指揮官の休日 No.237 世界の歴史を変えた最も短い言葉
2021/06/11 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第245回 危機管理の最強のツール:図上演習 を掲載いたしました。
ビジネスの社会ではあまり知られていない図上演習ですが、危機管理のみならずあらゆる計画立案にも用いることができる最強のツールです。その図上演習を数回にわたって紹介してまいります
詳しくはこちらをお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2410
No.237 世界の歴史を変えた最も短い言葉
当メールマガジンではこれまでに歴史上最も短い命令や会話などをご紹介してきました。
(指揮官の休日 No.200 最も短い命令 https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all&m=236)
(指揮官の休日 No.226 最も短い会話 https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all&m=265)
今回ご紹介しようと考えているのは、歴史を変えた最も短い言葉です。
ここでご注意いただきたいのは、これがメールマガジン「指揮官の休日」であり、専門コラム「指揮官の決断」ではないということです。後者は専門コラムとして少しでも皆様のお役に立つように記載する内容については錯誤のないように留意するとともに、社会科学の方法論から極力逸脱しないように配慮しながら議論を進めております。
一方、当メールマガジンは基本的にはどうでもいい内容の御託を並べて、さっさと専門コラムへ飛んでいただこうという意図のもとに執筆いたしておりますので、社会科学の方法論やファクトチェックなど糞くらえと言うスタンスで書き進めており、当然の帰結として今回ご紹介する言葉が歴史を変えた最も短い言葉になるのか どうか、厳密な検証は致しておりません。筆者の思い込みのみで書かれています。その辺をお含みおきいただいたうえでお読み頂ければ幸甚に存じます。
1905年(明治38年)5月、朝鮮半島南端の釜山の西に位置する鎮海湾を根拠地として日本海軍の連合艦隊は連日猛訓練に明け暮れていました。後に「月月火水木金金」と言われた猛訓練で、目的はヨーロッパから回航してくるロシア海軍のバルチック艦隊との戦いに勝利することにありました。
当時、朝鮮半島および満州を主戦場としてロシア陸軍と戦っていた日本陸軍にとっては、日本海を超えて行う補給が唯一の生命線でした。ロシア陸軍はシベリア鉄道でいくらでも兵員、武器、弾薬を補給することができたのですが、日本陸軍は日本海を輸送船が安全に航行できなければ大陸で撃つ弾もなく飢えて全滅するしかなかったのです。
このため開戦直後から(厳密にいえば宣戦布告の前から)日本海軍は日本海におけるロシア海軍の威力を削ぐことに全力を挙げており、この時期までには概ね日本海の制海権を獲得していました。そこでロシアはヨーロッパに残っていた艦隊を結集し、ロジェストヴェンスキー中将を指揮官として地中海・大西洋・インド洋・南シナ海を超えて極東の要衝ウラジオストックに回航し、日本海軍と対抗させようとしました。
この航海は歴史的壮挙です。あの時代に戦艦8隻を含む38隻の大艦隊がスエズ運河を通峡し、スエズ運河が浅くて通ることのできない艦を喜望峰経由でインド洋に進出させるなど、ほぼ全艦隊を日本近海へ連れてきたロシア艦隊司令官のロジェストヴェンスキー中将のリーダーシップは大したものです。
この大艦隊がインド洋から太平洋に入った後、ウラジオストックに向かうには二つのルートがありました。一つはそのまま北上を続けて対馬海峡を抜けるコース、もう一つは日本列島の東側の太平洋に出て、津軽海峡を通峡して日本海に入るコースです。
この時、連合艦隊司令部作戦参謀の職にあった秋山真之中佐はロジェストヴェンスキー中将が対馬を目指してくると考えていました。しかし、当然のことながら津軽海峡に回ったときのことも考えていました。
彼の作戦では対馬沖で会敵し、以後、大型艦の艦砲と小型水雷艇の魚雷攻撃を繰り返し、徹底的にバルチック艦隊を壊滅に追いやるつもりでした。そのためには対馬海峡を通峡してくれた方がチャンスが多いのです。そのため対馬海峡に近い鎮海湾で訓練をしながら待機していたのです。津軽海峡の出口で会敵するとウラジオストックまでの距離が短く、波状攻撃が実施できずに撃ち漏らした船がウラジオストックに逃げ込む恐れがありました。1隻でも逃がしてしまうと、そのために連合艦隊がウラジオストックの沖に張り付かなければならず、敵を全滅させることが重要だったのです。
当初彼はロシア艦隊が対馬に来ると考えていましたが、様々な情報を総合的に判断しても対馬海峡にロシア艦隊が姿を現しても不思議のない日になっても現れこないことに不安を感じていました。日に日に彼は焦燥感が強くなり、ひょっとすると敵は津軽へ行こうとしているのではないかと悩むようになります。その焦燥感が顔にも表れてきて周囲を心配させたりしていました。
連合艦隊の各級指揮官が入れ替わりに旗艦三笠を訪れ、秋山参謀に「敵は対馬に来る。」と声をかけて励ましていきました。各級指揮官は概ね対馬で会敵することになると考えていたようです。
しかし参謀の間には様々な意見がありました。津軽海峡へ回航すべきという者、中間の能登半島沖辺りで待機すべきという者など様々です。
秋山参謀の焦りが頂点に達したころ、前連合艦隊司令部参謀長で、直前に第2艦隊第2戦隊司令官に転出した島村速雄少将が現れ、秋山参謀の様子を見て、連合艦隊司令長官の東郷平八郎がどう考えているかを聞きに行こうと誘い、東郷司令長官の前に秋山参謀を連れて行きました。
二人で司令長官の公室に入ると、秋山参謀が東郷司令長官に尋ねました。「長官はバルチック艦隊はどこに来ると考えておられますか?」
この時、歴史を変えた最も短い言葉が発せられたのです。
「それは対馬よ。」
この言葉を聞いた秋山真之は悩みが霧散して元の秋山真之に戻ったと言われています。
東郷平八郎はロジェストヴェンスキーが対馬に来ると最初から考えておりブレることはありませんでした。
そして連合艦隊は鎮海湾での待機を続け、5月27日、対馬沖に現れたロシア艦隊と会敵、圧倒的な勝利を得ることが出来ました。この勝利は世界の海戦史上空前のものであり、後にも先にもこれほど完璧な勝利は陸戦においても記録されていません。
戦艦数隻を擁する艦隊同士がまともに洋上で激突し、翌日には一方が消えてなくなっていたという事態は歴史に例がありません。
もし、この対馬沖の海戦で日本が敗れていたら、日本海における制海権がロシア側に渡り、満州にいた日本陸軍は補給が絶えて孤立し、シベリア鉄道で潤沢な補給と増員を受けていたロシア陸軍によって叩きのめされていたかもしれません。
日露戦争において日本が敗北していたら、間違いなく今の日本はなく、また、フィンランドなどロシアに近いヨーロッパ各国はロシアによって蹂躙されていたかもしれません。さらにはロシア革命も起きなかったかもしれません。
その意味で東郷平八郎提督の「それは対馬よ。」の一言が歴史を変えたと言って過言ではないと信じています。
今回は当メールマガジンの趣旨に反してとてもいい内容になってしまいました。どうも筆者の品性が邪魔しているようです。しかしながら、次回以降は初心に戻り、何の役にも立たないどうでもいい内容に戻しますのでご期待ください。
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また、図上演習というものがどういうものなのかを簡単に解説した記事が株式会社クロスメディア・パブリッシング様のサイト『マネジメントクラブ』に掲載されています。(https://media.management-club.jp/zujoenshu/ )
ということでお分かりいただけるように、現在、弊社では図上演習の普及に注力いたしております。
この図上演習については当コラムでもすでに何回かご紹介いたしておりますが、この度、また新たに別の角度からもご紹介したいと思い、三回に渡って図上演習を取り上げてまいります。
今回は図上演習とは何か、どうやって行うのかについてご紹介します。
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ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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1905年(明治38年)5月、朝鮮半島南端の釜山の西に位置する鎮海湾を根拠地として日本海軍の連合艦隊は連日猛訓練に明け暮れていました。後に「月月火水木金金」と言われた猛訓練で、目的はヨーロッパから回航してくるロシア海軍のバルチック艦隊との戦いに勝利することにありました。
当時、朝鮮半島および満州を主戦場としてロシア陸軍と戦っていた日本陸軍にとっては、日本海を超えて行う補給が唯一の生命線でした。ロシア陸軍はシベリア鉄道でいくらでも兵員、武器、弾薬を補給することができたのですが、日本陸軍は日本海を輸送船が安全に航行できなければ大陸で撃つ弾もなく飢えて全滅するしかなかったのです。
このため開戦直後から(厳密にいえば宣戦布告の前から)日本海軍は日本海におけるロシア海軍の威力を削ぐことに全力を挙げており、この時期までには概ね日本海の制海権を獲得していました。そこでロシアはヨーロッパに残っていた艦隊を結集し、ロジェストヴェンスキー中将を指揮官として地中海・大西洋・インド洋・南シナ海を超えて極東の要衝ウラジオストックに回航し、日本海軍と対抗させようとしました。
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