指揮官の休日 No.221 なぜ飛行機は左側から乗るのでしょう?
2021/02/19 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第229回 ワクチン接種後には多くの高齢者が亡くなる・・・ を掲載いたしました。
いよいよ4月には高齢者へのワクチン接種が始まります。そして、ワクチン接種後の高齢者の死亡が相次ぐことになります。
この事態を前に私たちはどう対応すべきなのかを考えなければなりません。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://aegis-cms.co.jp/2280
No.221 なぜ飛行機は左側から乗るのでしょう?
コロナ禍が始まって以来、飛行機を使うような旅行に出たことないよとおっしゃる方が大半かと拝察いたします。
そこで、かつての旅行を思い出していただきたいのですが、飛行機に右側から乗り込んだ経験のある方はいらっしゃいますでしょうか。
普通にはそういう経験をお持ちの方はいらっしゃらないですよね。飛行機はボーディングブリッジもタラップも左側に付けるので、皆さん左側から乗り込んでCAの出迎えを受けて右に曲がってキャビンに入るはずです。
実は私は一度だけ右側から乗ったことがあります。
若い頃、米国に駐在していた時に飛行訓練を受けて操縦士の資格を取りました。
受験資格ができる飛行時間を飛んだ後に試験官を乗せてフライトチェックを受けて合格し、技能証明書が発行されると、なるべく早く飛ぶようにリコメンドされます。この時に安心してしばらく飛ばないと技量が一挙に低下するのだそうです。「鉄は熱いうちに打て」ということなのでしょう。
私は技能証明が郵送されてきた次の日に飛行練習生ではなくPIC(Pilot in Command :機長)としての初フライトに臨みました。この時、飛行前点検で機体の周りを回っているうちに、ふと思いついて右側の副操縦士席に座ってみました。
小さな飛行機で機内で左右を交代できるような飛行機ではなかったので、この席に座るためには右側のハッチから入らなければなりませんでした。
この席はそれまではインストラクターや試験官が座っていた席で、私は常に左の機長席で訓練を受けていたので、右席は初めてでした。
この時は米国在住でしたので車は左ハンドルでしたが、日本では右ハンドル車を走らせていたので右席には違和感がないはずなのに、そこで操縦桿を握ってみると、とてもではありませんが、そのまま飛ばすことなどできそうにないというくらいすさまじい違和感を感じました。そこで、サッサと降りてプリフライトチェックを終え、左席に乗り込んでいつもの訓練空域に進出し、失速の回復や急角度の旋回などそれまでやってきた訓練種目を一通りやってから、ちょっとした遊覧飛行を楽しんで戻ってきました。つまり、右席で操縦したことはありません。
さて、それではなぜ飛行機は左側から乗るのかという話です。
これは船に由来しています。
船は大昔、左舷を岸に着けるのが一般的でした。
船尾の中央に垂直に軸を通し、水中に舵を付ける構造ができる前には、舷側にステアリングボードという板を付けて進行方向を変えていたのですが、このボードを扱うための柄の部分を右手で握った方が力が入るため、前を見ながら右手で操作するためにはボードが右舷に付いている必要があり、そのため着岸するときには左側を着けるようにせざるを得ませんでした。船乗りが右をスターボード、左をポートと呼ぶのはそのためで、ポートは港であり、ポートサイドが左側になります。スターボードはステアリングボードが訛ったもので、ステアリングボードサイドが右側を示します。
その結果、船では左側から乗船するのが普通になりました。
中世になって帆船が大型化すると直接岸壁に接岸するということはほとんどなくなり、また、船も舵軸を船底まで貫通させる構造となったため、右舷に大きな舵の板が付くこともなくなったのですが、左側を乗船舷とする習慣は残りました。
これは馬に左から乗るのが一般的だったからだと言われています。
人間は右利きが圧倒的に多数なので、剣をスムーズに抜くためには体の左側にぶら下げる必要があり、そうすると左足で鐙を踏んで、右足を回して乗馬するのが楽になります。そこで馬には左側から乗るのが一般的です。現在でも自転車やバイクに右側から乗る人はほとんどいないかと思います。
そこで、船は左舷に正式な出迎え用のゲートを付けるのが一般的になっていきました。
もともと左側が港で右側が海であったため、入港中には左側ではいろいろな作業が行われ騒々しくなります。そこで、船長用のキャビンなどは右側に作られるのが一般的となり、船では右舷が大切にされています。
軍艦は出航を速やかに行うため、入港時には湾口に舳先を向けて着岸させるのが普通であり、左舷を着岸させることには拘りませんが、しかし右舷が上位舷であるという伝統には変わりなく、世界中の海軍艦艇の艦橋には右側に艦長席が設けられています。
軍艦には艦長よりも上位者の艦隊司令官などが乗艦していることもありますが、司令官であっても個別の艦の運航には口を出さないのが慣例であるため、艦長は右席を司令官に譲ることはありません。
飛行機は様々な習慣などを船から受けついています。空港という言い方もそうですし、機長はキャプテンと呼ばれ船長と同じ名称がつけられています。旅客機のパイロットは飛行機をシップと呼ぶことが一般的です。
そこで船と同様に左側を乗り降りするために使うタラップを付けるために使うようになりました。しかし、大きな空港などでは乗客の移動の利便を考えて右側からも乗降させているところもあり、羽田でも第2ターミナルでは右側から降りることがあったように記憶していますし、私の記憶が確かであれば、シカゴでもユナイテッドが利用するゲートでは右側から降りたことがあるように思います。
ここで船長の席が右側なのに、飛行機の機長はなぜ左側に座るのかという疑問をお持ちの方がいらっしゃるかと思います。
これは飛行機と船の運航指揮の方法が異なるためです。
飛行機も船も衝突を防止するための規則で右側通行となっています。そのため、相手とすれ違うためにはお互いを左側に確認しながら運航する必要があります。そこで左側の見通しがいい左席に機長が座るのが一般的です。
船の場合は船長が自分で指揮を執る場合には、その時に一番操船しやすいところに動き回ることができますので、船長用の席を左に移す必要はありませんでした。
飛行機の機長が左側にいることが一般的であるために、有視界飛行での着陸のために空港上空で周回飛行を行うためには反時計回りに飛ぶのが普通です。ダウンウィンド、ベース、ファイナルと旋回してタッチダウンに向かうのですが機長席が左側にあるので時計回りに旋回すると飛行機を右側に傾けなければならなくなり、管制塔や滑走路が見えなくなるからです。
ただし、日本の多くの空港のように人口密集地の上空を旋回しなければならない場合は騒音対策のために必ずしも反時計回りの周回ができないところもあります。
飛行訓練を受けている時、時計回りでの着陸を要求されて右旋回し、しばらく機長席からは右側に地面しか見えず、コンパスだけを頼りに旋回を終えて機体を戻し、滑走路がまっすぐ前に見えるとホッとしたことを懐かしく想い出します。
ちなみに、ヘリコプターの機長はどちら側にいるかご存じでしょうか。
通常は右側にいます。ヘリコプターの操縦はほぼミリ単位の細かさで行われるため、右手でサイクリック ・スティックという操縦桿を握り、左手はコレクティブ・レバーという出力をコントロールするレバーを握っています。人間は右利きが多いので、ヘリコプターの機長も右席に座って操縦桿を右手で操っています。
したがって、ヘリコプターは着陸地点の左後方から右斜め前に高度を下げながら着陸することが多いようです。
かつて筆者が乗っていたヘリコプター搭載護衛艦もヘリコプターを着艦させるときには風に向かって走り、ヘリコプターは左の後方から近づいてきてヘリ甲板の直上で高度を落とし、船の動揺に合わせて着艦していました。動揺が激しい時にはヘリコプターから降ろしたワイヤーを巻き取り、甲板上の着艦拘束装置に向けて強引にヘリコプターを引きずり下ろすという方法を取るのですが、私の経験では、少なくとも私が航海指揮官として当直に当たっていた時にはかなり厳しい時化の時でもこの着艦拘束装置を使って降りてきたヘリコプターはありません。海上自衛隊の艦載ヘリコプターの搭乗員の技量はまさに神業の領域にあるのではないかと思っています。
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テレビのワイドショーやニュースを観ていると、ある童謡を思い出します。
チューリップの歌です。
テレビはPCR検査の陽性判定者を感染者と言い換え、それが過去最多となると大喜びで「最多、最多」と繰り返します。当日が最多記録でない場合には「〇曜日としては最多」とか「今週では最多」とか、とにかくなんとか最多記録にしようと頑張ります。そしてどうしても最多記録ではなくタイ記録でしかないと分かると「過去最高に並びました。」と言い始めます。つまり「並んだ、並んだ」の連呼です。
これを聴いているとチューリップを歌を思い出すのは仕方ないですよね。
続きはこちらからお読みください。
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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船は大昔、左舷を岸に着けるのが一般的でした。
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