指揮官の休日 No.233 料理の腕と言うものは・・・
2021/05/14 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第241回 言葉を誤ると危機を乗り切れない を掲載いたしました。
危機管理においては言葉を正しく使わなければなりません。誤った言葉を使うと、その意味するところが変わってしまい対応を誤るからです。
現在のコロナ禍をその観点から考えてみました。
https://aegis-cms.co.jp/2378
No.233 料理の腕と言うものは・・・
自慢ではありませんが、と私が言うときは大抵自慢話ですが、毒にも薬にもならないどうでもいいことを書き綴って、さっさと専門コラムに飛んでもらおうというのが魂胆のメールマガジンのことですので、我慢してお読みください。
筆者は何と調理師の資格を持っています!
我が家の司令長官は鼻先で笑うのですが、これが真実であることは京都府知事がご存じです。
実は調理師の資格というのはかなり出鱈目な資格です。
何故なら、資格そのものが変なんです。
私には「調理師免許」というものが交付されていますが、これがそもそも誤りです。
もともと「免許」と言うものは、本来禁じられているものを特別の資格を認定して許可するものです。免じて許可するから免許なのです。つまり、これを持っている者しかその行為を行うことができないはずです。
例えば自動車の運転、飛行機の操縦などです。危険物の取扱などもそうでしょう。
しかし、料理は誰でもできます。調理師の資格がなくともレストランを開いたりできますし、ある一定人数以上の給食を定期的に行う食堂でもない限り調理師をおく必要はありません。
ただ、フグを料理して出すためにはフグ調理師の資格が必要ですから、これは「免許」と言って差し支えないのですが、ただの調理師は、資格がないと「調理師」と名乗ることができないというだけのことで、名称独占の資格に過ぎません。つまり「免許」ではないはずです。
筆者が何故その調理師の資格を有するかという点については国家機密に属しますのでここで申し上げることはできませんが、お断りしておきますが、筆者はただのペーパーライセンサーではありません。
海上自衛隊在職中、造修補給所長として地方隊給食指導官という責任を負っており呉地方隊の隊員の栄養管理などを指導していました。その遥か前には護衛隊群の給食指導官として艦艇乗員の士気の根源である食事の栄養とメニューのバラエティに気を使っていたこともありました。
その後は自衛艦隊の給食指導官であったこともあります。これは本来はロジスティックスを担当する幕僚の業務範囲であるはずなのですが、自衛隊では給食は給与の一環として扱われますので、給与事務の責任幕僚であった筆者が担当していました。 実に2万人の給食の管理をやっていたことになります。
ただ、これらは単に机の上の仕事に過ぎず、料理の腕と関係はありません。
しかし筆者は実際の調理に関しても半端ではない経験を持っています。
学生時代、ヨットの外洋レース艇のクルーとして奴隷生活を送っていましたが、レース艇の最下級クルーである学生の担当は、セール交換、ウインチ、そして調理と決まっていました。
船酔いで胃の中身をすべて魚の餌にしてしまっているような中でも天と地がひっくり返りそうな揺れる小さな艇内の小さなギャレーで調理をするのです。
二口の小さな灯油のコンロは揺れに備えてジンバルに載せられていますが、調理している自分は船と一緒に揺れているので扱いにくいですし、水は艇内の水タンクに入れたものはポンプで出てくるのですが、大抵は匂いが付いていて美味しくないので、出航前に汲んできたポリタンクの水を使います。
30センチ四方くらいの小さなシンクの上にまな板を渡して、体を支えながら野菜や肉を切って料理をするのですが、船酔いの吐き気と闘いながらの調理ですので、思い出すだけでゾッとするような作業です。
このような究極の調理体験をもつ調理師と言うのはそうたくさんいるとも思えません。
筆者の調理師免許は京都府知事が交付してくれています。調理師は国家資格ですが、資格交付事務は都道府県知事が行っていますので、免許も都道府県知事の名前で出されています。この点でも調理師資格が変な資格であると思っています。
ただ、お気づきかもしれませんが、「京都府知事」のお墨付きなんですよ。お好み焼きとか餃子しか作れない調理師ではないんです(該当府県の調理師の皆さまごめんなさい。)。
しかし、筆者が得意としている料理は皆様方が想像されるような懐石料理とかではありません。(誰もそんなこと思ってないか・・・・)
筆者が得なのは卵料理です。しかも伊達巻卵とか茶わん蒸しとかでもなく、スクランブルエッグです。
「なぁーんだ」と思われたでしょう? でも、このスクランブルエッグを調味料を一切使用せず、熱だけで卵のうま味を引き出すには究極の技が必要なんですよ。
かつてある小さな部隊の指揮官として東北地方で勤務していたことがあり、その時にはほとんど毎週末キャンプに行っていましたが、朝の卵料理は私の担当で、いつもリクエストされて作っていました。噂を聞き付けた上級司令部の幕僚が、司令部で行うキャンプに際して、一緒に来て、朝食に卵を料理していただけないかと打診してきたことがありました。
司令部で何かのおりに私の隊のキャンプでの朝食が話題になったのだそうです。群司令が一緒ならともかく、トップは首席幕僚だというので私は「味の分からん奴に作る料理はない。」と言って断ってしまい、これ見よがしに同じキャンプ場に部下とともに出かけ、隣にテントを設営して匂いだけを嗅がせたこともあります。
読者の皆さまでもそのうちにとてつもなく運のいい方はキャンプかヨットで私の卵料理を堪能できる方が出てくるかもしれませんが、今のところその幸運を持つのは我が家の司令長官のみです。
さて、これだけ料理に関する蘊蓄を語っておきながら、実は私はグルメ番組やミシュランガイドには何の関心もありません。
料理は焚火で炙って食べる肉や魚が一番うまいと思っていますし、寿司は漁村で漁師の奥さんが旦那が取ってきた魚をその場でさばいて握ってくれるのが最上です。
漁師は魚を知り尽くしていますので、どのようなタイミングでどう食べると美味いかを誰よりも知っています。
それらの素材を銀座や新宿で料理をしようとすると凄まじい経験と工夫に裏付けられた技が必要になり、したがって高価になってしまいます。
しかしそれでも、二三回握ってもらってお酒をちょっと飲むだけで一万円札が飛んでいくというのは寿司には納得できません。
私がグルメ番組やミシュランガイドに関心がないというのはもう一つ理由があり、幼いころから料理についてコメントすべきではないという躾をされてきたからです。
男子たるもの、そんなことを一々口にするなという躾でした。
海上自衛隊においても若い幹部に対する士官室作法の教育では、食事についてつまらぬコメントはするなと言われます。艦内で調理員に会って、「美味かったよ。」となどと声をかけるのは奨励されていましたが、士官室で食事中に料理についてコメントすることは憚られることでした。
これは多分、武士道の伝統だったかもしれませんが、帝国海軍が範を取った英国海軍にも同じ伝統があり、古くから英国海軍士官も料理についてコメントすることを恥としていました。英国の海洋小説などを読んでいると、フランス海軍との比較において、仏士官が料理について盛んに話題にすることを揶揄するような場面がよく出てきます。
英国の家庭料理は不味いというのが世界的な評価のようです。私はそうも思わないのですが、たしかに野菜を生でバリバリと食べるアメリカ風の料理に慣れていると、英国の野菜を原形をとどめないまでに煮込んでしまう料理には違和感があります。
米海軍士官連中から聞いたのですが、イギリスの家庭料理が不味いのは旦那が出された料理を黙々と食べるからだそうです。奥さんが作ってくれた料理に対して極端に口数が少ないので奥様方が自分の料理に疑問を頂かないのが原因なのだそうです。
私も我が家の司令長官の料理に対しては「美味しい」以外のコメントをすることはありません。彼女は料理本を眺めるのが趣味で、いろいろな料理にチャレンジしたがるのですが、料理に関しては私はウルトラ級に保守的で、できるだけシンプルなものを好みます。したがって、いろいろと手を加えられるだけ舌に合わないものになっていきます。その場合にはコメントをしないだけなのですが、我が家の司令長官はそれで気付きますので、軌道修正が行われて私の口に合う料理になっていきます。
英国士官は家庭での料理について極端に無口なので、奥様が気が付かないのでしょう。
そうかもしれないなと思います。
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当コラムにおいては以前に何回か言葉について触れています。
たとえば、メディアがよく使う「首相の独断専行」などという言葉の使い方が正しいかどうかなどです。(専門コラム「指揮官の決断」第67回 「独断専行」の意味
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結論を申し上げれば、この言葉の使い方は間違いです。
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ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
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1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
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2 スポットコンサルティング
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かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
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当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
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多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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