指揮官の休日 No.352 指揮幕僚課程学生選抜試験合格請負人
2023/08/25 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第360回 危機管理の実践のために その3 を掲載いたしました。
社会的信頼を得ていないとどのようになるか、実例をあげて説明しています。
https://aegis-cms.co.jp/3083
No.352 指揮幕僚課程学生選抜試験合格請負人
前々号で、海上自衛隊幹部学校の指揮幕僚課程には学生選抜試験があり、筆者はその受験指導で失敗したことがないと豪語しました。
今回は筆者が何を指導していたかについてをテーマとします。
これは現役の若い幹部自衛官には関心があるかもしれませんが、多くの方々には何の関心もない内容だと思われますが、それでいいんです。
関心がないから読み飛ばし、サッサと専門コラムに跳んで頂く方が筆者にとっては目的なのですから。
元々、このメールマガジンは、知っていても知らなくてもどうでもいいことをダラダラと語ると公言しているとおり、皆様のお役に立つ内容をお届けしようなどと毛頭思っておりません。そのような内容は専門コラムでお読みいただければと存じます。
専門コラムは、他に類を見ない危機管理の本質を突いた内容になっていますので、じっくりお読みいただきたいと思っています。
さて、指揮幕僚課程学生選抜試験に合格する方法について語りましょう。
まず、どのような試験なのかを説明しますね。
今はどうか知りませんが、筆者が現役の頃は、1次試験で、英語、一般素養、専門論運試験が行われます。
英語で多分足切りが行われていますので、まずは英語を落とさないことが重要です。
筆者が受験した頃は日本語を英語に訳す問題がありましたが、途中でこれは無くなったかもしれません。いずれにせよ、読解力が大きくものを言いますので、読みなれていることが大切です。ただ、ビックリすることに英語の試験すら辞書持ち込み可なのです。
筆者は事情があって願書を自分で出しておらず、受験要領ももらわず、開始時間と会場だけ教えられて受験したので、まさか英語の試験で辞書持ち込み可とは知らず、辞書は持っていなかったのですが、開始と同時に受験生が一斉に辞書を取り出したのでびっくりした次第です。ただ、読まなければならない分量が多いので、頭から辞書を引いていると間に合わないので、辞書なしに読む訓練をしておく必要があります。
私が受験指導していた時には、米海軍協会が発行する”Proceedings”という雑誌に掲載される論文をたくさん読んで読み慣れておけと教えていました。
一般素養は、過去問があるのでそれを学んでおけばそう無様なことにはならないと教えました。筆者は自分が受験することになるということを知らずにいたので、過去問など当然見ておらず、この一般素養の試験は酷いものだったと思います。
最後の論文試験ですが、これは各自の専門の分野ごとに出題されますが、課題答申であり、「海上自衛隊の〇〇の現状と問題点及びその解決策について述べよ。」というパターンで出題されることがほとんどでした。
たとえば、艦艇の射撃を専門とする幹部の場合なら、「海上自衛隊の新型射撃指揮装置の戦力化における問題点とその解決策を述べよ。」という具合です。
これはまともに自分の専門術科を勉強し、問題意識を持って勤務していれば書くことが出来ます。ただ、そこに大きな問題が潜みます。
それぞれが何らかの専門をもっているので、専門的な課題答申を書けるのですが、実はあまり専門的になりすぎてもいけないのです。
1次試験の受験者は多いので、その大量の受験生の論文を、多くの教官が手分けして読むことになります。必ずしも自分の専門の分野の論文を読むとは限りません。
素人が読むかもしれないのです。例えば、飛行機乗りの教官に水上艦艇の射撃指揮装置の運用法などを理解せよと言っても無理なのです。
つまり、問題点の指摘や解決策を専門的に語るのではなく、その問題を放置するとこの国の海上防衛にどういう悪影響がもたらされるか、どうすればいいのかを無いものねだりの予算の話ではなく、自分たちの創意と工夫でどうやって乗り越えるかを分かりやすく語ることが必要です。
つまり、誰が読んでも、それは大変だと感じ、しかし、そうかそうすればいいんだと納得させることができれば合格です。
不合格になった答申をいくつか読みましたが、あまりにも専門的に書いたものは、採点官が分からなかったのではなく、枝葉末節にこだわりすぎていて読みづらいのです。それよりも、この国の海上防衛に与える影響などと大局的な立場から論じた者の方が、将来の指揮官や幕僚にふさわしいと判断されるのです。
さて、1次試験を突破すると、東京目黒の幹部学校に集められ、前回述べた口述試験になります。そのもようについては、バックナンバーでお読みいただけます。
いわゆるコバヤシマル・シナリオの圧迫諮問が行われ、どう答えても反論されてしまうのです。
具体的には、「貴官は護衛艦〇〇の艦長である。」と言うところから始まる想定を与えられ、ある命令の下にある作戦を実施中にその作戦を妨げるような事象が生起し、どう対応をするのかを問われるのです。
例えば、ある海峡を監視してB国の艦艇の動静を逐一報告せよという命令を受けている時に、そのB国の漁船が遭難したという連絡が入ります。しかもその位置が、海峡をレーダーで監視できない距離にあって、その漁船の救助に向かうとB国の艦艇の通峡が分からなくなるのですが、自分が指揮している護衛艦しか近くにいないという言われるのです。
そこで、海員の常務であるとして「救助に行きます。」と言うと、「お前は自分が受けた命令をどうするんだ?」と言われます。「任務を続行します。」というと、遭難者からお前の艦番号を見たけど、助けてくれなかったと後で言われたらどうするんだ?などと反論され、結局どう答えようと追い詰められてくしかない口述試験なのです。
筆者は、この試験を受けている時に、これは正しい行動をとることが求められているのではなく、そのような正解のない問題にどう対応するかを見ている試験なのだと気付きました。
なので、基本は与えられた任務完遂が第一であり、その範囲で極力対応するという態度を貫けと指導しました。
一番いけないのが思考に柔軟性がないことですが、同様にその場しのぎに右往左往することも良くないのです。海上自衛隊では「アングルバーよりもフレキシブルワイヤー」とよく言われます、筆者はその態度を貫けと指導したのです。ただし、与えられた任務は忘れるな、情勢の変化を報告できる場合には独断専行はしてはならない、報告する暇のない場合の独断専行はためらわずに行えということを教えました。
これは筆者の実際の任務に臨むときの心構えでもありました。
商社の営業部長やカリフォルニアにある米国法人のCEOも務めましたが、この勤務方針を変えなければならないなと思ったことはありませんでした。
筆者は指揮幕僚課程学生選抜試験の受験指導で少なくとも10人を指導し、不合格者は出していません。合格請負人と自負する所以です。
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専門コラム「指揮官の決断」第360回 危機管理の実践のために その3 掲載のお知らせ
ここ2回ほど、当コラムの危機管理論の入門的議論においては、社会的信頼を得ていることが危機管理においては非常に重要だと申し上げてきました。
まず、社会的信頼を得ていないと、その組織が何をやっても信頼されず、結局はあらゆる努力が無駄になるということ、そして、逆に外部から見て完璧な信頼を勝ち得ている組織は、些細な変化の兆候すら見逃さないので、危機に強いということをお伝えしてきました。
社会から信頼されるということは大変なことです。壮絶な努力が必要ですが、それも一瞬で崩れ去ることがあります。
それほど信頼を勝ち得て、その信頼を維持していくということは大変なことです。
続きはこちらでお読みください。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
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筆者が受験した頃は日本語を英語に訳す問題がありましたが、途中でこれは無くなったかもしれません。いずれにせよ、読解力が大きくものを言いますので、読みなれていることが大切です。ただ、ビックリすることに英語の試験すら辞書持ち込み可なのです。
筆者は事情があって願書を自分で出しておらず、受験要領ももらわず、開始時間と会場だけ教えられて受験したので、まさか英語の試験で辞書持ち込み可とは知らず、辞書は持っていなかったのですが、開始と同時に受験生が一斉に辞書を取り出したのでびっくりした次第です。ただ、読まなければならない分量が多いので、頭から辞書を引いていると間に合わないので、辞書なしに読む訓練をしておく必要があります。
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1次試験の受験者は多いので、その大量の受験生の論文を、多くの教官が手分けして読むことになります。必ずしも自分の専門の分野の論文を読むとは限りません。
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つまり、問題点の指摘や解決策を専門的に語るのではなく、その問題を放置するとこの国の海上防衛にどういう悪影響がもたらされるか、どうすればいいのかを無いものねだりの予算の話ではなく、自分たちの創意と工夫でどうやって乗り越えるかを分かりやすく語ることが必要です。
つまり、誰が読んでも、それは大変だと感じ、しかし、そうかそうすればいいんだと納得させることができれば合格です。
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