指揮官の休日 No.259 上番
2021/11/12 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
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https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第267回 同調バイアスとバンドワゴン効果 を掲載いたしました。
ものの考え方の大切さについて考えています。
詳しくはこちらをお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2545
No.259 上番
今回のタイトルを即理解される方がどのくらいいらっしゃるのか興味があるところです。
この言葉は当然ながら「下番」という言葉とセットになっています。
若い人なら、鞄を持って常磐線で旅行することをイメージするかもしれません。
最近、仕事の都合で複数の現役の陸上自衛官と話をすることがありました。彼らはその会話の中で何の抵抗もなく「上番・下番」という言葉を使います。
最近会った陸上自衛官も会話の中でこの言葉を普通に使ったのでとても懐かしい思いをしました。
筆者がこの言葉を最初に聞いたのは40年ほど前ですが、その時は何のことか意味が分からず、ちょっと戸惑った思い出があります。「次に君が上番してくるのはいつかね?」と尋ねられて「???」だったのです。
ちなみに筆者は海上自衛隊にいたのですが、海上自衛隊では上番とか下番とかという表現は使いません。同じ自衛隊でも陸・海・空自衛隊で日常使われる言葉はかなり違うので、とても面白いことが起こったりします。
それらについては、基本的にどうでもいいことなので、どうでもいい、役に立たないことばかりを取り上げるのを本来の趣旨とする当メールマガジンに極めてふさわしいので、今後、時々取り上げてご紹介します。そのようなネタが出てきたら、筆者がメールマガジンを書くネタ探しに困った結果だとご了解ください。
さて、問題の「上番」ですが、これは当直などの勤務に就くことを意味しており、下番というのは逆にその勤務を終えて下がってくることをいいます。
かなり古い言葉で、奈良時代に衛士として地方から京都に上って勤務に就くことが「上番」と呼ばれていました。
陸上自衛隊はこの奈良時代の言葉をまだ使っているんです。
とは言え、海上自衛隊も現在も操艦号令として「オモーカージ」とか「トーリカージ」などと言っています。「ヨーソロー」に至っては「宜しく候」ですからね。
軍隊が一度できた体質を変えるのがいかに難しいかということの現れかもしれません。
この「上番・下番」という言葉には懐かしい思い出があります。
1993年当時、筆者は海上自衛隊から防衛庁内部部局に出向していました。
自衛官と内局の役人の人事交流をしようという計画が持ち上がり、中堅幹部自衛官を内部部局に出向させるという人事異動が行われ、その一期生として海上自衛隊から出向したのが筆者でした。三等海佐でした。
陸上自衛隊からは三等陸佐が内局の防衛局防衛課に派遣されたのですが、内局の装備局が要求したのが、対米調整に経験があり、装備行政を理解している者ということだったそうで、陸・空自衛隊にはその時に適当な該当者がいなかったようです。(外に放り出しても構わないような人材がいなかったということです。)そこで海上自衛隊から在米連絡官としてイージス艦建造の調整を担当して帰国したばかりの私が選ばれたようです。(海上自衛隊が当時の筆者をどう見ていたかがこれで分かります。2年間アメリカへ放り出しておいて、やっと戻ってきたと思ったら、また海上自衛隊の外へ放り投げるんですからね。)
当時はまだ防衛省になっておらず、防衛庁は今の市ヶ谷ではなく六本木にありました。現在ミッドタウンになっている場所です。
その防衛庁の敷地の警備は陸上自衛隊が担当しており、全国から警備のための中隊が交代で勤務に就いていました。彼らはこれを「上番」と言っていました。奈良時代の衛士が地方から京都の警備に就くのと同じです。
陸上自衛隊の地方の部隊にとっては、これは大変な任務です。首都東京の真ん中で防衛庁長官や陸上幕僚長がいる防衛庁の警備をするのであり、いささかの不備も許されません。しかし一方で、これは担当中隊にとってはとても名誉なことでもあるようです。
派遣が終わり、地元の連隊に復帰する前に、数日の外出が認められるようで、東京見物や家族への土産を買ったりすることもできるそうです。
特に「上番」の最終日、防衛大臣との記念撮影が行われ、それが中隊隊長室に長く掲示されることになります。もちろん派遣隊員全員にも配布されます。
筆者が内部部局で制服を脱いで背広で勤務していた頃の政権は細川内閣で、防衛庁長官は中西啓介氏でした。
中西長官は細身で無駄肉がなく、頭髪を短く刈り上げて、ヘタな自衛官よりも遥かに制服が似合いそうな政治家でした。
ある天気のいい日、私は海幕へ情報交換に行った帰り、防衛庁庁舎前をのんびり歩いていました。
すると戦闘服装に身を包んだ陸上自衛隊員が集合していました。何をしているのかと思ったら、早朝から新たに上番してきた中隊との申し継を終わり、これから下番する前に長官との記念撮影が行われるということでした。
通常は、部隊が集合した頃に長官が出てきて、一緒に記念撮影を行い、「ご苦労さんでした。」程度の挨拶があって解散となるのですが、この時の中西長官は違いました。
やる気満々の中西長官は、集合した隊員を前に訓示を始めたのです。
しかも話は日本を取り巻く防衛環境から遠く中東情勢にまで発展し、さらには元寇から日清・日露の戦争などの防衛戦争の歴史に移り、いつ終わるのか分からない果てしない話に展開していきました。
普段そのような話をまったく聞いたことのない地方の兵隊さんたちは、気を付けの姿勢をしたままその話を聴かねばならず、しかし陸上自衛官特有の粘り強さを思い切り発揮して身動き一つせずに正面を向いています。
長官の秘書官がついているので、適当な時間で長官に「お戻りください。」と言えばいいのですが、こいつも政権が代わって着任したばかりの若造でその機会を掴めずに途方に暮れていました。
傍の物陰から様子を見ていた私は可笑しくて仕方なく、吹き出したくなるのを一生懸命に堪えるという事態でした。
そのうちに、いくらなんでも中隊員が可哀そうになって、現場を離れて総務課へ駆け上がり、「玄関前が大変なことになっているぞ。誰か警備中隊を助けてやれ。」と伝えて現場に戻りました。訓示はまだ続いており、その後ろの方から海上幕僚長が歩いてくるのが見えたので、副官に手で合図して別の入り口を案内しました。
海幕長が「何があったんだ?」と訊いてきたので、事の顛末を報告したところ吹き出してしまいました。海幕長はそのすぐ後に退官されましたが、その後お目にかかるたびにその時のことを思い出されるようで、「あの時は可笑しかったな。」と話しかけてくれます。
この時の騒ぎの発端となったのが、警備中隊長の防衛長官への報告でした。
「第○○中隊、かねて上番中のところ、本日をもって防衛庁六本木駐屯地警備の任務を終了し下番します!」
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専門コラム「指揮官の決断」第267回 同調バイアスとバンドワゴン効果 掲載のご案内
周囲に人がいる場合に、無意識に多くの人々がどう行動するのかを参考にして同じ行動を取ってしまうことがあります。
例えば、同じような料理を出している店がたくさんあるのに、わざわざ混んでいる店や行列ができる店に行ってしまったりすることがあるのではないでしょうか。
私たちがこのような行動を取るのにはいくつかの理由がありますが、一つは他の人の行動を一つの情報として利用しているのではないかと思われます。多分、誰も入っていない店は美味しくないのだろうという判断です。
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ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
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当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
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導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
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プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
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要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
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