指揮官の休日 No.214 船のお正月の過ごし方
2021/01/01 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第222回 第3波襲来?? 私たちが学ぶべきものは・・・ を掲載いたしました。
テレビを中心とするメディアによって操られた世論が政治を動かしています。この状況は私たちの社会がかつて経験した大変不幸な歴史を作った状況に酷似しています。
同じ過ちを繰り返さないためにも、私たちはしっかりとしたメディアリテラシーを持たなければなりません。
https://aegis-cms.co.jp/2240
No.214 船のお正月の過ごし方
とんでもない試練の年であった令和2年が終わり新しい年を迎えました。新春のお慶びを申し上げます。
危機管理の専門家としては令和2年はいろいろな意味で学ぶことの多かった一年でしたが、それは専門コラムで振り返ることとして、当メールマガジンは今年も本来の趣旨であるところの知っていても何の役にも立たない、どうでもいい内容を中心に、少しでもストレスの多い毎日を戦っている皆様にお届けしてまいりたいと覚悟を新たにしているところです。
ただ、あまりにも悪ふざけが過ぎて当メールマガジンの品格を失わせることは避けなければなりませんので、新年の第1回はお正月にふさわしい内容で、かつ知っていても知らなくてもどうでもいい内容でお送りいたします。この手のテーマを考えるだけでも結構大変なんです。
当メールマガジンを発行しておりますのは、株式会社イージスクライシスマネジメント代表ですが、弊社のウェブを観ていただけるとお分かりになるとおり、海上自衛隊に30年在籍しておりました。
国防の担い手になりたいとかいう崇高な思いではなく、船に乗りたいという単純な動機で入隊したのですが、思いと反対に職業人生の約三分一を東京で役人暮らしをさせられるという始末ではありましたが、それでも船に乗る生活もしていました。
そこで、今年の第1回は皆さまに海上自衛隊の船がお正月をどう過ごしているかについてお話をさせていただきます。
まず、年末から年始にかけては基本的には訓練や演習は計画しません。さすがにできるだけ家族と一緒に過ごさせようという配慮です。
ただ、そうはいっても実任務に手抜きは許されませんので、航海中の船などはあります。
例えば、尖閣諸島近海で警備任務についてる船、宗谷海峡や対馬海峡で通峡する対象国船舶の監視を行っている船、ソマリア沖アデン湾で中東へ向かう船の安全を確保するために海賊対処行動に従事中の船などがあります。また、南極観測支援のための砕氷艦しらせも11月初旬に横須賀を出港して南極に向かいました。
これらの船は洋上で新年を迎えることになります。これらの船は実任務に就いているので防火防水などの基本的な訓練以外はあまり行わず、当直員による監視などが行われているだけなので、通常の訓練航海に比べるとのんびりしています。インド洋や南極にいる船の中などでは日本を思い出すために餅つきをしたりすることもあるようです。
通常の訓練航海では日中は次から次へと訓練が課されるため、民間のタンカーやコンテナ船のように当直以外は寝ているということはできません。夜間は翌日の訓練海面へ移動したりしていますが、その間、当直員に対する訓練が続けられます。幹部はその間に溜まっている人事などの書類仕事を片付けなければならず、慢性的な睡眠不足になるのですが、実任務に就いているときの方が睡眠時間を確保できることもあります。
私が若い頃など、宗谷海峡などで監視に当たっていると、当直の際におそろしく寒い思いをしなければならなかったのですが、最近の船は艦橋の両サイドのウイングでの見張りも艦橋の内部から行うことができるような設計になっているので、昔ほど凍えながらの監視ではなくなりました。それでもデッキが氷で覆われると重心が上がり危険なのでそれを除去したりする作業があり、やはり冬の監視任務はつらいものがあります。
航海中の元旦の朝食には調理員の心づくしのおせち料理が出てきます。士官室でこの食事をして、艦内の各所で当直している部下の乗員のところに出かけて行って、ちょっとずつ雑談などしてくるというのは通常の航海中にはなかなかできないので悪くないですね。
母港で停泊中の船はもう少しのんびりしています。
年末年始の船は乗員を休暇に出せるようクリスマスから七草の日くらいまでの間に前半後半に分けて休暇を取らせます。その休暇が始まるころ、艦内では門松を作ったりしています。横須賀の船などは米海軍の艦艇とシスターシップの関係を持っていることがありますので、二組作って届けたりしています。
ボランティアで奉仕活動を行っている児童養護施設や特別支援学校などに門松を作って持っていく船もありますし、現場で餅つきをやってくる船もあります。ついでに大掃除を手伝ってきたり、船から内緒で持ち出してきたペンキでフェンスを塗りなおしたりしていることもあります。これは本当は物品管理法上ダメなのですが見て見ぬふりです。
1月1日の朝食はおせち料理が出されます。昭和の時代は年末から各艦の調理員が競って腕を振るったものでしたが、最近はたまっている年次休暇の処理でなかなか停泊中に調理員が全部そろっていることも少なくなったため、ほとんどは補給所が調達して船に運んだものが出ているようです。また、昭和の時代は停泊中の船は大みそかの夕食の際に缶ビール1本または日本酒1合程度の飲酒を許可していたこともありましたが、平成以降、そのような風習もなくなりました。
前半の休暇となった隊員はクリスマスから年末と元旦くらいまでを家族とともに過ごし、1月2日に船に戻ってきます。
そして後半の休暇の隊員たちと当直の引継ぎを行い、後半の休暇員たちが上陸していきます。
つまり、1月2日の午前中は乗員が皆揃っているのです。
海上自衛隊では1月1日及び7月1日付けで昇任の発令を行います。昇任者はあらかじめ内示が出るので制服の階級章などを付け替えたりして準備を行っているのですが、1月2日に全員がそろうため、この日の朝、昇任伝達の儀式が行われます。
全乗員が後甲板に整列し、艦長から昇任者に対し昇任の伝達が行われます。この昇任伝達式は航海中の船においても行われます。航海中の船は元旦に全員が船にいますので1月1日に伝達式が行われます。
朝一番で昇任伝達が終わると、各パートごとに当直の申し継が行われ、各部ごとに当直員が交代し、後半の休暇員が上陸していきます。
そして1月の第1週は残った当直員で通常の停泊態勢が維持されるのです。
この間も何か起きた時に飛び出せるように応急出動艦に指定されている船はジャイロを回し続け、エンジンもすぐに全力発揮可能な状態に維持し、乗員も2時間以内に出航できるように遠距離の旅行などは禁止されています。
その他の船も基本的には2時間以内に帰艦できる場所より遠くに出るためには届け出が必要であり、また、各艦艦長は在所を離れることができません。従って、単身赴任の艦長のところには家族の方からやってくることが多いようです。
私は任官して最初に乗った船で大みそかに副直士官として勤務していたことがありました。今やっているかどうか知りませんが、この頃は午前零時に在泊中の艦艇は汽笛を吹鳴することを要請されていたので、その監督をしていた記憶があります。横浜港などでは商船がこの吹鳴を行っています。
また、2年間で17日しか休むことができなかった佐世保を母港とする護衛隊群司令部の幕僚の時は、単身赴任でしたが最初の年が大みそかの当直幕僚で、次の年は元旦の当直幕僚でしたので、2年とも大みそかと元旦を佐世保で過ごしていました。さすがに凄まじい激務の司令部も大みそかと元旦だけは静かで、陸上司令部の留守を司令部当直員に任せて、私は群旗艦の司令部公室に移って、誰もいない公室のソファで珈琲を楽しみながら普段読むことのできなかった本などを読んでいました。忙中閑ありという言葉の意味がしみじみとわかる時間でした。
ずいぶんメリハリのはっきりした日常だったなと懐かしく想い出したりすることがあります。
ということで、知っていても知らなくてもどうでもいいお話でした。今年はこの調子でどうでもいい内容を綴ってまいりますので、ご多忙の方はこのメールマガジンはサッサと読み飛ばして専門コラムにお移りください。
専門コラムについてはこれまで以上に力を入れて執筆してまいります。
今年もよろしくお願い申し上げます。
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お勧めの本
『挑戦者の流儀』 阿久澤 克之 著 Parade Books 株式会社パレード 刊
の中で、弊社代表の林が30人の経営者の一人として紹介されました。
日常の想いなどについてインタビューを受けたものです。
他にも素晴らしい経営者の方々が紹介されています。
アマゾンでお買い求めいただけます。
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お勧めのコラム
「 ポストコロナ時代、なぜ今までの部下指導では人は育たないのか」
当メールマガジンで時折ご紹介しております(株)ココティアコンサルティング代表高橋雅美さんのコラムです。
新しい時代に旧態然たる指導スタイルをとっている企業は生き延びることができないという痛烈なご指摘です。
私に言わせれば、部下指導をしている企業はまだましで、そんなことは全然していない企業が多いように思います。
私が海上自衛隊退官後再就職した商社はそうでした。
しかし、高橋さんは部下指導をしていても昔ながらの部下指導ではだめだと指摘されています。
部下指導の行い方はその組織の文化や風土と大きく関係しますので、人が育たないと嘆く社長の皆様方は、この指摘を
よくお読み頂き、組織を根本から考えていただく必要があるかと考えます。
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Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
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当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧
ください
専門コラム「指揮官の決断」第222回 第3波襲来?? 私たちが学ぶべきものは 掲載のご案内
電子顕微鏡でなければよく見えないくらいチッポケなウイルスごときに世界中が翻弄され続けた1年がよ
うやく暮れようとしています。
この騒ぎが始まったころ、弊社は感染症は専門外であるので、この問題にマスコミがどのように対応し、
社会がどう反応するかを注視していくと宣言しておりますが、いろいろと学ぶことができました。
マスコミの反応は予想した方向ではありましたが、その酷さは予想を極端に上回りました。特にテレビの
醜さには目を覆わんばかりでした。
社会の反応は私たちの予想を大きく外れたものでした。マスコミに不安を煽られながらもパニックに陥るこ
となく、単なる自粛要請でしかないのに見事に応え、またお互いに助け合うことも忘れず、私たちの社会の
美徳がまだ十分に残っていることが示されました。特に若い人たちが、現在の生活や将来に大きな不安を持
っているはずであるのに必死に耐えている姿には胸を打たれました。
政府や医師会などの無様さは語るに落ちるというところでしょうか。
続きはこちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2240
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
https://aegis-cms.co.jp/book1
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メールマガジン及び専門コラムのバックナンバーをお読みいただけます。
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
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とんでもない試練の年であった令和2年が終わり新しい年を迎えました。新春のお慶びを申し上げます。
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ただ、あまりにも悪ふざけが過ぎて当メールマガジンの品格を失わせることは避けなければなりませんので、新年の第1回はお正月にふさわしい内容で、かつ知っていても知らなくてもどうでもいい内容でお送りいたします。この手のテーマを考えるだけでも結構大変なんです。
当メールマガジンを発行しておりますのは、株式会社イージスクライシスマネジメント代表ですが、弊社のウェブを観ていただけるとお分かりになるとおり、海上自衛隊に30年在籍しておりました。
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そこで、今年の第1回は皆さまに海上自衛隊の船がお正月をどう過ごしているかについてお話をさせていただきます。
まず、年末から年始にかけては基本的には訓練や演習は計画しません。さすがにできるだけ家族と一緒に過ごさせようという配慮です。
ただ、そうはいっても実任務に手抜きは許されませんので、航海中の船などはあります。
例えば、尖閣諸島近海で警備任務についてる船、宗谷海峡や対馬海峡で通峡する対象国船舶の監視を行っている船、ソマリア沖アデン湾で中東へ向かう船の安全を確保するために海賊対処行動に従事中の船などがあります。また、南極観測支援のための砕氷艦しらせも11月初旬に横須賀を出港して南極に向かいました。
これらの船は洋上で新年を迎えることになります。これらの船は実任務に就いているので防火防水などの基本的な訓練以外はあまり行わず、当直員による監視などが行われているだけなので、通常の訓練航海に比べるとのんびりしています。インド洋や南極にいる船の中などでは日本を思い出すために餅つきをしたりすることもあるようです。
通常の訓練航海では日中は次から次へと訓練が課されるため、民間のタンカーやコンテナ船のように当直以外は寝ているということはできません。夜間は翌日の訓練海面へ移動したりしていますが、その間、当直員に対する訓練が続けられます。幹部はその間に溜まっている人事などの書類仕事を片付けなければならず、慢性的な睡眠不足になるのですが、実任務に就いているときの方が睡眠時間を確保できることもあります。
私が若い頃など、宗谷海峡などで監視に当たっていると、当直の際におそろしく寒い思いをしなければならなかったのですが、最近の船は艦橋の両サイドのウイングでの見張りも艦橋の内部から行うことができるような設計になっているので、昔ほど凍えながらの監視ではなくなりました。それでもデッキが氷で覆われると重心が上がり危険なのでそれを除去したりする作業があり、やはり冬の監視任務はつらいものがあります。
航海中の元旦の朝食には調理員の心づくしのおせち料理が出てきます。士官室でこの食事をして、艦内の各所で当直している部下の乗員のところに出かけて行って、ちょっとずつ雑談などしてくるというのは通常の航海中にはなかなかできないので悪くないですね。
母港で停泊中の船はもう少しのんびりしています。
年末年始の船は乗員を休暇に出せるようクリスマスから七草の日くらいまでの間に前半後半に分けて休暇を取らせます。その休暇が始まるころ、艦内では門松を作ったりしています。横須賀の船などは米海軍の艦艇とシスターシップの関係を持っていることがありますので、二組作って届けたりしています。
ボランティアで奉仕活動を行っている児童養護施設や特別支援学校などに門松を作って持っていく船もありますし、現場で餅つきをやってくる船もあります。ついでに大掃除を手伝ってきたり、船から内緒で持ち出してきたペンキでフェンスを塗りなおしたりしていることもあります。これは本当は物品管理法上ダメなのですが見て見ぬふりです。
1月1日の朝食はおせち料理が出されます。昭和の時代は年末から各艦の調理員が競って腕を振るったものでしたが、最近はたまっている年次休暇の処理でなかなか停泊中に調理員が全部そろっていることも少なくなったため、ほとんどは補給所が調達して船に運んだものが出ているようです。また、昭和の時代は停泊中の船は大みそかの夕食の際に缶ビール1本または日本酒1合程度の飲酒を許可していたこともありましたが、平成以降、そのような風習もなくなりました。
前半の休暇となった隊員はクリスマスから年末と元旦くらいまでを家族とともに過ごし、1月2日に船に戻ってきます。
そして後半の休暇の隊員たちと当直の引継ぎを行い、後半の休暇員たちが上陸していきます。
つまり、1月2日の午前中は乗員が皆揃っているのです。
海上自衛隊では1月1日及び7月1日付けで昇任の発令を行います。昇任者はあらかじめ内示が出るので制服の階級章などを付け替えたりして準備を行っているのですが、1月2日に全員がそろうため、この日の朝、昇任伝達の儀式が行われます。
全乗員が後甲板に整列し、艦長から昇任者に対し昇任の伝達が行われます。この昇任伝達式は航海中の船においても行われます。航海中の船は元旦に全員が船にいますので1月1日に伝達式が行われます。
朝一番で昇任伝達が終わると、各パートごとに当直の申し継が行われ、各部ごとに当直員が交代し、後半の休暇員が上陸していきます。
そして1月の第1週は残った当直員で通常の停泊態勢が維持されるのです。
この間も何か起きた時に飛び出せるように応急出動艦に指定されている船はジャイロを回し続け、エンジンもすぐに全力発揮可能な状態に維持し、乗員も2時間以内に出航できるように遠距離の旅行などは禁止されています。
その他の船も基本的には2時間以内に帰艦できる場所より遠くに出るためには届け出が必要であり、また、各艦艦長は在所を離れることができません。従って、単身赴任の艦長のところには家族の方からやってくることが多いようです。
私は任官して最初に乗った船で大みそかに副直士官として勤務していたことがありました。今やっているかどうか知りませんが、この頃は午前零時に在泊中の艦艇は汽笛を吹鳴することを要請されていたので、その監督をしていた記憶があります。横浜港などでは商船がこの吹鳴を行っています。
また、2年間で17日しか休むことができなかった佐世保を母港とする護衛隊群司令部の幕僚の時は、単身赴任でしたが最初の年が大みそかの当直幕僚で、次の年は元旦の当直幕僚でしたので、2年とも大みそかと元旦を佐世保で過ごしていました。さすがに凄まじい激務の司令部も大みそかと元旦だけは静かで、陸上司令部の留守を司令部当直員に任せて、私は群旗艦の司令部公室に移って、誰もいない公室のソファで珈琲を楽しみながら普段読むことのできなかった本などを読んでいました。忙中閑ありという言葉の意味がしみじみとわかる時間でした。
ずいぶんメリハリのはっきりした日常だったなと懐かしく想い出したりすることがあります。
ということで、知っていても知らなくてもどうでもいいお話でした。今年はこの調子でどうでもいい内容を綴ってまいりますので、ご多忙の方はこのメールマガジンはサッサと読み飛ばして専門コラムにお移りください。
専門コラムについてはこれまで以上に力を入れて執筆してまいります。
今年もよろしくお願い申し上げます。
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お勧めの本
『挑戦者の流儀』 阿久澤 克之 著 Parade Books 株式会社パレード 刊
の中で、弊社代表の林が30人の経営者の一人として紹介されました。
日常の想いなどについてインタビューを受けたものです。
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となっております。
2 スポットコンサルティング
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3 プレコンサルティング
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5 指揮所演習コンサルティング
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