指揮官の休日 No.230 仏の顔も三度まで
2021/04/23 (Fri) 13:39
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第238回 日本がグローバル化できない理由 を掲載いたしました。
小学生に英語を教えるという施策が始まっています。文科省という役所は懲りるということを知らないようです。ゆとり教育とか様々な想い付きがことごとく失敗しているのに、今度は小学生から英語を勉強すればグローバルな人材が育つという勘違いをしているようです。
この問題の本質がどこにあるか、詳しくはこちらをお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2354
No.230 仏の顔も三度まで
筆者の母方の祖父は曹洞宗の僧侶でした。ということで、ちょっと知ったかぶりをするのを皆様方には我慢して頂きます。
仏の顔も三度までという言葉は日常的によく使われますが、この由来をご存じの方はあまりいらっしゃいません。
この言葉は約2500年くらい前にさかのぼる歴史を持っています。
もともとは「仏の顔も三度なづれば腹立つる」という言葉でした。
2500年前、現在のインドで釈迦国とコーサラ国という国が対立していました。コーサラ国王は熱心な仏教徒だったのですが、ある時釈迦国を滅ぼそうと軍隊を動員しました。自ら兵を率いて出陣したのですが、釈迦国でお釈迦さまと会い、その話を聞いて撤退しました。
しかし、時が経つにつれてまた征服欲が出てきて攻め込み、またお釈迦様の説得で撤退することになりました。そしてさらに時が経ち三度目の出陣も同様の結果を辿ったのですが、結局四回目の出陣で釈迦国を滅ぼしてしまいました。しかし、そこから帰還する途上、暴風雨に見舞われて渡河に失敗して命を落としてしまいました。
お釈迦様の三度にわたる説得を無碍にしてしまい、ついには落命してしまうという結果になったことから、因果応報という釈迦の教えとなったということです。
ただ、世の中には三度目の正直と言う言葉もあります。
これは、最初の二回の失敗はあてにならないが、三回目は本来の結果が出てくるという意味ですが、一方で、二度あることは三度あるとも言われます。
さて、問題は三度目の正直と二度あることは三度あるということのどちらが正しいかです。
例えば、イチロー選手が現役だったころ、二打席連続で三振したら、ファンの皆さんは「三度目の正直」を期待したでしょう。しかし一方で、私が家の中で時計や財布などいろいろなものが見つからずに探し回ったりしていると、我が家の司令長官などは「二度どころかしょっちゅうあることは、何度でも起こる。性懲りもない奴だ。」とお考えのようです。
このように昔からの言い伝えが使い分けられているのですが、これは私たちがイチロー選手の打率への期待とか司令長官の私のモノを失くす回数を通じた整理整頓についての不信などの主観と情報を基に確率計算が行われているということです。
この主観と情報を基礎にすると確率を定量的に評価することができ、どちらが正しいのかを証明することができます。それをベイズ推定と呼びます。
このベイズ推定により「二度あることは三度ある」確率と「三度目の正直」となる確率を比較することができます。
ただ、この問題を説明していると教科書が一冊書けてしまいますし、私は数学の専門家でも何でもないので知ったかぶりはしないようにしたいと思います。
証明はそれほど難しい式を使うものでもないのですが、インテグラル記号などが出てきてアレルギー反応を起こす方がいらっしゃると思いますのでここでは避けておきます。結論だけ申し上げるとまったく結果について見当がつかない場合には「二度あることは三度ある」確率は75%になりますが、主観として持っている失敗の確率が、平均もばらつきも極めて小さい場合には三度目の正直となる確率が高いと考えることができます。
つまり、観測データが少なく情報量が圧倒的に少ない場合にはベイズ推定が役に立ちます。
損害保険などではこの手法がよく用いられ、まったくの新規契約者と無事故歴の長い契約者の間で保険料が異なるのは、このベイズ推定に基づく計算の結果です。
私はこの議論を大学院に進学してすぐに院生の研究室で当時博士課程で計量経済学の研究をしていた先輩から珈琲を飲みながら聞いて、統計学の面白さを認識したのでよく覚えています。統計学の勉強を始めるきっかけになった議論でした。
さて、表題の「仏の顔も三度まで」という言葉ですが、この言葉を思い出したのには理由があります。
現在、新型コロナウイルスの第4波と言って、いろいろな自治体の知事や医師会が大騒ぎをしていますが、これで呆れているのです。
昨年の今頃、緊急事態宣言を出したのは、まだ情報量が圧倒的に少なかったので仕方なかったかと考えますが、もう4回目です。うろたえるのもいい加減にしろと思います。
厳密には第2波は来ていませんでした。陽性判定者が第1波の2倍になったので、日本医師会会長は緊急事態宣言の時よりも酷いとコメントしましたが、陽性判定者数は2倍になったのですが、検査数が4倍になっているのであれば、どう考えても社会における陽性判定者は減ってしまっているということになるはずなのに、それを理解できないようでした。
私は私でそれを憂慮する事態だと考えていました。つまり、社会的免疫の獲得が遅れていると考えたのです。日本医師会会長とはまったく反対の想いでした。
その頃、第2次補正予算に10兆円の予備費が計上されていました。憲法を読んだことのない野党は予備費の額が大きいので、予備費使用にあたっては事前に国会に計算根拠を示して承認を求めるようにという要求をしていました。何にどう使うのか事前によく分からないので予備費として計上し、結果は事後的に国会の承認を求めよというのが憲法上の要求なのにそれを知らないようでした。
そのような予備費の執行を国会に諮れというのは、そのたびに「桜」や「モリカケ」によって引き延ばされ、その挙句執行が遅れて対策が後手になった責任を政権にかぶる魂胆のようです。その野党はこの感染力の強いウイルスに対処するためにウィズではなくゼロにしろという頭の悪さですから仕方ないかもしれないのですが、立憲主義を掲げるなら、少なくとも憲法は読んで欲しいと思います。
ところが、その予備費を使って、コロナ専用病床の整備をすればいいのに、自治体の長も日本医師会も何もしなかったのです。それどころか、GoToトラベル事業の進展とともに陽性判定者が減っていったらコロナ病床数を減らしてしまったのです。
神奈川県の黒岩知事はその時点でも神奈川県全体で病院のベッド数がいくつあるのか答えられず、コロナ専用病床の30%といっても即応の病床数の70%が使用されて現場は悲鳴を上げているという訳の分からない主張をしていました。コロナ専用病床といっても医師や看護師が配員されているわけではなく、その30%が使用されると医師・看護師が配員されているベッドの70%になるという出鱈目な説明でした。私に言わせればベッドが70%しか埋まっていなければ、損益分岐点ギリギリかもしれないなくらいの話で、なぜ悲鳴が上がるのかよく分かりませんでした。
また、病床を整備するのは簡単だが、そこに専門の医師や看護師をそろえるというのはそう簡単でもないというコメントをテレビで述べる専門家が多いのですが、この連中の馬鹿さ加減には愛想が尽きます。専門病床を整備するということはベッドを買うということではありません。そこにスタッフを揃えて即応状態にするということです。航空自衛隊が新型戦闘機を調達したら、かならずその戦闘機を操縦できるパイロットを調達時期までに養成しますし、整備員の教育も始めます。整備用の予備品も買うし、オーバーホールできるメーカーを選定して契約を行います。ところがテレビで発言する専門家にはそれが分からないらしいのです。
黒岩知事も理解していませんでした。
さらに、専門医の教育や訓練には何年もかかるという専門家もいますが、その専門家は日本の医療従事者を馬鹿にしているとしか思えません。世界中の多くの国では、日本よりも少ない医師たちが、これまでに経験したことのないウイルスと戦っています。彼らが相手にしている患者数は日本より二けた多い数です。世界有数の医療先進国で、人口当たりの病床数がダントツに多い日本の医師が何年も訓練を受けなければならないという理屈はありえません。
予備費は財務省が管理しており、要求がなければどこにいくら配ればいいのか分かりませんので、財務省は要求されるのを待っていました。ところが自治体も医師会も要求をしなかったため、ほとんど使われることなく次の補正に送られてしまいました。
日本は国立病院を大幅に削減したため、病院のほとんどは公立または私立です。つまり、自治体の長と医師会が監督すべきなのです。
ところが、お金が十分にあったにもかかわらず、知事も医師会長も何もせずに第2波、第3波を迎えたのです。
そして相変わらずベッド数を増やさずに、私たちに自粛を求め、飲食店に時短を求めるだけなのです。さらには現場で必死になっている医師や看護師にボーナスすら支給できなかった病院もあり、退職者が大量に出てさらに病床数が減ってしまっている現状です。これなどは医師会や病院会が厚労省に予備費の支出を求めれば簡単に解決できた問題です。
日本医師会会長はGoToトラベル事業が感染者の拡大に関係しているのは間違いないという見当違いな見解で同事業の運用停止を要求し、テレビを煽り、結果的に中止に追い込んでしまいました。自分たちの方はまったく何もせず、観光業や飲食業に一方的に犠牲を強いているのです。データを見れば逆の相関関係があるのが明白なのに、それが理解できないようでした。
それでも3波までは私も我慢していましたが、第4波と言い出すのを見て、こいつらの馬鹿さ加減にはもうついて行けなくなりました。イージスの我慢も三度までです。
そもそも連日変異株の感染拡大に歯止めがかからないとテレビが大騒ぎしていますが、人口当たりの感染者数は英国とそれほど変わりません。その英国はピーク時の4%にまで激減したとして、対コロナ勝利宣言でも出しかねない勢いです。メディアは感染拡大が収まらないと騒いでいるのですが、内心は大喜びなのでしょう。これでしばらく新たな話題を探さなくとも稼げますからね。
弊社の専門コラムは危機管理の専門コラムとして冷静さと客観性を重視していますが、こちらは最初からどうでもいいことを書き綴ると宣言しているメールマガジンなので、好きなように普段から溜まっている思いを吐き出させて頂きます。
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弊社のコンサルティングは三本の柱を中心に展開しています。
第一は「意思決定」です。危機管理上の事態においては、次々に的確な意思決定をしていかなければなりません。ちょっとでも過ちを犯すと、急速に進展していく事態に対応しながらその過ちを修正していくことが必要となり、スパイラルに状況が悪化していきます。つまり、ろくに情報もなく、刻々と変化していく情勢に的確に対応していくためには、瞬時に下していく決断が正しくなければなりません。
第二は「リーダーシップ」です。危機管理上の事態において、経営トップを中心に組織一丸となって対応できることが重要であり、そのためにはしっかりとしたリーダーシップが発揮されなければなりません。
第三は「プロトコール」です。これはちょっと難しいので若干解説が必要かと考えます。
プロトコールという言葉は使われる業界によって意味が異なりますが、多くは標準的な手順を示したり、あるいはフォーマットを指したりします。しかし元来は「外交儀礼、儀典書」などを示す言葉でした。
続きはこちらからどうぞ
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Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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No.230 仏の顔も三度まで
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この言葉は約2500年くらい前にさかのぼる歴史を持っています。
もともとは「仏の顔も三度なづれば腹立つる」という言葉でした。
2500年前、現在のインドで釈迦国とコーサラ国という国が対立していました。コーサラ国王は熱心な仏教徒だったのですが、ある時釈迦国を滅ぼそうと軍隊を動員しました。自ら兵を率いて出陣したのですが、釈迦国でお釈迦さまと会い、その話を聞いて撤退しました。
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お釈迦様の三度にわたる説得を無碍にしてしまい、ついには落命してしまうという結果になったことから、因果応報という釈迦の教えとなったということです。
ただ、世の中には三度目の正直と言う言葉もあります。
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さて、問題は三度目の正直と二度あることは三度あるということのどちらが正しいかです。
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このベイズ推定により「二度あることは三度ある」確率と「三度目の正直」となる確率を比較することができます。
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つまり、観測データが少なく情報量が圧倒的に少ない場合にはベイズ推定が役に立ちます。
損害保険などではこの手法がよく用いられ、まったくの新規契約者と無事故歴の長い契約者の間で保険料が異なるのは、このベイズ推定に基づく計算の結果です。
私はこの議論を大学院に進学してすぐに院生の研究室で当時博士課程で計量経済学の研究をしていた先輩から珈琲を飲みながら聞いて、統計学の面白さを認識したのでよく覚えています。統計学の勉強を始めるきっかけになった議論でした。
さて、表題の「仏の顔も三度まで」という言葉ですが、この言葉を思い出したのには理由があります。
現在、新型コロナウイルスの第4波と言って、いろいろな自治体の知事や医師会が大騒ぎをしていますが、これで呆れているのです。
昨年の今頃、緊急事態宣言を出したのは、まだ情報量が圧倒的に少なかったので仕方なかったかと考えますが、もう4回目です。うろたえるのもいい加減にしろと思います。
厳密には第2波は来ていませんでした。陽性判定者が第1波の2倍になったので、日本医師会会長は緊急事態宣言の時よりも酷いとコメントしましたが、陽性判定者数は2倍になったのですが、検査数が4倍になっているのであれば、どう考えても社会における陽性判定者は減ってしまっているということになるはずなのに、それを理解できないようでした。
私は私でそれを憂慮する事態だと考えていました。つまり、社会的免疫の獲得が遅れていると考えたのです。日本医師会会長とはまったく反対の想いでした。
その頃、第2次補正予算に10兆円の予備費が計上されていました。憲法を読んだことのない野党は予備費の額が大きいので、予備費使用にあたっては事前に国会に計算根拠を示して承認を求めるようにという要求をしていました。何にどう使うのか事前によく分からないので予備費として計上し、結果は事後的に国会の承認を求めよというのが憲法上の要求なのにそれを知らないようでした。
そのような予備費の執行を国会に諮れというのは、そのたびに「桜」や「モリカケ」によって引き延ばされ、その挙句執行が遅れて対策が後手になった責任を政権にかぶる魂胆のようです。その野党はこの感染力の強いウイルスに対処するためにウィズではなくゼロにしろという頭の悪さですから仕方ないかもしれないのですが、立憲主義を掲げるなら、少なくとも憲法は読んで欲しいと思います。
ところが、その予備費を使って、コロナ専用病床の整備をすればいいのに、自治体の長も日本医師会も何もしなかったのです。それどころか、GoToトラベル事業の進展とともに陽性判定者が減っていったらコロナ病床数を減らしてしまったのです。
神奈川県の黒岩知事はその時点でも神奈川県全体で病院のベッド数がいくつあるのか答えられず、コロナ専用病床の30%といっても即応の病床数の70%が使用されて現場は悲鳴を上げているという訳の分からない主張をしていました。コロナ専用病床といっても医師や看護師が配員されているわけではなく、その30%が使用されると医師・看護師が配員されているベッドの70%になるという出鱈目な説明でした。私に言わせればベッドが70%しか埋まっていなければ、損益分岐点ギリギリかもしれないなくらいの話で、なぜ悲鳴が上がるのかよく分かりませんでした。
また、病床を整備するのは簡単だが、そこに専門の医師や看護師をそろえるというのはそう簡単でもないというコメントをテレビで述べる専門家が多いのですが、この連中の馬鹿さ加減には愛想が尽きます。専門病床を整備するということはベッドを買うということではありません。そこにスタッフを揃えて即応状態にするということです。航空自衛隊が新型戦闘機を調達したら、かならずその戦闘機を操縦できるパイロットを調達時期までに養成しますし、整備員の教育も始めます。整備用の予備品も買うし、オーバーホールできるメーカーを選定して契約を行います。ところがテレビで発言する専門家にはそれが分からないらしいのです。
黒岩知事も理解していませんでした。
さらに、専門医の教育や訓練には何年もかかるという専門家もいますが、その専門家は日本の医療従事者を馬鹿にしているとしか思えません。世界中の多くの国では、日本よりも少ない医師たちが、これまでに経験したことのないウイルスと戦っています。彼らが相手にしている患者数は日本より二けた多い数です。世界有数の医療先進国で、人口当たりの病床数がダントツに多い日本の医師が何年も訓練を受けなければならないという理屈はありえません。
予備費は財務省が管理しており、要求がなければどこにいくら配ればいいのか分かりませんので、財務省は要求されるのを待っていました。ところが自治体も医師会も要求をしなかったため、ほとんど使われることなく次の補正に送られてしまいました。
日本は国立病院を大幅に削減したため、病院のほとんどは公立または私立です。つまり、自治体の長と医師会が監督すべきなのです。
ところが、お金が十分にあったにもかかわらず、知事も医師会長も何もせずに第2波、第3波を迎えたのです。
そして相変わらずベッド数を増やさずに、私たちに自粛を求め、飲食店に時短を求めるだけなのです。さらには現場で必死になっている医師や看護師にボーナスすら支給できなかった病院もあり、退職者が大量に出てさらに病床数が減ってしまっている現状です。これなどは医師会や病院会が厚労省に予備費の支出を求めれば簡単に解決できた問題です。
日本医師会会長はGoToトラベル事業が感染者の拡大に関係しているのは間違いないという見当違いな見解で同事業の運用停止を要求し、テレビを煽り、結果的に中止に追い込んでしまいました。自分たちの方はまったく何もせず、観光業や飲食業に一方的に犠牲を強いているのです。データを見れば逆の相関関係があるのが明白なのに、それが理解できないようでした。
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第二は「リーダーシップ」です。危機管理上の事態において、経営トップを中心に組織一丸となって対応できることが重要であり、そのためにはしっかりとしたリーダーシップが発揮されなければなりません。
第三は「プロトコール」です。これはちょっと難しいので若干解説が必要かと考えます。
プロトコールという言葉は使われる業界によって意味が異なりますが、多くは標準的な手順を示したり、あるいはフォーマットを指したりします。しかし元来は「外交儀礼、儀典書」などを示す言葉でした。
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
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