャンプして一回りして米軍兵士の心を鷲掴みにし、APEC首脳会議では、隣に座ったインドネシアのプラボウォ大統領に椅子を摺り寄せて話しかけて、東南アジアの人々の好感度をアップさせたり、オーストラリアのアルバニージー首相と通訳抜きで話し込んだり、チリのボリッチ大統領とは肩を組んで話をしたりして、前トップとは雲泥の差のあるコミュニケーション能力を発揮しています。
G20で、イタリアのメローニ首相とは、初対面であるにもかかわらず両手を広げてハグを交わし、一挙に距離を縮めてしまいました。
初めての海外での会議に出席して、テーブルで一人でスマホを眺め、あいさつに近寄ってきた列国首脳とは椅子に座ったまま握手をするという前首相の外交非常識に比べると格段の開きがあります。
経済や安全保障に関する考え方は、ある程度知られていましたが、その外交手腕が未知数と言われてきた首相ですが、経験を積んでいけば、阿部元首相をしのぐ世界的なリーダーになっていくでしょう。
しばらく期待して見守ることにします。
https://www.youtube.com/watch?v=jnXnBo9Koos
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ちょっと事情があって、しばらくコラムの執筆ができませんでした。
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例えば、筆者は経営者ですので、名刺を交換すべき時には、しっかりと自分の名刺もお渡ししますし、相手方と同時になるときには、自分の名刺が下になるように差し出したりもします。
しかし、相手が政治家だと、名刺をもらっても(まず受け取ろうとしませんが・・・)、自分の名刺を渡さないこともあります。また相手がマスコミ関係者であると、さらに失礼な態度を当初から取ることがあります。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
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