指揮官の休日 No.335 宇宙戦艦ヤマト 追悼 松本零士翁
2023/04/28 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第343回 専門家を簡単に信じてはいけない を掲載いたしました。
私たちは世の中に生ずる様々な事柄について理解しようとすると、専門家の説明に頼らざるを得ないことがよくあります。しかし、「専門家」と呼ばれてメディアに登場する人々の語ることには注意をしなければならないことが多々あります。うっかり聞いて納得してしまうと事態を見誤ることもないわけではありません。
今回はそのような問題に触れています。
興味をお持ちの方は、こちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2985
No.335 宇宙戦艦ヤマト 追悼 松本零士翁
宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999などの名作を世に送った漫画家松本零士さんが亡くなりました。
筆者が松本翁を知ったのは高校生の頃で、『男おいどん』という古ぼけたアパートで極貧の生活を送る大山昇太の生活を描いた漫画でした。
大学に進学してからはマンガを読むということがなくなり、しばらくして『宇宙戦艦ヤマト』という作品が有名になっているのを佐々木功さんの歌で知り、『銀河鉄道999』はゴダイゴの歌で知った次第です。
大学生のある時、当時まだ数少なかった洋書を売っている銀座の書店へ出かけた際、多分ヤマハだったと思うのですが、入り口に人だかりができていて、何のことか分からずに奥の方に入ろうとしたら店員が間違って筆者を誘導したので列に並ばされてしまい、不思議な格好をしたオジサンが座って色紙にサインをしているところに出くわしました。
そこで握手をすると名前を訊かれ、渡されたのが、今思うとメーテルの絵にサインをした松本零士さんの色紙でした。今持っていたら大変な価値になっていたかもしれませんが、当時は「雰囲気のある絵だなぁ。」くらいの認識しかなく、そのうちにどこにあるのか分からなくなりました。
「猫に小判」という諺のとおりですね。
松本零士さん死去のニュースは各紙・各局でも取り上げられ、特集が組まれたものもありました。
ただ、その取り上げ方に違和感を抱かざるを得ないものもあります。
例えばNHKです。
「松本零士さんが『戦場漫画』に託したこと」という特番がありました。
そこにはこのように記載されています。「北九州市ゆかりの漫画家、松本零士さんは「銀河鉄道999」など数々の人気SF作品を生み出す一方で、半世紀にわたって戦争を題材にした漫画を書き続けています。そこに込めた思いとは。」として、インタビューをもとに綴っているのですが、「松本さんは「戦場漫画」と呼ばれるシリーズを、半世紀以上描き続けてきました一話完結の物語で、これまでに150話以上を発表しています。戦場漫画で描かれるのは、戦争に翻弄され、未来を奪われた若者たち。夢を口にしながら散っていく姿に、松本さんの戦争への強い怒りが込められています。」
そして、父親が陸軍将校で戦闘機のパイロットであったことに触れ、その父親から戦争の悲惨さを教えられ、「戦争の愚かさ」と「命の大切さ」。それは戦場漫画だけでなく、松本さんの数々のSF作品にも込められています。父親から学んだ「命の大切さ」を若い世代に伝えることが、漫画家としての使命なのだと松本さんは話します。と結ばれています。
多くの報道がこのような内容を基調としていました。
戦争を実際に戦った人々から戦争を賛美する声を聞くことはありません。
筆者の父親は神戸商船学校で商船三井の船舶の船長となるために勉強していたところに太平洋戦争が始り、卒業と同時に海軍の予備士官として招集され、航空母艦、駆逐艦などを乗り継ぎ、海防艦の先任将校として硫黄島沖で撃沈されて硫黄島に流れ着き、米軍上陸の直前に父島に帰還して九死に一生を得た元海軍士官です。
戦後は予定通り商船三井に戻りましたが、海上保安庁発足に際してその要員として呼び出され、さらに海上自衛隊の創設に際して航海・運用の専門家として移籍させられ、3隻の艦長などを経験し、その後は東海大学海洋学部で練習船の船長を勤めたのち、教壇に立って航海学を教えていた船乗りで、筆者は幼い頃から戦争で苦労した思い出話はいろいろと聞いていました。
ただ、本当に苦しく悲惨だった時のことはあまり話したがらず、筆者が海上自衛隊に入隊してから、部下を持つ際に必要な覚悟があるとして語ってくれたこともたくさんありました。
つまり、あの戦争を実際に経験した人は戦争がいかに悲惨なのかを直接経験しているので、戦争を賛美する気にはならないのでしょう。
海上自衛官であった父ですら、戦争の悲惨さを語ったのです。
しかし松本零士さんが本当に主張したかったのが、「戦争の愚かさ」と「命の大切さ」だけだったのでしょうか。
筆者は松本翁は戦争は愚かであり、命が大切なのは重々知りつつ、しかし、その想いを乗り越えても戦わなければならないことがあるというメッセージを作品に込めたのではないかと思っています。
彼の代表作『宇宙戦艦ヤマト』の主題歌には次のような歌詞があります。
地球を救う使命を帯びて
戦う男、燃えるロマン
誰かがこれをやらねばならぬ
期待の人が俺たちならば
銀河をはなれイスカンダルへ
はるばるのぞむ「宇宙戦艦ヤマト」
命をかけても誰かのために何かをやり遂げなければならないことがあると松本翁は語っているのではないでしょうか?
彼を単なる反戦漫画家と位置付けるのはいかがなものかと考えます。
海上自衛隊の音楽隊はこの『宇宙戦艦ヤマト』のテーマをよく演奏します。
特に派遣任務などで出航していく船の見送りの時などには定番となっています。
「必ずここへ 帰って来ると 手を振る人に 笑顔で答へ」という内容が出航の見送りに相応しいということなのでしょうが、もう一つ理由があります。
「誰かがこれをやらねばならぬ 期待の人が俺たちならば」という歌詞が、出動していく隊員たちの想いに重なるからです。
幸い、まだ自衛隊は防衛出動を経験していませんが、災害派遣は数多く経験していますし、海上自衛隊は「海上における警備行動」も経験しています。これは一つ間違えば戦闘行為に発展しかねない事態への対処です。
国民の生命や財産を守る任務を帯びているのは消防・警察、海上保安庁などであり、自衛隊の任務は「我が国の独立と平和を守る」ことなので、災害時の対応などは一義的には消防・警察・海保の任務です。
しかし、彼らは自分たちの手に負えないことが分かると後ろを振り返ります。そこで自衛隊に対して災害派遣の要請が行われます。
すると自衛隊は本業ではないのですが出て行かざるを得なくなります。しかし、自衛隊には振り返っても誰もいません。自分たちが最後の砦であることを知っています。
つまり「期待の人」が自分たちしかいないという覚悟を決めて、不退転の決意で出ていくことになります。
これが『宇宙戦艦ヤマト』が見送りに演奏される理由でしょう。
もちろん、出航艦艦長が「出航用意!」を令し、最後のもやいが離されるときには海上自衛隊公式行進曲「行進曲 軍艦」が演奏され、岸壁から一定の距離を離し、機関が前進にセットされ、見送りに感謝するため「帽振れ」の号令とともにデッキ上の乗員が帽子を振る挨拶を始めると『蛍の光』に変わるという流れは昔通りですが、筆者が現役であった10数年前には見送りで『宇宙戦艦ヤマト』を聴くことは珍しくなくなっていました。
この曲は出航の際の岸壁上だけではなく、コンサートにおいてもよく演奏されています。特に海上自衛隊の歌姫三宅由佳莉さんのヴォーカリーズが美しく、リクエストが多くてプログラムから外せないことが多いようです。
この歌声はYoutubeでもお聴き頂けます。
松本零士翁を偲びながらお聴きいただきたく存じます。
https://www.youtube.com/watch?v=BWAXL6NpnG8
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当コラムでは、繰り返し繰り返し専門外の問題にかかわることへの躊躇を表明しています。しかしながら危機管理という分野を扱うため、様々な専門分野について言及をせざるを得ないという矛盾を抱えています。コロナ禍であれば感染症の専門分野ですし、地震や火山噴火について言及する際には古い言葉で表現すれば地学の専門分野にかかわらざるを得ません。
しかしながら、物事は多面体の様相を持っていますので、危機管理論の立場から観察するということも可能です。
続きはこちらでお読みください。
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
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No.335 宇宙戦艦ヤマト 追悼 松本零士翁
宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999などの名作を世に送った漫画家松本零士さんが亡くなりました。
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そして、父親が陸軍将校で戦闘機のパイロットであったことに触れ、その父親から戦争の悲惨さを教えられ、「戦争の愚かさ」と「命の大切さ」。それは戦場漫画だけでなく、松本さんの数々のSF作品にも込められています。父親から学んだ「命の大切さ」を若い世代に伝えることが、漫画家としての使命なのだと松本さんは話します。と結ばれています。
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戦争を実際に戦った人々から戦争を賛美する声を聞くことはありません。
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筆者は松本翁は戦争は愚かであり、命が大切なのは重々知りつつ、しかし、その想いを乗り越えても戦わなければならないことがあるというメッセージを作品に込めたのではないかと思っています。
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