指揮官の休日 No.324 フェミニ推定
2023/02/10 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第332回 危機管理入門 危機管理とは その2 を掲載いたしました。
危機管理の基本的な概念について解説しています。
https://aegis-cms.co.jp/2915
No.324 フェミニ推定
今回のテーマは当メールマガジンの趣旨を大きく逸脱するものになります。
知っていても知らなくても何の役にも立たない知識などを書きなぐるのが当メールマガジンの趣旨で、呆れてサッサと読み飛ばして頂いて、弊社ウェブサイトに連載中の専門コラムに早急に跳んで頂くというのが狙いです。
しかしながら、今回だけはちょっと趣旨を逸脱し、恐ろしく役に立つお話を致します。
筆者がこの3年間のコロナ禍を巡り、あることに怒っているのをコラムをお読み頂いている方はご理解のことと存じます。
ところが、この「メールマガジンの読者=コラムの読者」という図式が描けていないという悲しい現実があります。
海上自衛隊の先輩に久しぶりにお目にかかるとよく言われることがあります。
「久しぶりだな。お前のメルマガ、よく読んでるぞ。日本人は海が嫌いだとか、日本人は海洋国民ではない、とかけしからんことを主張しておるな。」とかまず怒られます。
そこで、「メールマガジンなんかどうでもいいですが、専門コラムの方をご批評頂けませんか?」と尋ねると、「何だ、コラムなんかも書いてるのか?」という返事をもらうことが多いのです。
幹部候補生学校の同期生たちも、「お前のメルマガは、よくこんな昔のつまらんことを覚えているなぁ、と感心するけど、コラムの方は理屈っぽくて読むのが面倒くさい。そもそも一回が長すぎる。」としっかり読んでくれていないようです。
最近はちょっと反省してコラムも短めにしているのですが、どうなんでしょうか。
ということで、専門コラムで筆者がここ3年間何を怒っていたかをメールマガジンの読者の皆様が理解していただいているというような幻想は持たずに、ここで改めて説明させて頂きます。
筆者がこのコロナ禍を通じて怒っていたのは、テレビで解説している感染症専門家たちのレベルが低すぎるということでした。致死率さえまともに計算できない連中が多いのです。
このこともコラムでは何回も指摘していますが、コラムを読んでいない方のために、改めて説明させて頂きます。
彼らは3年前の第1回の緊急事態宣言の頃、新型コロナウイルス感染症の致死率は3%であり、恐ろしい病であると主張していました。
それが2年前の夏頃には「1.5%に下がったとは言え、依然として恐ろしい感染症であることに変わりはない。」と言うようになり、昨年末ころから、致死率0.2%程度と言うようになってきています。これはウイルスが変異により弱毒化してきたということなので、その数字が小さくなっていきているのは正しいのですが、しかし筆者の感覚ではそれでも致死率が高すぎるのです。
筆者は3年前の3%という致死率に違和感を持っていましたが、2年前の1.5%という数字を聞いて「絶対に間違いだ」と確信を抱き、弊社で計算をしたところ、感染症専門家が3%と主張していた頃の致死率は実は0.15%でした。例年のインフルエンザの致死率とそう変わりません。何故20倍もの違いが生じたのかを疑問に思い、感染症専門家たちは何を計算したのかを調べてみました。
そこで分かったのは、彼らはコロナ死と認定された死者数を分子に取り、PCR検査の結果陽性であった人数を分母としていたことでした。
ここで彼らの間違いが歴然としてきます。
もし全国のコロナ死者数を分子とするなら、分母は全国の陽性者数でなければなりません。反対に分母がPCR検査陽性者数なら、分子はその陽性者の中で亡くなった方の人数でなければならないはずです。
分子に全国のコロナ死認定者数を取り、分母にPCR検査を受けて陽性になった人の数だけを取るので、その割合は非常に大きなものになってしまうのです。
全国民に対するPCR検査を継続的に行っているのではないため、全国民の陽性者数は分かりません。また、PCR検査陽性者のうち何人が亡くなったのかも、そのような追跡調査を行って統計を取っていないので分からないのです。PCR検査を受けてから亡くなった人よりも亡くなってから検査によりコロナ死とされた方の方が圧倒的に多いからです。
一方、筆者たちの計算は全国の陽性者数を推定して計算しています。この頃、世田谷区が区内で介護業務に従事する職員5000人全員にPCR検査を行い、50人が陽性であったという結果が出ていました。介護職員というのは感染には特に注意を払っている方々なので、社会全体ではもっと多くの人々が陽性の可能性があるとは考えられますが、一応全国民の1%が陽性の可能性があると推定できます。
その推定値を使って計算すると0.15%という致死率になります。実態はこれよりも3分の1あるいは5分の1程度かと考えています。
つまり、少なくともテレビで解説している感染症専門家と言うのは、この程度の計算すらできない連中であり、筆者はその連中のみを起用して不安を煽るだけのメディアとそこに踊る感染症専門家たちに怒ってきたのです。
さて、弊社では全国の新型ウイルス陽性者数を世田谷区の介護職員の検査結果から推定しています。介護職員ではない一般の人々を対象とすると、陽性者数はもっと増えるかとは考えますが、しかし、ある程度の合理性のある推定であると考えます。
しかし、世の中にはどう考えてもまともには推定できない数字というものがあります。
例えば、全世界で毎日、雑踏に踏みつけられて死んでしまう蟻の数など、どうやって推定すればいいでしょうか。あるいは、私たちが街角で10年ぶりに学友と出くわす確率などはどう計算すればいいでしょうか。
そんな計算がどうして必要なのかと疑問に思われる方もおられるかと思います。
実は重要なんですよ。
街角で10年ぶりに旧友に出くわす確率が計算できると、正夢を見ることができる確率が計算できますし、その結果として占い師が人の過去を言い当てることのできる確率も計算できます。それが超常現象と思われていたことが単なる偶然であったことが分かったりもします。
さて、そのような途方もない数字を推定しなければならない時に用いられるのが今回のテーマにあるフェルミ推定です。
一見して捉えどころのない数をいくつかの手掛かりを元に論理的に推定して概算する手法であり、ノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミが得意としていたと言われます。
フェルミ推定で教科書で教えられる有名な事例があります。シカゴに何人のピアノ調律師がいるかという問題です。フェルミ自身がシカゴ大学の学生に講義した際に用いられた例だそうです。
具体的な推定手順を示します。
1 シカゴの人口は300万人とする
2 シカゴでは、1世帯あたりの人数が平均3人程度とする
3 10世帯に1台の割合でピアノを保有している世帯があるとする
4 ピアノ1台の調律は平均して1年に1回行うとする
5 調律師が1日に調律するピアノの台数は3つとする
6 週休二日とし、調律師は年間に約250日働くとする
これらの仮定を元に推論します。
1 シカゴの世帯数は、(300万/3)=100万世帯程度
2 シカゴでのピアノの総数は、(100万/10)=10万台程度
3 ピアノの調律は、年間に10万件程度行われる
4 1人のピアノの調律師は1年間に250×3=750台程度を調律する
この推定により計算される調律師の人数は10万/750=130人程度です。
このフェルミ推定は実態とは大きく乖離しているかもしれません。置いた仮定が誤りだったりすると乖離は大きくなります。
しかし、一方でこのフェルミ推定が優れている点は、とにかく何らかの推定が行えますので、思考停止にならないということです。
筆者は軍隊生活を30年間送りましたが、その世界は思考停止が許されない世界でした。何があっても対応しなければなりません。敵の兵力や意図がまったく見当がつかなくても対応策を練りださなければなりません。そのような場合にとにかく推定ができるのは便利です。
また、フェルミ推定を行って論理を組み立てていくと、それを否定するためにはその推定の過程における仮定や計算の間違いを論理的に説明できなければなりません。元々雲をつかむような話なので、これは結構大変です。つまり論破されにくい議論ができるということです。
とにかく、何とかして思考停止にならずに推定を行い、一定の指針を立てることができるということは素晴らしいことです。推定のための仮定が中らずと雖も遠からない仮定であれば、そこから導き出される結論もそう出鱈目なものにはなりません。
ということで、今回は当メールマガジンの趣旨を逸脱したとてもためになるお話でしたが、しかしよく考えて見ると、普通の社会生活を送っている方でフェルミ推定などを行って議論を組み立てなければならない羽目に陥る方もそう多くはないでしょうから、結局知っていても知らなくても実生活にほとんど何の変りもないかもしれないですね。
そういう意味では趣旨を逸脱していないかもしれませんね。
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専門コラム「指揮官の決断」第332回 危機管理入門 危機管理とは その2 掲載のお知らせ
当危機管理入門の議論においては、危機管理を「想定外の事態に毅然と対応し、その事態に踏み潰されるのではなく、組織が一丸となって踏みとどまり、激変する環境の中に機会を見出して組織を飛躍させるためのマネジメント」と定義し、端的に申し上げれば「危機を機会に変えるマネジメント」であるとお伝えしました。
そのうえで、筆者がセミナーで「リスクマネジメントの専門家」と紹介されて狼狽えていると申し上げました。
何故かというと、危機管理とリスクマネジメントは異なる範疇の議論を展開するからです。
このことが、特に日本では理解されておらず、「リスクマネジメント=危機管理」と考えている方が非常に多いので困るのです。
続きはこちらでお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2915
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Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
https://aegis-cms.co.jp/book1
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
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そこで、「メールマガジンなんかどうでもいいですが、専門コラムの方をご批評頂けませんか?」と尋ねると、「何だ、コラムなんかも書いてるのか?」という返事をもらうことが多いのです。
幹部候補生学校の同期生たちも、「お前のメルマガは、よくこんな昔のつまらんことを覚えているなぁ、と感心するけど、コラムの方は理屈っぽくて読むのが面倒くさい。そもそも一回が長すぎる。」としっかり読んでくれていないようです。
最近はちょっと反省してコラムも短めにしているのですが、どうなんでしょうか。
ということで、専門コラムで筆者がここ3年間何を怒っていたかをメールマガジンの読者の皆様が理解していただいているというような幻想は持たずに、ここで改めて説明させて頂きます。
筆者がこのコロナ禍を通じて怒っていたのは、テレビで解説している感染症専門家たちのレベルが低すぎるということでした。致死率さえまともに計算できない連中が多いのです。
このこともコラムでは何回も指摘していますが、コラムを読んでいない方のために、改めて説明させて頂きます。
彼らは3年前の第1回の緊急事態宣言の頃、新型コロナウイルス感染症の致死率は3%であり、恐ろしい病であると主張していました。
それが2年前の夏頃には「1.5%に下がったとは言え、依然として恐ろしい感染症であることに変わりはない。」と言うようになり、昨年末ころから、致死率0.2%程度と言うようになってきています。これはウイルスが変異により弱毒化してきたということなので、その数字が小さくなっていきているのは正しいのですが、しかし筆者の感覚ではそれでも致死率が高すぎるのです。
筆者は3年前の3%という致死率に違和感を持っていましたが、2年前の1.5%という数字を聞いて「絶対に間違いだ」と確信を抱き、弊社で計算をしたところ、感染症専門家が3%と主張していた頃の致死率は実は0.15%でした。例年のインフルエンザの致死率とそう変わりません。何故20倍もの違いが生じたのかを疑問に思い、感染症専門家たちは何を計算したのかを調べてみました。
そこで分かったのは、彼らはコロナ死と認定された死者数を分子に取り、PCR検査の結果陽性であった人数を分母としていたことでした。
ここで彼らの間違いが歴然としてきます。
もし全国のコロナ死者数を分子とするなら、分母は全国の陽性者数でなければなりません。反対に分母がPCR検査陽性者数なら、分子はその陽性者の中で亡くなった方の人数でなければならないはずです。
分子に全国のコロナ死認定者数を取り、分母にPCR検査を受けて陽性になった人の数だけを取るので、その割合は非常に大きなものになってしまうのです。
全国民に対するPCR検査を継続的に行っているのではないため、全国民の陽性者数は分かりません。また、PCR検査陽性者のうち何人が亡くなったのかも、そのような追跡調査を行って統計を取っていないので分からないのです。PCR検査を受けてから亡くなった人よりも亡くなってから検査によりコロナ死とされた方の方が圧倒的に多いからです。
一方、筆者たちの計算は全国の陽性者数を推定して計算しています。この頃、世田谷区が区内で介護業務に従事する職員5000人全員にPCR検査を行い、50人が陽性であったという結果が出ていました。介護職員というのは感染には特に注意を払っている方々なので、社会全体ではもっと多くの人々が陽性の可能性があるとは考えられますが、一応全国民の1%が陽性の可能性があると推定できます。
その推定値を使って計算すると0.15%という致死率になります。実態はこれよりも3分の1あるいは5分の1程度かと考えています。
つまり、少なくともテレビで解説している感染症専門家と言うのは、この程度の計算すらできない連中であり、筆者はその連中のみを起用して不安を煽るだけのメディアとそこに踊る感染症専門家たちに怒ってきたのです。
さて、弊社では全国の新型ウイルス陽性者数を世田谷区の介護職員の検査結果から推定しています。介護職員ではない一般の人々を対象とすると、陽性者数はもっと増えるかとは考えますが、しかし、ある程度の合理性のある推定であると考えます。
しかし、世の中にはどう考えてもまともには推定できない数字というものがあります。
例えば、全世界で毎日、雑踏に踏みつけられて死んでしまう蟻の数など、どうやって推定すればいいでしょうか。あるいは、私たちが街角で10年ぶりに学友と出くわす確率などはどう計算すればいいでしょうか。
そんな計算がどうして必要なのかと疑問に思われる方もおられるかと思います。
実は重要なんですよ。
街角で10年ぶりに旧友に出くわす確率が計算できると、正夢を見ることができる確率が計算できますし、その結果として占い師が人の過去を言い当てることのできる確率も計算できます。それが超常現象と思われていたことが単なる偶然であったことが分かったりもします。
さて、そのような途方もない数字を推定しなければならない時に用いられるのが今回のテーマにあるフェルミ推定です。
一見して捉えどころのない数をいくつかの手掛かりを元に論理的に推定して概算する手法であり、ノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミが得意としていたと言われます。
フェルミ推定で教科書で教えられる有名な事例があります。シカゴに何人のピアノ調律師がいるかという問題です。フェルミ自身がシカゴ大学の学生に講義した際に用いられた例だそうです。
具体的な推定手順を示します。
1 シカゴの人口は300万人とする
2 シカゴでは、1世帯あたりの人数が平均3人程度とする
3 10世帯に1台の割合でピアノを保有している世帯があるとする
4 ピアノ1台の調律は平均して1年に1回行うとする
5 調律師が1日に調律するピアノの台数は3つとする
6 週休二日とし、調律師は年間に約250日働くとする
これらの仮定を元に推論します。
1 シカゴの世帯数は、(300万/3)=100万世帯程度
2 シカゴでのピアノの総数は、(100万/10)=10万台程度
3 ピアノの調律は、年間に10万件程度行われる
4 1人のピアノの調律師は1年間に250×3=750台程度を調律する
この推定により計算される調律師の人数は10万/750=130人程度です。
このフェルミ推定は実態とは大きく乖離しているかもしれません。置いた仮定が誤りだったりすると乖離は大きくなります。
しかし、一方でこのフェルミ推定が優れている点は、とにかく何らかの推定が行えますので、思考停止にならないということです。
筆者は軍隊生活を30年間送りましたが、その世界は思考停止が許されない世界でした。何があっても対応しなければなりません。敵の兵力や意図がまったく見当がつかなくても対応策を練りださなければなりません。そのような場合にとにかく推定ができるのは便利です。
また、フェルミ推定を行って論理を組み立てていくと、それを否定するためにはその推定の過程における仮定や計算の間違いを論理的に説明できなければなりません。元々雲をつかむような話なので、これは結構大変です。つまり論破されにくい議論ができるということです。
とにかく、何とかして思考停止にならずに推定を行い、一定の指針を立てることができるということは素晴らしいことです。推定のための仮定が中らずと雖も遠からない仮定であれば、そこから導き出される結論もそう出鱈目なものにはなりません。
ということで、今回は当メールマガジンの趣旨を逸脱したとてもためになるお話でしたが、しかしよく考えて見ると、普通の社会生活を送っている方でフェルミ推定などを行って議論を組み立てなければならない羽目に陥る方もそう多くはないでしょうから、結局知っていても知らなくても実生活にほとんど何の変りもないかもしれないですね。
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1 ACMS導入コンサルティング
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