指揮官の休日 No.350 コバヤシマル
2023/08/11 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第358回 危機管理の実践のために を掲載いたしました。
いよいよ危機管理の具体的な議論に入っていきます。
https://aegis-cms.co.jp/3076
No.350 コバヤシマル
今回の表題「コバヤシマル」を見て、筆者が何を言いたいかを想像できる方は、かなりディープな趣味をお持ちのことと拝察いたします。
実は小生はそれほどディープな趣味を持っているわけでもないのですが、たまたま偶然に見つけて、とても興味をひかれたので覚えていただけであり、さらに詳しい話を承りたいと思っていますので、ちょっとだけなら飲みながら話してやるというお気持ちをお持ちいただけた方はぜひご連絡ください。筆者お気に入りのバーにご招待します。
さて、この「コバヤシマル」ですが、アメリカのテレビのSFドラマ「スタートレック」に出てきます。
宇宙艦隊アカデミーという士官候補生の教育センターにおいて行われる学生訓練プログラム「コバヤシマル・シナリオ」に登場してくる船(宇宙船)です。
どのようなシナリオなのかというと、次のようなシミュレーション訓練が展開されます。
宇宙空間で民間の貨物船「コバヤシマル」が故障して漂流しています。そしてクリンゴン帝国の方へ流されて行くようです。
その「コバヤシマル」が発信した救難信号を、訓練生が指揮する連邦宇宙艦が受信し、救助を命じられました。
訓練生らは宇宙艦の指揮官やブリッジの当直士官として、宇宙艦隊規約に則り、「コバヤシマル」を救助しなければなりません。
そのためにはクリンゴン帝国の領域を侵犯して行動しなければならず、クリンゴン側に発見されぬようにしなければならないのですが、シナリオはどう行動してもクリンゴン側に発見され、クリンゴン艦隊に包囲されて猛攻撃を受けてしまうように作られています。
実はこのシチュエーションは、絶対にクリアできないプログラムとして開発されています。訓練生はどのように行動しても救出に失敗し、その指揮下の宇宙船も失ってしまいます。
つまり、このプログラムは、訓練生が「いかに絶望的な状況を打開するか」ではなく、「絶望的な状況に陥った際に、どう対応するのか、最後まで冷静に判断できるか」を見極めるテストなのです。
これを読んで、筆者の海上自衛隊の同期生たちには「あれかぁ」と想い出しているものがあるはずです。
海上自衛隊でも同じテストが行われているからです。
それは幹部学校の指揮幕僚課程の学生選考試験において行われます。
幹部学校指揮幕僚課程というのは、目黒にある海上自衛隊幹部学校において毎年1年間にわたって開講される将来の部隊指揮官や上級司令部幕僚を育てるための課程です。
海上自衛隊は入隊時に試験を受けますが、それ以後、いろいろ時期にいろいろな教育を受けるために部内の学校に入校することになります。
筆者も例外ではなく、ビックリするほどたくさんの学校で教育を受けました。
筆者の場合は、そのような部内の学校の学生やいろいろ場所での研修などを含めると30年間の海上自衛隊生活の中で8年ほどを学生生活で送ったことになります。
給料をもらって勉強ができたのでありがたいことです。残念ながら娑婆で役に立つような教育はほとんどありませんでしたが。
とにかく、数多い学生の課程の中で、入学試験が唯一あるのが幹部学校指揮幕僚課程です。
1等海尉の4年目くらいに受験資格ができ、入校する頃にはほとんどが3等海佐となっています。一応部隊で7年くらい揉まれてきた幹部が入試を受けることになります。
この指揮幕僚課程が将来の指揮官や上級司令部幕僚を養成するための課程ですので、この課程を出ないとその後の昇任が遅れ始めます。
実はこの指揮幕僚課程の学生選考試験の2次試験において行われるのが「コバヤシマル・シナリオ」なのです。
1次試験に合格して最終合格者の2倍に絞り込まれた受験者たちは、目黒の幹部学校に集められます。
広い教室に入れられた受験者たちは、口述試験の順番を待ちます。
口述試験は5つか6つの場所で行わるため、5~6人ずつが別室に呼び込まれます。
別室に入るとある文書が渡されます。
「貴官は護衛艦〇〇の艦長である。」というような文言から始まる情勢が付与されていきますます。これは年によっては「貴官は〇〇基地所属哨戒機の機長である。」ということにもなります。
作戦海域の地形の特徴などをよく覚えておかなければなりませんが、一目見て宗谷海峡だなとか対馬海峡だなと分かるような海域が選ばれていますから、日常的に海図に接している者にとっては難しいものではないのですが、それでも距離感などは把握しておく必要があります。搭載レーダーの覆域の広さが問題となることがあるからです。
情勢では対象国(明らかにロシアまたは中国)との関係が戦争状態ではないもの、一触即発の状態であることが記載され、ある任務を与えられます。
そこで自分の位置や政治・軍事の情勢を頭に叩き込んだところで、今度は一人ずつの口述試験会場に入れられます。
その口述試験では、まず与えられた任務は分かったか?と確かめられ、引き続いてその任務を阻害するような想定が与えられます。そこで「〇〇艦長としてはどう行動するか?」を問われるのです。
この新たな問題に対応するため、受験者は必死なって考え、それぞれの回答を述べるのですが、どのように回答してもダメなのです。目の前の事象に必死で対応しようとすると「お前は与えられた任務をどうするんだ?」と言われ、任務を継続しようとすると、「現場指揮官として目の前の事象をどうするんだ?」と突っ込まれるという次第です。
口述試験官の手元には、受験者がどう答えようと対応できる突っ込みが準備されています。幹部学校伝統の「圧迫諮問」と言われる試験であり、何十年もの歴史で磨き抜かれた問答集があるようです。
つまり「コバヤシマル・シナリオ」が準備されているのです。
実は、筆者はこのシナリオの本質に気が付き、かつ、その他の科目においてもどうすれば合格できるのかという点に気が付いたので、ある時部下の受験生に伝授したところ見事合格してしまいました。それ以後、うわさを聞いて筆者のところに勉強に来る受験者が多くなり、そのうち合格請負人になってしまいました。
ビックリしたのは、呉で部隊指揮官として勤務していた時に、筆者のまったく知らない受験者の指導を海幕から頼まれたことです。
ある時補任課から電話があり、ある3等海佐の受験指導をしてもらえないかということでした。その幹部自衛官が指揮幕僚課程に行かないと今後の経歴管理計画が狂ってしまうのに、それまで2回不合格になっており、次がラストチャンスなのだそうです。
補任課の権限でその課程に入校させることはできず、合格者は幹部学校が決定するので何とかしてほしいということでした。筆者は呉地方総監に相談の上、引き受けることとし、見事合格させました。
どうも筆者は学生の時の成績はよくないのですが、教官としては優秀なのかもしれません。
いずれにせよ「コバヤシマル・シナリオ」というのは軍隊において指揮官や幕僚を養成するためには必要な教育です。
彼らの仕事は、とにかく不合理で理不尽な状況に耐えていかなければなりませんから、一般とは異なる鍛え方が必要になります。
スタートレックを観ていて、アメリカでも軍人には同じことを要求するんだ、と妙に感心したのを覚えています。
実はこの問題は危機管理においても重要な論点ですので、いずれ専門コラムでも掘り下げてお伝えします。
お楽しみに。
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専門コラム「指揮官の決断」第358回 危機管理の実践のために 掲載のお知らせ
ここまで8回に渡る危機管理の入門的議論において、危機管理とは何を行うマネジメントなのか、リスクマネジメントとどう違うのかなどについて語ってきました。
そこでいよいよ、危機管理そのものについて語ることにいたします。
当コラムでは、危機管理は危機を機会に変えるマネジメントであると主張し続けてきました。
これから、しばらくの間、それがなぜ可能となるのかを解説していきます。
続きはこちらでお読みください。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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No.350 コバヤシマル
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宇宙空間で民間の貨物船「コバヤシマル」が故障して漂流しています。そしてクリンゴン帝国の方へ流されて行くようです。
その「コバヤシマル」が発信した救難信号を、訓練生が指揮する連邦宇宙艦が受信し、救助を命じられました。
訓練生らは宇宙艦の指揮官やブリッジの当直士官として、宇宙艦隊規約に則り、「コバヤシマル」を救助しなければなりません。
そのためにはクリンゴン帝国の領域を侵犯して行動しなければならず、クリンゴン側に発見されぬようにしなければならないのですが、シナリオはどう行動してもクリンゴン側に発見され、クリンゴン艦隊に包囲されて猛攻撃を受けてしまうように作られています。
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つまり、このプログラムは、訓練生が「いかに絶望的な状況を打開するか」ではなく、「絶望的な状況に陥った際に、どう対応するのか、最後まで冷静に判断できるか」を見極めるテストなのです。
これを読んで、筆者の海上自衛隊の同期生たちには「あれかぁ」と想い出しているものがあるはずです。
海上自衛隊でも同じテストが行われているからです。
それは幹部学校の指揮幕僚課程の学生選考試験において行われます。
幹部学校指揮幕僚課程というのは、目黒にある海上自衛隊幹部学校において毎年1年間にわたって開講される将来の部隊指揮官や上級司令部幕僚を育てるための課程です。
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筆者の場合は、そのような部内の学校の学生やいろいろ場所での研修などを含めると30年間の海上自衛隊生活の中で8年ほどを学生生活で送ったことになります。
給料をもらって勉強ができたのでありがたいことです。残念ながら娑婆で役に立つような教育はほとんどありませんでしたが。
とにかく、数多い学生の課程の中で、入学試験が唯一あるのが幹部学校指揮幕僚課程です。
1等海尉の4年目くらいに受験資格ができ、入校する頃にはほとんどが3等海佐となっています。一応部隊で7年くらい揉まれてきた幹部が入試を受けることになります。
この指揮幕僚課程が将来の指揮官や上級司令部幕僚を養成するための課程ですので、この課程を出ないとその後の昇任が遅れ始めます。
実はこの指揮幕僚課程の学生選考試験の2次試験において行われるのが「コバヤシマル・シナリオ」なのです。
1次試験に合格して最終合格者の2倍に絞り込まれた受験者たちは、目黒の幹部学校に集められます。
広い教室に入れられた受験者たちは、口述試験の順番を待ちます。
口述試験は5つか6つの場所で行わるため、5~6人ずつが別室に呼び込まれます。
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