指揮官の休日 No.206 勲章の重さ
2020/11/06 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第214回 危機管理概念の混乱はどう始まったのか を掲載いたしました。
この国で危機管理の概念が混乱している理由を調査した結果、阪神淡路大震災頃から顕著になってきたことが分かりました。犯人はあいかわらずマスメディアです。
この度のコロナ禍においてもメディアのデタラメさは目に余るものがありましたが、しかし、そのお蔭でこの国では危機管理の概念が正しく理解されていません。そのこと自体がすでに危機管理上の事態と言って差支えないかと考えます。
詳しくはこちらをお読み下さい。
https://aegis-cms.co.jp/2194
No.206 勲章の持つ意味
秋の叙勲受章者4100人が発表されました。
海上自衛隊出身者では私の知る先輩が地方版だけでも何人か受賞されています。
陸上自衛隊と海上自衛隊の文化が異なるのが面白いのですが、陸上自衛隊では叙勲を受けた方をお祝いするためにかつての部下など有志が集まってお祝いの会を開きます。
ところが海上自衛隊はそのような祝賀会は開かれません。むしろ叙勲を受けられた方が、私たち後輩に対して叙勲の記念品を贈ってきます。
叙勲を受けられた方々のみに許される特権で入手できるのでしょう、菊の御紋の入った置物や袱紗などを頂くことがあります。
それは叙勲を受けられた方々が、皆さんの献身的なサポートのお蔭で職務を全うし、この度叙勲の栄誉に預かったという意味で、かつての部下などに贈って下さるのです。結構な金額になるかと思いますが、それが海上自衛隊の伝統となっています。
この叙勲は、長年の社会に対する貢献に対して贈られるものですが、自衛隊には別の制度があります。
軍隊ではないということで勲章を授けられることはないのですが、特別の功績があった場合には賞詞が授与されます。これには1級から5級の賞詞があります。そして賞状のほかに制服の胸に付ける防衛記念章の着用資格が認定されます。記念章は賞詞の授与だけでなく、特殊な任務に従事したことなど様々な認定がなされ、それに応じてデザインの異なる記念章の着用が認定されます。
記念章は軍人が左胸の上の方につけるカラフルな長方形のバッジのようなものなのですが、写真や映画などでご覧になった方も多いかと存じます。あれは元々は勲章の下に付いているカラフルなリボンを意味する略綬です。勲章をたくさんもらうと制服につけて歩くのが大変ですし、汚したり、無くしたりしても大変なので、普段はそのリボンの部分だけを示す略綬をつけているのです。一列に3つの略綬が付き、4つ以上になると2列、3列と増えていきます。
私は自衛官時代に海幕勤務がやたらと長く、部隊でいろいろな活躍をする機会があまりなかったのですが、それでも海外での連絡官勤務など特殊な任務に就いていたことが多いので、退官する際には5列の防衛記念章をつけていました。
私の在隊途中から3級賞詞以上の賞詞を授与されると通常の防衛記念章とは異なる、小さな勲章のようなものの着用資格が認定されるようになったので、退官時の写真にはそれも右胸に付けていました。
米国にはまともな軍隊があります。交戦権がないとか、その存在自体に憲法上の疑義がさしはさまれるような国ではありませんので、軍人にはそれなりの名誉が与えられ、功績のあった軍人には勲章が授与され、国家としてその栄誉を称えるとともに感謝の意が表されます。
その中で最高位の勲章と呼ばれるのは「名誉勲章 “ Medal of Honor “」です。
この勲章を授与された兵士は敬礼を受ける権利を有するので、一兵卒であっても提督や将軍が先に敬礼をしなければなりません。また、その敬礼を受ける権利は生涯続くので、リタイアしたのちもその勲章を身に付けている際には軍人は必ず敬礼をしなければなりません。また亡くなった場合にはその方が在籍した軍種から儀じょう隊が派遣され、棺は星条旗に包まれ、儀じょう隊が葬儀の最後に弔銃の発射を行います。
勲章の性格上、戦死後に授与されることが多いのでこの勲章を受けた元軍人に会うということはめったにありません。
ただ、私は名誉勲章に次ぐとされる海軍十字章の授与者に会ったことがあります。
場所は、私が米国ペンシルヴァニア州で連絡官として勤務していた基地のオフィサーズクラブのラウンジでした。
私が勤務していた部隊の指揮官の海軍少将はブルーの眼をした東欧系の強烈な個性の軍人でした。米国の名俳優ジョージ・C・スコットが演じたパットン将軍のような海軍軍人でした。
その強烈な個性の海軍少将とある日の午後、基地内のゴルフ場で一緒に回り、オフィサーズクラブのバーに行こうということになりました。
ゴルフ場からオフィサーズクラブは徒歩で3分くらいで、帆船の舵輪とコンパスなどが置いてあるエントランスでコートや荷物を置いて中に入ると、居心地のいい広いラウンジがあります。
そのラウンジの最も眺めの良い出窓の所にあるテーブルに老夫婦が座っていて、午後のお茶を楽しんでいたところでした。
オフィサーズクラブはリタイアの軍人も利用できるので、平日の午後にはそのようなリタイアの軍人たちがご夫妻で連れ立ってきて、お茶を楽しんだり食事をしたりしていました。
その日、私と一緒にクラブに入った司令官は、そのテーブルにいた夫婦を見つけると、真っすぐに近寄っていき、挨拶をしたと思ったら、テーブルの側に膝をついて夫人の手を握って話しかけたのです。
後で聞いたところによると、その老夫婦の奥様の方が病気で入院していたとのことで、司令官も何度か見舞いに行っていたようでした。
そして、その夫妻に話しかけるに際して司令官は” Sir,”や”Mom” をつけて話しかけていたのです。
私はその強烈な個性の司令官がそのような話し方をするのを始めて見たので驚き、一体その夫婦は何者なのかと思いました。
一緒にいた司令官の副官の大尉に後で「あれは誰なの?」と尋ねたら、地元に住んでいる元海軍中尉なのだそうです。
いくらお年を召した人であっても、元海軍中尉に現役の海軍少将が対応するような態度ではないなと思っていたら、その副官が教えてくれたのが、そのご主人がベトナム戦争で負傷して除隊した後、海軍十字章を授与された人であるということでした。
司令官はその海軍十字章受賞者へ敬意を払って、奥様には跪いて対応していたのです。
米国における軍人に与えられる勲章の重さを目の当たりにした瞬間でした。
米国というのはそのような国です。
私は海上自衛隊ではペンシルヴァニア州で勤務しましたが、その後商社マンとしてカリフォルニアで仕事をしました。サンディエゴが近かったのでシーワールドなどにも行きましたが、このようなアミューズメントパークでは海兵隊の制服を着用した若い海兵隊員とその家族を見かけることがあります。
これはその施設がイラクやアフガニスタンなどの派遣任務から帰還した兵士とその留守を守った家族を招待しているのです。イルカなどがショーを行う会場などで大きなスクリーンにその家族が映し出され、紹介のアナウンスが流れ、満場の観客がスタンディングで拍手を送るなどという光景を見ることがあります。
兵士がそのような扱いを受けるということは、その国が戦争をしているということなので、決してうらやむべき事態ではありませんが、どうも自分たちの受けてきた扱いとの差に思いが行ってしまうのは元自衛官としては仕方ないかと思っています。
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ください
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前々回、当コラムでは危機管理論がいかに誕生したかについて述べ、前回ではリスクマネジメント論がどう発展してきたかに触れました。
これらをお読みいただいた方はクライシスマネジメントとリスクマネジメントの相違をご理解いただけたかと存じます。クライシスマネジメントは危機を扱い、リスクマネジメントは危険性を扱うため、両者は目的が全く異なります。
リスクマネジメントをしっかりと行っておかなければ、あらゆる意思決定に伴うリスク(危険性)に対応できず、リスクが現実化した際にそのまま呑み込まれてしまいます。また、リスクマネジメントをしっかりと行っていれば、競合が入ってこれないようなハイリスクの分野に堂々と入り込みハイリターンを得ることも可能となります。したがって、特に企業にとっては営業努力と同様に重要な活動であるのがこのリスクマネジメントです。
しかし、それは危険性を管理するためのものであり、危機を管理するためのものではないため、リスクマネジメントだけ行っていたのでは危機に対応できません。危機管理についての認識が別途必要なのです。
続きはこちらからお読みください。
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お勧めの本
『挑戦者の流儀』 阿久澤 克之 著 Parade Books 株式会社パレード 刊
の中で、弊社代表の林が30人の経営者の一人として紹介されました。
日常の想いなどについてインタビューを受けたものです。
他にも素晴らしい経営者の方々が紹介されています。
アマゾンでお買い求めいただけます。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
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それは叙勲を受けられた方々が、皆さんの献身的なサポートのお蔭で職務を全うし、この度叙勲の栄誉に預かったという意味で、かつての部下などに贈って下さるのです。結構な金額になるかと思いますが、それが海上自衛隊の伝統となっています。
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軍隊ではないということで勲章を授けられることはないのですが、特別の功績があった場合には賞詞が授与されます。これには1級から5級の賞詞があります。そして賞状のほかに制服の胸に付ける防衛記念章の着用資格が認定されます。記念章は賞詞の授与だけでなく、特殊な任務に従事したことなど様々な認定がなされ、それに応じてデザインの異なる記念章の着用が認定されます。
記念章は軍人が左胸の上の方につけるカラフルな長方形のバッジのようなものなのですが、写真や映画などでご覧になった方も多いかと存じます。あれは元々は勲章の下に付いているカラフルなリボンを意味する略綬です。勲章をたくさんもらうと制服につけて歩くのが大変ですし、汚したり、無くしたりしても大変なので、普段はそのリボンの部分だけを示す略綬をつけているのです。一列に3つの略綬が付き、4つ以上になると2列、3列と増えていきます。
私は自衛官時代に海幕勤務がやたらと長く、部隊でいろいろな活躍をする機会があまりなかったのですが、それでも海外での連絡官勤務など特殊な任務に就いていたことが多いので、退官する際には5列の防衛記念章をつけていました。
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米国にはまともな軍隊があります。交戦権がないとか、その存在自体に憲法上の疑義がさしはさまれるような国ではありませんので、軍人にはそれなりの名誉が与えられ、功績のあった軍人には勲章が授与され、国家としてその栄誉を称えるとともに感謝の意が表されます。
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オフィサーズクラブはリタイアの軍人も利用できるので、平日の午後にはそのようなリタイアの軍人たちがご夫妻で連れ立ってきて、お茶を楽しんだり食事をしたりしていました。
その日、私と一緒にクラブに入った司令官は、そのテーブルにいた夫婦を見つけると、真っすぐに近寄っていき、挨拶をしたと思ったら、テーブルの側に膝をついて夫人の手を握って話しかけたのです。
後で聞いたところによると、その老夫婦の奥様の方が病気で入院していたとのことで、司令官も何度か見舞いに行っていたようでした。
そして、その夫妻に話しかけるに際して司令官は” Sir,”や”Mom” をつけて話しかけていたのです。
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いくらお年を召した人であっても、元海軍中尉に現役の海軍少将が対応するような態度ではないなと思っていたら、その副官が教えてくれたのが、そのご主人がベトナム戦争で負傷して除隊した後、海軍十字章を授与された人であるということでした。
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