指揮官の休日 No.358 日経新聞
2023/10/06 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
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https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第366回 図上演習の薦め を掲載いたしました。
意思決定の最高のツールである「図上演習」を紹介します。 詳しくはこちらをお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/3116
No.358 日経新聞
かつて、満員電車の中で日経新聞を読んでいるビジネスマンは、スポーツ新聞を読んでいるサラリーマンとはちょっと違うぞという雰囲気を醸し出していました。
筆者も海上自衛隊を退官して商社に再就職した頃、ビジネスマンの常識を早く身につけなければと毎朝駅のスタンドで日経新聞を買って読んでいたものです。
しかし、ビジネスマンとして2年くらい経った頃、何か違和感を感じてきました。経済に関する記事に納得のいかないものを感じることがたびたびあったのです。
その頃は、「なぜこのような解説になるのだろう?」と疑問に思った程度でした。
しかし、産業界の様子については参考にすべきものが多々あって、気になった記事を破って、出社してからノートにまとめたりしていました。そのような記事が、営業に行った先で話題に出て、しっかりと対応できてよかったと思ったこともありました。
ただ、経済全般や金融事情については、「?」ということがだんだん増えてきたことも事実でした。
その後、米国企業のCEOを命ぜられてカリフォルニアに赴任し、経済記事はニューヨークタイムに頼ることになりました。
帰国して商社を退社した後、しばらく日経新聞を読まない時期がありました。
何年か前からネットで読むようになったのですが、商社マン当時よりもこの新聞に関する違和感が大きくなっていることに気付きました。
日経新聞という新聞は、経済学を理解していないのでは?という違和感です。
何を取材するとこういう記事が書けるのだろうという疑問が湧くことが多いのです。
最近の記事でも、何を言っているのか理解できないものがありました。
8月15日に、内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が対前期比の年率換算で6%上昇したことを受けて、「物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増だった。プラス成長は3四半期連続となる。
個人消費が弱含む一方で、輸出の復調が全体を押し上げた。」として、個人消費が弱くなっていることは認めているものの、GDP実額は560.7兆円、コロナ前も上回り過去最高としており、特任編集委員のコメントとして、「1 名目成長率が前期比年率12.0%と2桁成長に。4~6月期の国内総生産(GDP)で驚いたのはここです。しかも名目GDPの年換算額は590.7兆円に。600兆円にあと一歩に迫りました。
2 安倍晋三首相が2015年に掲げた新3本の矢の第1目標である600兆円の名目GDPが、いま達成されつつあるわけです。注目したいのは名目GDPの拡大に伴う税収の増加です。
3 7~9月期以降の名目GDPが横ばいにとどまった場合でも、23年度は前年度比5.1%の名目成長率が見込まれます。22年度の税収は71.1兆円でしたから、税収弾性値が1としても23年度は75兆円近い税収に。税の議論も経済実態を踏まえるべきでしょう。」としています。
輸出がGDPを押し上げた理由は簡単です。輸出額自体も半導体が手に入るようになった自動車が海外に売れるようになったため伸びていることは事実ですが、円安のために海外で物を売りやすいかったのと、その裏返しで円安のための物価高で国内の個人消費が冷え込んでいるため、輸入が縮小し、結果的に「輸出」と「輸入」の差が大きくなったからです。個人消費がマイナスになっていることは深刻にとらえる必要があります。物価高と賃金の低下の影響であり、GDPがいくら向上しても景気は悪化しているということが理解されなければなりません。にもかかわらず、編集委員は税収が上がることを期待しているのです。
そのような税はサッサと減税して可処分所得を増やさなければ、この国の経済が回復するはずがないことをこの新聞は理解していません。そもそも国債の発行は次の世代に借金を残すという意味不明の主義者ですから。
プライマリーバランスが黒であることが正しいという、これも理解不能の信念を持った新聞なので、多分、経済や金融が分からない人たちが集まっているかもしれません。
筆者の見落としかもしれませんが、プライマリーバランスが黒字になることの受益者が誰なのか、この新聞も説明していないと思います。
この新聞で正しいのは日付と、望むらくは株式欄くらいかもしれません。
ただし、筆者は株取引をやったことがないので分かりませんが、今時、新聞に発表される株価で取引している人がいるのでしょうか。ネット上では1分刻みで株価の変化を追える時代です。
岸田首相は9月26日の閣議で「1 物価高から生活を守る対策 2 持続的賃上げ、所得向上と地方の成長 3成長力強化に資する国内投資促進 4 人口減少を乗り越える社会変革の推進 5 国土強靱(きょうじん)化、防災・減災など安全・安心の確保――の5本柱」からなる経済対策の検討を指示しました。
この時期でなくても、誰でも書ける経済対策ですが、1の論点は、予想以上に伸びた税収をいかに国民に還元するかという議論だそうで、唖然とさせられます。
彼は税の役割をまったく理解していないことを自分で証明したようなものです。
税にはビルトイン・スタビライザーという機能があります。
これは経済学部の学生なら経済原論の講義で1年生の夏休み前に勉強する税の役割です。つまり、累進課税制度を取ることにより、不況時には税率が下がって有効需要の減少を抑え、好況時には税率が上がって景気の過熱を鎮める働きがあるのですが、その結果増収となったものを社会に還元すると、税のその機能が失われてしまうのです。まぁ税の所得再分配効果は期待できるかもしれませんが。
増収分を国民に返すのではなく、累進課税のまま全体を減税すべきなのです。そうすれば機能は失われずに国民に還元できます。
そもそも税収が上がった理由は簡単です。
円安が進んだ結果、物価が上昇し、企業の名目上の売り上げも利益も増えただけであり、名目上の税収が増えるのも当然なのです。そこで増えた税収を国民に還元すると、効果が全くないとは言いませんが、本当の一過性のものでしかなく、物価が上昇を続けているにもかかわらず人手不足で需要を満たす供給が行えない状況が続いてしまいます。
トラックドライバーの不足で物流も怪しくなっていますし、飲食店はフロアの人手を確保できずに需要が戻ってきたのに対応できずにいます。
観光地でも、外国人観光客数はコロナ禍以前の8割程度まで回復していますが、すでにオーバーツーリズムの問題が大きくなっています。適切に対応できるスタッフがいなくなってしまったということでしょう。
これは経済学的に言うと、すでにスタグフレーションが始まっていると言って差し支えない状況かと考えます。
この際、消費減税あるいは消費税撤廃をすべきという論者も多くいます。
筆者も理論的には消費税を撤廃すれば、黙っていても麻生氏の言う2025年は無理としても、10年後くらいにはプライマリーバランスは黒になるのではないかと考えていますが、それは今年採用できる政策ではありません。
何故か?
消費減税を発表してから、実際に減税になるまでにタイムラグがあるからです。その際、国民は耐久消費財などの買い控えに入ります。減税の日を待つからです。
消費を拡大してもらいたくて消費減税を行うのに、買い控えで消費が縮小してしまうのです。
つまり、消費税には本来は景気をコントロールする役割が期待されるはずなのに、それが逆に作用するという皮肉な結果しか生まないという問題があるのです。
だから、消費税に目の前の税収を期待して税率を上げるなどということをしてはならないのです。これまでの上げ率で最大だったのは、東日本大震災の時の民主党政権で、消費税率を上げることはしないという公約を、「想定外の事態」に対応するためという理由で3%から5%に上げるという暴挙をやってのけたのです。
その結果として、経済成長は止まり、税収も伸びない時代が延々と続いたのです。
経済学部の1年生なら誰でも知っていることをこの国の政治家は知りませんし、日経新聞も理解できていないようです。
昔は、電車の中で日経新聞を読むビジネスマンを見ると、隣のスポーツ新聞を読んでいるビジネスマンより格好良く見えましたが、最近、電車でそのような人を見ることがほとんどなくなりましたし(携帯電話で読んでいるかもしれません。)、たまに読んでいる人を見かけると、むしろスポーツ新聞を読んでいる人に好感を持つようになりました。
(しかし、電車の中で新聞を読む人が本当に少なくなりましたね。昔は日経新聞を読んでいる奴は何か特権意識を持っているようで、開いた新聞が人が読んでいる本の上に重なっていても知らん顔の奴がいたりしましたが・・・。そんな連中は絶滅したようです。)
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突然ですが、図上演習という言葉をお聞きになった方はいらっしゃいますでしょうか。
当コラムをお読みいただいている方には耳馴染みの言葉だと思いますが、意外にこの言葉を知らないという方は世間には珍しくありません。
これは、文字通り演習を図面の上で行うものです。
と言っても、何をどうやるのか全くご理解頂けないかと思います。
続きはこちらでお読みください。
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
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教育訓練の受託を開始いたしました。
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1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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No.358 日経新聞
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帰国して商社を退社した後、しばらく日経新聞を読まない時期がありました。
何年か前からネットで読むようになったのですが、商社マン当時よりもこの新聞に関する違和感が大きくなっていることに気付きました。
日経新聞という新聞は、経済学を理解していないのでは?という違和感です。
何を取材するとこういう記事が書けるのだろうという疑問が湧くことが多いのです。
最近の記事でも、何を言っているのか理解できないものがありました。
8月15日に、内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が対前期比の年率換算で6%上昇したことを受けて、「物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増だった。プラス成長は3四半期連続となる。
個人消費が弱含む一方で、輸出の復調が全体を押し上げた。」として、個人消費が弱くなっていることは認めているものの、GDP実額は560.7兆円、コロナ前も上回り過去最高としており、特任編集委員のコメントとして、「1 名目成長率が前期比年率12.0%と2桁成長に。4~6月期の国内総生産(GDP)で驚いたのはここです。しかも名目GDPの年換算額は590.7兆円に。600兆円にあと一歩に迫りました。
2 安倍晋三首相が2015年に掲げた新3本の矢の第1目標である600兆円の名目GDPが、いま達成されつつあるわけです。注目したいのは名目GDPの拡大に伴う税収の増加です。
3 7~9月期以降の名目GDPが横ばいにとどまった場合でも、23年度は前年度比5.1%の名目成長率が見込まれます。22年度の税収は71.1兆円でしたから、税収弾性値が1としても23年度は75兆円近い税収に。税の議論も経済実態を踏まえるべきでしょう。」としています。
輸出がGDPを押し上げた理由は簡単です。輸出額自体も半導体が手に入るようになった自動車が海外に売れるようになったため伸びていることは事実ですが、円安のために海外で物を売りやすいかったのと、その裏返しで円安のための物価高で国内の個人消費が冷え込んでいるため、輸入が縮小し、結果的に「輸出」と「輸入」の差が大きくなったからです。個人消費がマイナスになっていることは深刻にとらえる必要があります。物価高と賃金の低下の影響であり、GDPがいくら向上しても景気は悪化しているということが理解されなければなりません。にもかかわらず、編集委員は税収が上がることを期待しているのです。
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岸田首相は9月26日の閣議で「1 物価高から生活を守る対策 2 持続的賃上げ、所得向上と地方の成長 3成長力強化に資する国内投資促進 4 人口減少を乗り越える社会変革の推進 5 国土強靱(きょうじん)化、防災・減災など安全・安心の確保――の5本柱」からなる経済対策の検討を指示しました。
この時期でなくても、誰でも書ける経済対策ですが、1の論点は、予想以上に伸びた税収をいかに国民に還元するかという議論だそうで、唖然とさせられます。
彼は税の役割をまったく理解していないことを自分で証明したようなものです。
税にはビルトイン・スタビライザーという機能があります。
これは経済学部の学生なら経済原論の講義で1年生の夏休み前に勉強する税の役割です。つまり、累進課税制度を取ることにより、不況時には税率が下がって有効需要の減少を抑え、好況時には税率が上がって景気の過熱を鎮める働きがあるのですが、その結果増収となったものを社会に還元すると、税のその機能が失われてしまうのです。まぁ税の所得再分配効果は期待できるかもしれませんが。
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つまり、消費税には本来は景気をコントロールする役割が期待されるはずなのに、それが逆に作用するという皮肉な結果しか生まないという問題があるのです。
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その結果として、経済成長は止まり、税収も伸びない時代が延々と続いたのです。
経済学部の1年生なら誰でも知っていることをこの国の政治家は知りませんし、日経新聞も理解できていないようです。
昔は、電車の中で日経新聞を読むビジネスマンを見ると、隣のスポーツ新聞を読んでいるビジネスマンより格好良く見えましたが、最近、電車でそのような人を見ることがほとんどなくなりましたし(携帯電話で読んでいるかもしれません。)、たまに読んでいる人を見かけると、むしろスポーツ新聞を読んでいる人に好感を持つようになりました。
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