指揮官の休日 No.337 ビックリしたなぁ
2023/05/12 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第345回 何も考えない人々 その2 を掲載いたしました。
前回に引き続き、何も考えていない人々の行為についての考察です。
筆者は感性の衰退が進んでいるのではないかと疑っていますが、それは社会学の専門家にお任せし、当コラムではその現象面を捉えています。
興味のある方はこちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/3002
No.337 ビックリしたなぁ
先月、ツイッターを見ていてビックリして椅子から転げ落ちそうになったことがあります。
田原総一郎さんのツイートでした。実際に読んでいて珈琲をこぼしてしまいました。
彼はドイツが原発を完全に廃止したことに触れ、「ドイツは凄い。ドイツが出来てなぜ日本が出来ないのか。ドイツは白黒はっきりしていて、だから安全保障もNATOには加盟してない。第二次世界大戦への反省が極めてはっきりしている。この点が日本はグレーではっきり言えば安全保障でもエネルギーでも曖昧だ。」というのです。
さすがにこのツイートには多くの方が反応したようで、数時間後に訂正されていますが、しかし、ドイツがNATO加盟国であることを認めただけでした。
ドイツがNATOの加盟国であれば、彼のツイート全体の論理が崩れることに気付いていないようです。
ドイツがNATOに加盟しているということは、ドイツが第二次世界大戦に対して反省していないということであり、そうなると日本がグレーで安全保障でもエネルギーでも曖昧だということに論拠がなくなるはずなのですが。
この人が司会を務める「朝まで生テレビ」というのは有名な長寿番組ですが、最近の同番組の出鱈目さは話になりません。
何が原因かと言えば、司会がダメだからです。
人の言うことは聞いていないし、聞いても理解していないし、観るに堪えない場面が随所にあります。
これを要するに彼は単なる老害になり果てたということでしょうか。
彼が3年ほど前に討論番組にゲストとして呼ばれ、同じくゲストとして参加していた宮台真司氏と議論した動画が残されていますが、その時点で田原氏は宮台氏の発言を理解する力を失っているようです。
往年の颯爽としたジャーナリストの面影は全くなく、単に老醜を曝け出しているだけなので、観ているのがつらい番組です。(https://www.youtube.com/watch?5nQoGFcEgo )
彼の事務所にもまともなスタッフはいるのでしょうから、そろそろテレビやYoutube番組への出演は取りやめて、ツイートなどもしっかりと内容をチェックすべきかと思います。
昭和の時代には論客として名を馳せた田原氏ですが、そろそろ老醜を晒さず、当時の颯爽とした論客のイメージを世に残して欲しいと思っているだけに残念です。
しかし、ジャーナリズムは行きつくところへ行きついたように思います。
かつてテレビ朝日の「報道ステーション」のキャスターとして活発な発言をしていた古館伊知郎氏については最近の専門コラムでちょっと触れたことがあります。
護衛艦くらまが関門海峡で韓国のコンテナ船と衝突して火災を起こした事故で、現場でまだくらまが炎上している映像を映しながら、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏に電話でインタビューをしたところ、田岡氏が期待に反して「相手船がくらまの左舷に衝突しているようですから、自衛隊に有利でしょうね。」という見当違いなコメントをしたことを指摘したものです。(専門コラム「指揮官の決断」第343回 専門家を簡単に信じてはいけない https://aegis-cms.co.jp/2985 )
見当違いではあっても海上自衛隊側の航海法規違反ではないという見解が示されたので、くらまが法規違反の運航をしていたというコメントを期待していた古館氏は一瞬凍り付き、慌てて「でも、観艦式の帰りということで気の弛みとかがあったんではないですか?」などという印象操作を試みていました。
その古館氏が「古館伊知郎チャンネル」というYoutubeチャンネルを開設して、時事問題を扱っています。
このチャンネルで彼は最近のウクライナ情勢に触れ、ウクライナがNATO諸国の援助を受けて大攻勢に出る準備を整えつつあると解説していました。軍事の素人がどのような解説をしているのかに興味があってそのチャンネルを暇潰しに観ることにしました。
彼はいろいろなソースからデータを集めてきて、どの武器がいくつなどと細かく説明していき、最後に兵力量について言及しました。
それによると、ロシアが戦域に動員している兵力が全部で36万9千名であり、対するウクライナが動員している兵力が70万名ということでした。
そこで彼の解説が入るのですが、36万に対して70万だからウクライナが優勢と考えると大間違いであり、戦場では攻める側が守る側の3倍の兵力がなければ勝てないというのが軍事における定石なので、ウクライナは油断できないということでした。
彼が、どこでその定石の話を聞いたのか知りませんが、だから素人は困るのです。
確かに守りに徹せられると攻めるのは大変です。昔から三倍の兵力が必要とは言われています。
しかし、同時に攻撃側はどこを重点として攻撃するかを選ぶことができます。
ロシアはクリミア半島を守らねばならず、また東部の占領地も守らなければなりません。
36万9千名の兵力が一つの要塞に閉じこもって防御を固めたら、確かに100万の兵力で攻撃しないと落とせないでしょう。しかし、ロシアはその兵力をもって東部から南部にかけての広大な地域を守らなければならないのです。
ウクライナから見れば、例えば東部と南部を結ぶ地点に5万のロシア軍がいれば、そこに15万の兵力で圧力を加え、ロシア軍を分断することもできます。
そうやって絶えず戦場の選択に主導権を発揮して局地的に三倍の兵力を集中させて個別撃破を図っていくことができますし、それが戦場における定石です。
古館氏は戦場でどのように兵力が運用されるのかをまったく知らず、単に攻める側が守る側の三倍の兵力が必要という教えをどこかで聞いただけなのです。
素人が知ったかぶりをするとその程度の議論しかできません。
また、同じ動画で最近のロシアのワグネル代表のプリゴジン氏がロシアは停戦すべきと発言したと述べています。
彼の解説によるプリゴジン氏の発言は、プーチン政権はこの軍事作戦の終了を今宣言すべきだということのようです。
趣旨としては、東部ドネツク全体を制圧する予定だったが、ワグネルをもってしてもできず、ましてロシア軍では今後負ける恐れもある。今ならクリミアも確保しているし、その他にも多くの占領地がある。したがって、今のうちに今年の2月24日のラインで停戦し、和平交渉に入るべきだとプリゴジン氏が言ったということです。
しかし、プリゴジン氏の発言の趣旨は古館氏の理解とは異なっています。彼はプリゴジン氏の発言を読んでいないことが明らかです。
プリゴジン氏の発言は一部だけが切り取られて報道されています。多分、例によってどこかの通信社が配信したものを各メディアが実際の発言を確認せずにコピー&ペーストしたものを古館氏が読んだのでしょう。
筆者はロシア語が理解できないので、ロシア語のプリゴジン氏の発言を英訳したものを入手して読みました。結構長いスピーチで、最初の方で確かにロシアが特別軍事作戦の終了を宣言し、ロシアが計画した成果を周知することが理想的だと述べています。
しかし、実はその後に別の展開をさせています。
彼はロシアが停戦を宣言してもウクライナは応じないだろうし、そのうちにロシアが負けることもあるだろうとしています。しかし、一度負ければ、ロシア人は奮起するだろうから、結局はロシアはウクライナに勝つだろう、したがって、自分たちはそれまで戦い続けると述べています。
つまり、古館氏はプリゴジン氏の発言がどのようなものであったのかを確認もせず、メディアが切り取った発言の一部だけで自分の番組を作っているのです。
それが彼の報道の基本姿勢なのでしょう。
筆者は報道関係者ではなく、その道の修業をしたこともなく、先輩に教えられえたこともありません。つまり、報道に臨む基本的な姿勢などは身に付いていません。しかし、少なくとも報道を丸吞みにして自説を構築するなどという態度は取っていません。
それにしても、歳を取るということはつらいことだと思いますね。
筆者は現役海上自衛官として体力の限界を感じていた50代の後半に入ったころ、海幕の人事担当部門から「そろそろ後進に途を譲っていただけませんか?」と肩を叩かれ、勧奨に応じて退官しました。55歳でした。
その頃、一般的には60歳が定年でしたので若すぎる引退でしたが、この制度は組織がピラミッドの形を維持するために必要であり、気力・体力ともに衰えつつある者が有事に最前線で指揮を執るという事態を避けるためにも重要な制度です。
世間的にはまだ余力のあるうちに自己都合退職ではなく「勇退」扱いとしてくれたので、商社で営業部長を務めたり、カリフォルニアにある米国法人のCEOを経験したりできました。
商売の経験など全くありませんでしたが、新たな分野に挑戦する気力だけは残っていました。
今なら、異国に移住して、まったく未経験の分野に挑戦するなどという気力はありませんが、50代半ばで第二の人生に入ったことが幸いしたかと思います。
田原氏を見ていて、つくづく老醜を曝したくないなと思います。
筆者もチェックのため、弊社ウェブサイトに340回を超えて掲載している専門コラムを時々読み返しています。
論理矛盾を犯していないか、科学的方法論を踏み外していないかなどを確認しているのですが、どうも最近は毒舌が多くなってきたように感じています。
筆者個人としては、ある年齢以上は老醜を曝すだけになるはずなのでコンサルタントとして弊社の経営にあたることから引こうと考えている年齢があり、コラムもメールマガジンもそれまでとするつもりですが、まだ若干時間が残されていますので、しばらくは筆者の毒舌とお付き合いいただければ幸いです。
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専門コラム「指揮官の決断」第345回 何も考えない人々 その2 掲載のお知らせ
前回、この社会では何も考えずに時流に乗っているだけの人が多すぎるということを申し上げておきました。付言すれば個人だけでなく、組織も何も考えていないことが目立ちます。
私たちの社会の感性が劣化しているのでないでしょうか。
ネット上で乱舞している日本は素晴らしい国だという意見は、日本の治安の良さ、街のゴミの少なさ、タクシーで忘れ物をしたり、路上で財布を落としたりしても戻って来る日本人の正直さ、おもてなしが一流であることなどが外国から称賛されているというものがほとんどで、比較論として中国の街のゴミの散乱状況、公共機関において整然と並んで待つということができない国民性などをあげつらって優越感に浸っているものが圧倒的です。
本当にそれらの称賛の声が海外のネット上にあふれているのかどうかは承知していませんが、筆者の知る米国人や英国人、オーストラリア人などは確かに日本をほめちぎる人が多いところを見ると、いくらかは的を得ているのかもしれません。しかし、筆者に言わせれば、他人の気持ちを推し量ることに長けているはずの日本で、どうしてこうも無神経なことを延々と続けられるのかと疑問に思うことがあります。
筆者は私たち日本人の感情が劣化しているということではないかと疑っています。
繰り返しますが、当コラムはこの問題について社会学的な分析をするのではなく、現象面から傾向を捉えようとしています。
続きはこちらでお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/3002
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是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
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No.337 ビックリしたなぁ
先月、ツイッターを見ていてビックリして椅子から転げ落ちそうになったことがあります。
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さすがにこのツイートには多くの方が反応したようで、数時間後に訂正されていますが、しかし、ドイツがNATO加盟国であることを認めただけでした。
ドイツがNATOの加盟国であれば、彼のツイート全体の論理が崩れることに気付いていないようです。
ドイツがNATOに加盟しているということは、ドイツが第二次世界大戦に対して反省していないということであり、そうなると日本がグレーで安全保障でもエネルギーでも曖昧だということに論拠がなくなるはずなのですが。
この人が司会を務める「朝まで生テレビ」というのは有名な長寿番組ですが、最近の同番組の出鱈目さは話になりません。
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護衛艦くらまが関門海峡で韓国のコンテナ船と衝突して火災を起こした事故で、現場でまだくらまが炎上している映像を映しながら、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏に電話でインタビューをしたところ、田岡氏が期待に反して「相手船がくらまの左舷に衝突しているようですから、自衛隊に有利でしょうね。」という見当違いなコメントをしたことを指摘したものです。(専門コラム「指揮官の決断」第343回 専門家を簡単に信じてはいけない https://aegis-cms.co.jp/2985 )
見当違いではあっても海上自衛隊側の航海法規違反ではないという見解が示されたので、くらまが法規違反の運航をしていたというコメントを期待していた古館氏は一瞬凍り付き、慌てて「でも、観艦式の帰りということで気の弛みとかがあったんではないですか?」などという印象操作を試みていました。
その古館氏が「古館伊知郎チャンネル」というYoutubeチャンネルを開設して、時事問題を扱っています。
このチャンネルで彼は最近のウクライナ情勢に触れ、ウクライナがNATO諸国の援助を受けて大攻勢に出る準備を整えつつあると解説していました。軍事の素人がどのような解説をしているのかに興味があってそのチャンネルを暇潰しに観ることにしました。
彼はいろいろなソースからデータを集めてきて、どの武器がいくつなどと細かく説明していき、最後に兵力量について言及しました。
それによると、ロシアが戦域に動員している兵力が全部で36万9千名であり、対するウクライナが動員している兵力が70万名ということでした。
そこで彼の解説が入るのですが、36万に対して70万だからウクライナが優勢と考えると大間違いであり、戦場では攻める側が守る側の3倍の兵力がなければ勝てないというのが軍事における定石なので、ウクライナは油断できないということでした。
彼が、どこでその定石の話を聞いたのか知りませんが、だから素人は困るのです。
確かに守りに徹せられると攻めるのは大変です。昔から三倍の兵力が必要とは言われています。
しかし、同時に攻撃側はどこを重点として攻撃するかを選ぶことができます。
ロシアはクリミア半島を守らねばならず、また東部の占領地も守らなければなりません。
36万9千名の兵力が一つの要塞に閉じこもって防御を固めたら、確かに100万の兵力で攻撃しないと落とせないでしょう。しかし、ロシアはその兵力をもって東部から南部にかけての広大な地域を守らなければならないのです。
ウクライナから見れば、例えば東部と南部を結ぶ地点に5万のロシア軍がいれば、そこに15万の兵力で圧力を加え、ロシア軍を分断することもできます。
そうやって絶えず戦場の選択に主導権を発揮して局地的に三倍の兵力を集中させて個別撃破を図っていくことができますし、それが戦場における定石です。
古館氏は戦場でどのように兵力が運用されるのかをまったく知らず、単に攻める側が守る側の三倍の兵力が必要という教えをどこかで聞いただけなのです。
素人が知ったかぶりをするとその程度の議論しかできません。
また、同じ動画で最近のロシアのワグネル代表のプリゴジン氏がロシアは停戦すべきと発言したと述べています。
彼の解説によるプリゴジン氏の発言は、プーチン政権はこの軍事作戦の終了を今宣言すべきだということのようです。
趣旨としては、東部ドネツク全体を制圧する予定だったが、ワグネルをもってしてもできず、ましてロシア軍では今後負ける恐れもある。今ならクリミアも確保しているし、その他にも多くの占領地がある。したがって、今のうちに今年の2月24日のラインで停戦し、和平交渉に入るべきだとプリゴジン氏が言ったということです。
しかし、プリゴジン氏の発言の趣旨は古館氏の理解とは異なっています。彼はプリゴジン氏の発言を読んでいないことが明らかです。
プリゴジン氏の発言は一部だけが切り取られて報道されています。多分、例によってどこかの通信社が配信したものを各メディアが実際の発言を確認せずにコピー&ペーストしたものを古館氏が読んだのでしょう。
筆者はロシア語が理解できないので、ロシア語のプリゴジン氏の発言を英訳したものを入手して読みました。結構長いスピーチで、最初の方で確かにロシアが特別軍事作戦の終了を宣言し、ロシアが計画した成果を周知することが理想的だと述べています。
しかし、実はその後に別の展開をさせています。
彼はロシアが停戦を宣言してもウクライナは応じないだろうし、そのうちにロシアが負けることもあるだろうとしています。しかし、一度負ければ、ロシア人は奮起するだろうから、結局はロシアはウクライナに勝つだろう、したがって、自分たちはそれまで戦い続けると述べています。
つまり、古館氏はプリゴジン氏の発言がどのようなものであったのかを確認もせず、メディアが切り取った発言の一部だけで自分の番組を作っているのです。
それが彼の報道の基本姿勢なのでしょう。
筆者は報道関係者ではなく、その道の修業をしたこともなく、先輩に教えられえたこともありません。つまり、報道に臨む基本的な姿勢などは身に付いていません。しかし、少なくとも報道を丸吞みにして自説を構築するなどという態度は取っていません。
それにしても、歳を取るということはつらいことだと思いますね。
筆者は現役海上自衛官として体力の限界を感じていた50代の後半に入ったころ、海幕の人事担当部門から「そろそろ後進に途を譲っていただけませんか?」と肩を叩かれ、勧奨に応じて退官しました。55歳でした。
その頃、一般的には60歳が定年でしたので若すぎる引退でしたが、この制度は組織がピラミッドの形を維持するために必要であり、気力・体力ともに衰えつつある者が有事に最前線で指揮を執るという事態を避けるためにも重要な制度です。
世間的にはまだ余力のあるうちに自己都合退職ではなく「勇退」扱いとしてくれたので、商社で営業部長を務めたり、カリフォルニアにある米国法人のCEOを経験したりできました。
商売の経験など全くありませんでしたが、新たな分野に挑戦する気力だけは残っていました。
今なら、異国に移住して、まったく未経験の分野に挑戦するなどという気力はありませんが、50代半ばで第二の人生に入ったことが幸いしたかと思います。
田原氏を見ていて、つくづく老醜を曝したくないなと思います。
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