指揮官の休日 No.320 あぁ誤訳・・・
2023/01/13 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第328回 危機管理論入門 イントロダクション を掲載いたしました。
年頭にお伝えしたとおり、今後当コラムは新たな編集方針のもとに掲載してまいります。
今回はそのイントロダクションです。
新たなに当コラムが目指すのは、危機管理とは何をするマネジメントであるのかを明らかにしていくということです。
特に我が国に顕著なのですが、危機管理という概念が理解されていないというよりも、誤解されているという問題があります。
各論における誤解ならいいのですが、危機管理というマネジメントそのものが誤解されているというのは問題です。正しく危機管理が行われないからです。
そこで、当コラムでは危機管理というマネジメントがそもそも何をするマネジメントなのかという根本的な議論から起こしていきます。
そのうえで、危機管理において重視すべきものは何か、どのような考え方、ものの見方が重要であるのかなどについて繰り返し繰り返し言及してまいります。
議論の基礎に置くのは組織論であり、特にその中でも意思決定論に軸足が置かれるかと考えます。
危機管理は様々な側面を持ちますので、どのような面からでも語ることはできるかと思いますが、筆者がある程度の専門性を持って語ることができるのが組織論からのアプローチであり、そこに軸足を置いて周辺分野における研究成果や知見を借りて議論を展開してまいります。
https://aegis-cms.co.jp/2897
No.320 ああ誤訳!
新年に宣言したとおり、今年も相変わらず知っていても知らなくてもどうでもいいことなどを書き綴り、サッサとコラムに跳んで頂こうという企みは変わっておりません。
これまでも主として海に関わる英語について時々書き綴ってまいりましたが、今回は必ずしも海に関わる英語ではなく、より一般的な英語の誤訳をテーマにしようと思っています。
この年末から年始にかけて、昨年から関わっているプロジェクトのため身動きもできないほど拘束されて作業を続けていたため、どこに行くこともできず、年賀状なども失礼させて頂き、1月中もまだ予定が立てられずにいます。
仕方なく自室に閉じこもり、PCと睨めっこの日々でしたが、小さなテレビの電源は入れっぱなしにして、音楽番組や映画などを流していました。
真剣に観ていたということではないので、時々耳に入ったり、たまにちょっと視線を上げて画面を見たりしている時に、テレビも誤訳がやたらと多いことに気付きました。
年末に誤訳に気付いたのは、米国で人気のドラマを観ている時でした。たまたま”Commander !”と大きな声で呼びかけるシーンがあってふと目を上げた時に、テロップで訳が流れていて「中佐!」となっていたのに気が付きました。
ところが、画面で制服を着て外に出ようとしているのは海軍少佐でした。
筆者は「あぁやっちゃったなぁ」と瞬時に誤訳であることを理解しました。
我が国の自衛隊もそうなのですが、陸上や航空の制服は後ろから見ると階級が分かりません。ところが海上自衛隊は幹部自衛官は後ろから見ても階級が分かります。
何故なら、陸上自衛と航空自衛隊の幹部自衛官の制服の階級章は襟についているのですが、海上自衛隊の幹部自衛官の階級章は冬服は袖に巻き付けてありますし、夏服では両肩に載せているからです。
この辺の事情は米軍も同様です。かつて米海軍士官は「カーキー」と呼ばれる略服を着ていることが多かったのですが、この略服が廃止されたため、夏は白、冬は黒の制服かデジタル迷彩の戦闘服を着ていることになります。戦闘服では階級章は目だないように付けられているのですが、制服の独特のフォルムは変わっていないので、冬の黒服を着ていれば、袖口を見るだけで後ろからでも階級が分かります。
さて、何が誤訳だったかという話ですが、海軍少佐は英語でLieutenant Commanderといい、海軍中佐はCommanderと呼ばれます。
Commanderには「指揮官」という意味もありますが、海軍においては中佐が艦長になることが多いので中佐の階級にCommanderという呼称が与えられたのかもしれません。
そして日常で、少佐である人物を階級で呼ぶときには、日本語であれば「少佐」と呼びかけるのでしょうが、英語では”Lieutenant Commander”と呼ぶのではなく敬意を表して”Commander”と呼びかけます。筆者も30数年前に米国駐在をしていた時、1等海尉で着任したのですが、米国で3等海佐に昇任しました。帝国海軍の階級であれば、海軍大尉で着任し、米国で海軍少佐に昇任したということです。勤務していた米軍基地のオフィスでは周りのスタッフが筆者を”Commander Hayashi “と呼ぶので、なにかこそばゆい感じがしたのを覚えています。
そのドラマの翻訳を担当していた女性の翻訳家(お名前は伏せさせていただきます。)はCommanderという言葉は聞き取っているのですが、画面を見て、それが少佐の階級章であることを認識していないのでしょう。また、米国社会では一般に海軍少佐に呼びかける時にはCommanderと呼びかけることをご存じなかったのでしょう。
辞書を引けばCommanderは「海軍中佐」ですから、「中佐!」と訳したのだと思われますが、明らかな誤訳です。
さらに別の日に、昔の映画を観ていて改めて、その映画のタイトル自体が誤訳であるとは言いませんが日本語としておかしいことを思い出したりしました。
ハリソン・フォードが主演したトム・クランシー原作の『今そこにある危機』です。
この映画は原題が“Clear and Present Danger”です。
法学部出身の方はご存じですが、この映画の原題は法律用語です。
これは「明白かつ現在の危険」という概念で、法令が違憲かどうかを審査する際に用いられる基準であり、特に表現の自由の内容規制に関する違憲審査基準として有名です。
具体的には公権力による権利・自由(特に表現の自由)の制約が、明らかに差し迫った危険を避けるためのものかどうかを審査し、その制約の合憲性を検討するのが「明白かつ現在の危険」という審査基準です。
しかし、この法律用語とトム・クランシーの原作がどう関係するのかがよく分かりません。
小説の方はそれなりに面白いのですが、映画はどうも原作のつまみ食いをしているように思われ、何となく薄味です。
どうせ訳すなら、「今そこにある」というヘンな日本語ではなく、法律用語である「明白かつ現在の」にするか、あるいは意訳で「急迫不正の」くらいにした方が良かったのではないかと思っています。
その外にも何本か明らかな誤訳を見つけましたが、そんなことをダラダラと書いていてもご多忙な皆様にとっては面白くはないかと思いますので、今回はここで収めようと思います。
今年もこの程度の毒にも薬にもならぬ話を展開してまいりますので、どうかメールマガジンなどはサッと読み飛ばして、筆者が力を入れている専門コラムへ跳んで頂ければ幸いです。
専門コラムは今後は危機管理論の集大成を目指し、新たな試みを始めるところですので、この機会にしっかりと勉強して頂ければ幸甚に存じます。
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
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ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
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2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
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ところが、画面で制服を着て外に出ようとしているのは海軍少佐でした。
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さて、何が誤訳だったかという話ですが、海軍少佐は英語でLieutenant Commanderといい、海軍中佐はCommanderと呼ばれます。
Commanderには「指揮官」という意味もありますが、海軍においては中佐が艦長になることが多いので中佐の階級にCommanderという呼称が与えられたのかもしれません。
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この映画は原題が“Clear and Present Danger”です。
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これは「明白かつ現在の危険」という概念で、法令が違憲かどうかを審査する際に用いられる基準であり、特に表現の自由の内容規制に関する違憲審査基準として有名です。
具体的には公権力による権利・自由(特に表現の自由)の制約が、明らかに差し迫った危険を避けるためのものかどうかを審査し、その制約の合憲性を検討するのが「明白かつ現在の危険」という審査基準です。
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