指揮官の休日 No.211 シーマンシップ
2020/12/11 (Fri) 07:44
XXXX 様
先に配信したメールマガジンのタイトルが更新されていませんでした。
改めて配信します。
-------------------------------------------------------------------
指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
-------------------------------------------------------------------
危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第219回 第3波襲来? その2 自衛隊に派遣要請だぁ? を掲載いたしました。
ついに自衛隊に派遣要請を出すという末期的症状を呈してきたコロナ禍ですが、どういうことなのでしょうか?
https://aegis-cms.co.jp/2225
No.211 シーマンシップ
「シーマンシップ」という言葉を聞くといつも私の記憶は1982年5月に飛んでいきます。
この年、大学院を修了して海上自衛隊に入隊した私は広島県江田島の海上自衛隊幹部候補生学校の候補生として勉強をしていました。
その5月から始まったのが「5分間講話」です。
幹部候補生学校では毎朝8時に庁舎前に整列し、国旗掲揚の儀式が行われます。国旗が掲揚されるのを挙手の敬礼で見守り、それが終わると「分隊整列」が令されます。
概ね25名くらいで編成される分隊ごとに整列し、分隊長から話があったり、分隊当直から日課についての注意事項の示達が行われます。
その後に行わるのがこの5分間講話です。
幹部自衛官に任官するといろいろな場所で部下に話をしなければなりません。その時と場合に応じて時間も5分であったり7分であったり30分であったりといろいろです。
そのように部下の前で話をするということに慣れておかないと部下指導がうまくできないので、そのための訓練として学生間で5分間の講話を行うのが「5分間講話」です。
毎回担当の候補生が分隊の前に進み出て、決められたテーマについて5分間で話をします。そしてその講話が終わると、分隊の別の候補生が講評を行います。講評は話の展開や結論の導き出し方、5分という時間をどのように有効に使ったか、声量や発音は聞き苦しくなかったか、アイコンタクトはまんべんなく全員に対して行ったかなどの点についての評価です。
そして最初のテーマとして掲げられたのがこの「シーマンシップの涵養について」でした。
そのテーマについて候補生がそれぞれ自分の考え方を同期生に対して解説するのですが、庁舎前の広場で各分隊が整列して同時に始め、学校長以下の教官たちも周りを見て歩くのでしゃべる方も相当に緊張します。もちろんメモを見ながらなどということは許されないので、すべて暗記し、4分30秒から5分の間に納めなければなりません。話している間に時計などをチラチラ見ているとそれも講評の際に指摘されることになります。
候補生の時は5分でしたが、幹部に任官して10年ほどたって入校した幹部学校の指揮幕僚課程では15分講話をさせられて参った思い出があります。
とにかく、その5分間講話の最初のテーマが「シーマンシップ」だったのです。
ここで防衛大学校出身の候補生と私たちのような一般大学出身の候補生の英語力の差が出てきます。
防衛大学校では英語は必修ではないとのことで、一般的な防衛大学校出身候補生の英語力は高くはありません。一般大学出身者は教養課程で英語を学んでいますし、ほとんどの大学では専門科目について原書購読の単位を要求されていますので、英語への習熟度は防衛大学校出身者よりは高めです。
防衛大学校出身の候補生たちは「シーマンシップ」を語る際、ほとんどが「スマートで、目先が効いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」という言葉を引用します。
これは船乗りとしての在り方という精神面を語るものです。
ところが私などは英語のseamanship が船舶運用術を指すことを知っていましたので、もっぱら技術的な話をすることになります。
多くの方も誤解されているのですが、シーマンシップという言葉には、スポーツマンシップやジェントルマンシップという言葉が含むところの精神的な意味合いはありません。
船を運航するのには様々な技術が必要です。星の高度を図って位置を測定する航海術、風に合わせて帆を拡げたり畳んだりする帆走術、ロープを扱ったり錨を適切に使ったりする運用術などいろいろな技術を船乗りは習得しなければなりません。それらがシーマンシップです。エアマンシップという言葉もありますが、それも同様に技術的な側面を指しています。
こう書くとまた海上自衛隊の船乗りである諸先輩から小言を頂戴することは覚悟のうえです。何としても船乗りの在り方としての精神性をこのシーマンシップという言葉に込めたいという方々が多いのです。
また、Seamanship Clubという団体があるようで、そのHPにはシーマンシップには二つの意味があり、船乗りとしての技能、航海をするために必要な基本的技能で、運用術・航海術といったもの。そして船乗りとしての資質・心がけ・マナー慣海性、海上生活の順応性、心構え、精神的及び身体的の適応性などといった人格的なものと解説していますが、私はseamanshipという単語が後者の意味合いで使われている文献を読んだ記憶がありません。
コンラッドの珠玉の名作である『海の想い出』は全編にわたり海と船乗りへの思いが綴られていますが、そのエッセイの中においてさえ、シーマンシップがそのような文脈で使われている場面はありません。
それらの人々がスポーツマンシップと横並び、あるいはジェントルマンシップの紳士道というような意味合いでシーマンシップという言葉を解釈したいという思いは理解できないものではありませんが、何でもshipを付ければいいというものではありません。
その証拠に騎士はnightですが、騎士道はnightshipではなくChivalryです。
防衛大学校出身候補生たちが言及したのは実は船乗り魂のことであり、それは英語では”seamalike” という言葉が使われることが多いように思います。
ちなみに多くの防衛大学校出身者が言及した「スマートで、目先が効いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」という言葉は旧帝国海軍の標語でした。
この言葉は、日本海海戦に少尉候補生として参加し、その後海軍兵学校や海軍大学校の教官を長く勤め、海軍少将で退役した太田 質平が提唱したとされています。
現在も海上自衛隊の幹部候補生学校ではこれが船乗りの基本であるとして躾として教育が行われています。候補生学校におけるこの標語の解釈は次のとおりです。
「スマートとは、敏捷である、機敏である、スピィーディーである、頭の回転が速い、身のこなし方が良い、洗練されている、颯爽としている、無駄が無い、形式にこだわらない、明朗である、ユーモアがあるなどの感覚をまとめて表現したもの。」
「目先が利くとは、先見の明がある、人より先のことを考えている、臨機応変で視野が広い、進歩的である、周囲に対する気配りに優れている、大勢が把握できる、危険予知能力があるということ。」
「几帳面とは、整理整頓がされている、責任観念が旺盛である、時間を守る、確実である、清潔である、他人に迷惑をかけない、物・心両面の用意が出来ているということ。」
「負けじ魂」とは、苦しく困難な局面においても任務を投げ出すことなく、全力で最後まで努力しようとする気持ちを表現している。
船乗りじゃなくとも標語にしていい言葉ですよね。
----------------------------------------------------------------------------
お勧めのコラム
「コミュニケーション不足が招く自社への打撃を理解しているか」
当コラムではおなじみの株式会社ココティアコンサルティングの高橋雅美代表のコラムです。
テレワークの進展とともに現れるであろう新たな問題点を指摘されています。
テレワークによるコミュニケーションによって生ずる問題についてはすでに多くのコンサルタ
ントが指摘していますが、このコラムではコミュニケーションではなく「対話」の重要性に論及
されています。
「報連相」でも「会話」でもなく、「対話」の価値がしっかりと指摘されています。
テレワークを導入されている経営者の方々には是非お読みいただきたい論点です。
https://cocotia.co.jp/column/training/activemental183
----------------------------------------------------------------------------
お勧めの本
『挑戦者の流儀』 阿久澤 克之 著 Parade Books 株式会社パレード 刊
の中で、弊社代表の林が30人の経営者の一人として紹介されました。
日常の想いなどについてインタビューを受けたものです。
他にも素晴らしい経営者の方々が紹介されています。
アマゾンでお買い求めいただけます。
----------------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけます。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
----------------------------------------------------------------------------
当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧
ください
専門コラム「指揮官の決断」第217回 危機をどう管理するのか? 掲載のご案内
当コラムは危機管理の専門コラムとして掲載を続けています。最近、いろいろな事情があって、
この「専門」という言葉を使うのを止めようかどうしようかと考えているところではありますが、
いずれにせよ危機管理にテーマを絞ったコラムとして執筆を続けています。
ただ、執筆者自身が言うのも変なのですが、「危機管理」という言葉自体がどうも曖昧であるよ
うにも思っています。
「危機管理」という言葉自体が自己撞着に陥っています。
「管理」できれば「危機」的な事態にはなりません。「管理」できないから「危機」になってし
まうのではないでしょうか。
続きはこちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2216
----------------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけます。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
---------------------------------------------------------------------------------------
弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
https://aegis-cms.co.jp/book1
---------------------------------------------------------------------------------------
Facebookページを公開しています。
メールマガジン及び専門コラムのバックナンバーをお読みいただけます。
Facebookページ「指揮官の決断/休日」
https://www.facebook.com/aegis.cm
----------------------------------------------------------------------------------------
教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------------------
コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
----------------------------------------------------------------------------------------
図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
----------------------------------------------------------------------------------------
バックナンバーを公開しています。
こちらからご覧ください。https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
メールアドレスの変更はこちらからお手続きください。
http://aetis-cms.co.jp/mailmag
メールマガジンがご不要の場合はこちらから解除をして頂くことができます。
http://q.bmd.jp/bm/p/f/s.php?id=aegismm&mail=uhayashi%40jcom.zaq.ne.jp&no=2
----------------------------------------------------------------------------------------
メールマガジン「指揮官の休日」
発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
Web : http://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------
先に配信したメールマガジンのタイトルが更新されていませんでした。
改めて配信します。
-------------------------------------------------------------------
指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
-------------------------------------------------------------------
危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第219回 第3波襲来? その2 自衛隊に派遣要請だぁ? を掲載いたしました。
ついに自衛隊に派遣要請を出すという末期的症状を呈してきたコロナ禍ですが、どういうことなのでしょうか?
https://aegis-cms.co.jp/2225
No.211 シーマンシップ
「シーマンシップ」という言葉を聞くといつも私の記憶は1982年5月に飛んでいきます。
この年、大学院を修了して海上自衛隊に入隊した私は広島県江田島の海上自衛隊幹部候補生学校の候補生として勉強をしていました。
その5月から始まったのが「5分間講話」です。
幹部候補生学校では毎朝8時に庁舎前に整列し、国旗掲揚の儀式が行われます。国旗が掲揚されるのを挙手の敬礼で見守り、それが終わると「分隊整列」が令されます。
概ね25名くらいで編成される分隊ごとに整列し、分隊長から話があったり、分隊当直から日課についての注意事項の示達が行われます。
その後に行わるのがこの5分間講話です。
幹部自衛官に任官するといろいろな場所で部下に話をしなければなりません。その時と場合に応じて時間も5分であったり7分であったり30分であったりといろいろです。
そのように部下の前で話をするということに慣れておかないと部下指導がうまくできないので、そのための訓練として学生間で5分間の講話を行うのが「5分間講話」です。
毎回担当の候補生が分隊の前に進み出て、決められたテーマについて5分間で話をします。そしてその講話が終わると、分隊の別の候補生が講評を行います。講評は話の展開や結論の導き出し方、5分という時間をどのように有効に使ったか、声量や発音は聞き苦しくなかったか、アイコンタクトはまんべんなく全員に対して行ったかなどの点についての評価です。
そして最初のテーマとして掲げられたのがこの「シーマンシップの涵養について」でした。
そのテーマについて候補生がそれぞれ自分の考え方を同期生に対して解説するのですが、庁舎前の広場で各分隊が整列して同時に始め、学校長以下の教官たちも周りを見て歩くのでしゃべる方も相当に緊張します。もちろんメモを見ながらなどということは許されないので、すべて暗記し、4分30秒から5分の間に納めなければなりません。話している間に時計などをチラチラ見ているとそれも講評の際に指摘されることになります。
候補生の時は5分でしたが、幹部に任官して10年ほどたって入校した幹部学校の指揮幕僚課程では15分講話をさせられて参った思い出があります。
とにかく、その5分間講話の最初のテーマが「シーマンシップ」だったのです。
ここで防衛大学校出身の候補生と私たちのような一般大学出身の候補生の英語力の差が出てきます。
防衛大学校では英語は必修ではないとのことで、一般的な防衛大学校出身候補生の英語力は高くはありません。一般大学出身者は教養課程で英語を学んでいますし、ほとんどの大学では専門科目について原書購読の単位を要求されていますので、英語への習熟度は防衛大学校出身者よりは高めです。
防衛大学校出身の候補生たちは「シーマンシップ」を語る際、ほとんどが「スマートで、目先が効いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」という言葉を引用します。
これは船乗りとしての在り方という精神面を語るものです。
ところが私などは英語のseamanship が船舶運用術を指すことを知っていましたので、もっぱら技術的な話をすることになります。
多くの方も誤解されているのですが、シーマンシップという言葉には、スポーツマンシップやジェントルマンシップという言葉が含むところの精神的な意味合いはありません。
船を運航するのには様々な技術が必要です。星の高度を図って位置を測定する航海術、風に合わせて帆を拡げたり畳んだりする帆走術、ロープを扱ったり錨を適切に使ったりする運用術などいろいろな技術を船乗りは習得しなければなりません。それらがシーマンシップです。エアマンシップという言葉もありますが、それも同様に技術的な側面を指しています。
こう書くとまた海上自衛隊の船乗りである諸先輩から小言を頂戴することは覚悟のうえです。何としても船乗りの在り方としての精神性をこのシーマンシップという言葉に込めたいという方々が多いのです。
また、Seamanship Clubという団体があるようで、そのHPにはシーマンシップには二つの意味があり、船乗りとしての技能、航海をするために必要な基本的技能で、運用術・航海術といったもの。そして船乗りとしての資質・心がけ・マナー慣海性、海上生活の順応性、心構え、精神的及び身体的の適応性などといった人格的なものと解説していますが、私はseamanshipという単語が後者の意味合いで使われている文献を読んだ記憶がありません。
コンラッドの珠玉の名作である『海の想い出』は全編にわたり海と船乗りへの思いが綴られていますが、そのエッセイの中においてさえ、シーマンシップがそのような文脈で使われている場面はありません。
それらの人々がスポーツマンシップと横並び、あるいはジェントルマンシップの紳士道というような意味合いでシーマンシップという言葉を解釈したいという思いは理解できないものではありませんが、何でもshipを付ければいいというものではありません。
その証拠に騎士はnightですが、騎士道はnightshipではなくChivalryです。
防衛大学校出身候補生たちが言及したのは実は船乗り魂のことであり、それは英語では”seamalike” という言葉が使われることが多いように思います。
ちなみに多くの防衛大学校出身者が言及した「スマートで、目先が効いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」という言葉は旧帝国海軍の標語でした。
この言葉は、日本海海戦に少尉候補生として参加し、その後海軍兵学校や海軍大学校の教官を長く勤め、海軍少将で退役した太田 質平が提唱したとされています。
現在も海上自衛隊の幹部候補生学校ではこれが船乗りの基本であるとして躾として教育が行われています。候補生学校におけるこの標語の解釈は次のとおりです。
「スマートとは、敏捷である、機敏である、スピィーディーである、頭の回転が速い、身のこなし方が良い、洗練されている、颯爽としている、無駄が無い、形式にこだわらない、明朗である、ユーモアがあるなどの感覚をまとめて表現したもの。」
「目先が利くとは、先見の明がある、人より先のことを考えている、臨機応変で視野が広い、進歩的である、周囲に対する気配りに優れている、大勢が把握できる、危険予知能力があるということ。」
「几帳面とは、整理整頓がされている、責任観念が旺盛である、時間を守る、確実である、清潔である、他人に迷惑をかけない、物・心両面の用意が出来ているということ。」
「負けじ魂」とは、苦しく困難な局面においても任務を投げ出すことなく、全力で最後まで努力しようとする気持ちを表現している。
船乗りじゃなくとも標語にしていい言葉ですよね。
----------------------------------------------------------------------------
お勧めのコラム
「コミュニケーション不足が招く自社への打撃を理解しているか」
当コラムではおなじみの株式会社ココティアコンサルティングの高橋雅美代表のコラムです。
テレワークの進展とともに現れるであろう新たな問題点を指摘されています。
テレワークによるコミュニケーションによって生ずる問題についてはすでに多くのコンサルタ
ントが指摘していますが、このコラムではコミュニケーションではなく「対話」の重要性に論及
されています。
「報連相」でも「会話」でもなく、「対話」の価値がしっかりと指摘されています。
テレワークを導入されている経営者の方々には是非お読みいただきたい論点です。
https://cocotia.co.jp/column/training/activemental183
----------------------------------------------------------------------------
お勧めの本
『挑戦者の流儀』 阿久澤 克之 著 Parade Books 株式会社パレード 刊
の中で、弊社代表の林が30人の経営者の一人として紹介されました。
日常の想いなどについてインタビューを受けたものです。
他にも素晴らしい経営者の方々が紹介されています。
アマゾンでお買い求めいただけます。
----------------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけます。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
----------------------------------------------------------------------------
当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧
ください
専門コラム「指揮官の決断」第217回 危機をどう管理するのか? 掲載のご案内
当コラムは危機管理の専門コラムとして掲載を続けています。最近、いろいろな事情があって、
この「専門」という言葉を使うのを止めようかどうしようかと考えているところではありますが、
いずれにせよ危機管理にテーマを絞ったコラムとして執筆を続けています。
ただ、執筆者自身が言うのも変なのですが、「危機管理」という言葉自体がどうも曖昧であるよ
うにも思っています。
「危機管理」という言葉自体が自己撞着に陥っています。
「管理」できれば「危機」的な事態にはなりません。「管理」できないから「危機」になってし
まうのではないでしょうか。
続きはこちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/2216
----------------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけます。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
---------------------------------------------------------------------------------------
弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
https://aegis-cms.co.jp/book1
---------------------------------------------------------------------------------------
Facebookページを公開しています。
メールマガジン及び専門コラムのバックナンバーをお読みいただけます。
Facebookページ「指揮官の決断/休日」
https://www.facebook.com/aegis.cm
----------------------------------------------------------------------------------------
教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------------------
コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
----------------------------------------------------------------------------------------
図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
----------------------------------------------------------------------------------------
バックナンバーを公開しています。
こちらからご覧ください。https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
メールアドレスの変更はこちらからお手続きください。
http://aetis-cms.co.jp/mailmag
メールマガジンがご不要の場合はこちらから解除をして頂くことができます。
http://q.bmd.jp/bm/p/f/s.php?id=aegismm&mail=uhayashi%40jcom.zaq.ne.jp&no=2
----------------------------------------------------------------------------------------
メールマガジン「指揮官の休日」
発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
Web : http://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------