指揮官の休日 No.189 『威風堂々』
2020/07/10 (Fri) 06:30
XXXX 様
-------------------------------------------------------------------
指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
-------------------------------------------------------------------
危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第197回 情報の理解の仕方 を掲載いたしました。
情報はいたるところに転がっているのですが、その取り扱い方、理解の仕方を誤ると意思決定を誤るもとになります。
意思決定を正しく行うための手法については弊社のコンサルティングで詳しくお伝えしていますが、その前提となる重要な事柄について記述しています。是非ご覧ください。
https://aegis-cms.co.jp/2089
No.189 『威風堂々』
当メールマガジンでは度々英語の問題を取り上げています。
何度も繰り返していますが筆者が英語を得意としているのではなく、実はその逆なのですが、物心ついたころから海に親しんできて、しかし日本には海洋文学や海をテーマとした紀行文などもなく、ドキュメンタリーもろくなものがなく、さらには翻訳すらほとんどないために原書を読まねばならず、その中での専門用語の誤りが散見されて気になって仕方がないのが実情です。
文学でもそうなのですが、映画にも誤訳がやたらに多く、海をテーマにした映画では字幕が気になって集中できないことすらあります。ちょっと船乗りに聞けば誰でも答えてくれるレベルの誤訳をされるとその先を観る気力が失せることがあります。
劇中のテクニカルタームの誤訳ならまだしも、映画のタイトルそのものが誤っている場合があります。
海ではなく空が舞台ですが、往年の名優ジェームズ・ステュアートが主演した1955年の映画『戦略空軍命令』がそれです。第2次大戦中に勇猛を馳せた爆撃機パイロットが凱旋後にプロ野球選手をしていたところ、予備役招集の命令が届き、戦略航空団の創設に参加するように命令されるところから始まる映画であり、原題は「 Strategic Air Command」です。日本語訳としては『戦略航空軍』と訳すのが適訳でしょう。訳者はcommand に部隊という訳があることを知らず、命令という訳しか知らなかったのでしょう。『戦略空軍命令』では何を言っているのか意味が分かりません。
誤訳ではありませんが、リチャード・ギアの出世作とも言える『愛と青春の旅立ち』という映画のタイトルも微妙です。この映画の原題は「 An Officer and a Gentleman 」です。
実はこの言葉は海軍士官たる者の覚悟に関わる深遠な哲学を含んでいるのですが、邦題にはその片鱗もありません。
「An Officer and a Gentleman」 という言葉は英国海軍に起源を持っており、1800年代中庸には米国においても統一軍法典に「士官及び紳士にふさわしくない行動」を罰すると規定されています。
日本においても、防衛大学校の槙智雄初代校長は「学生は武人である前に紳士、淑女であり、よき社会人であれ。」と説き続けたと言われています。
そのような意味を持つフレーズなのですが、軍隊の歴史や謂れを知らないと訳しきれないのでしょう。『愛と青春の旅立ち』というタイトルも悪くはないのですが、原題の持つ深遠な哲学を考えるとちょっと皮相に過ぎるように思います。
さて、話を音楽に移します。
今回のテーマは『威風堂々』です。
皆さまご承知の通り、これはイギリスの作曲家であるエドワード・エルガーによる管弦楽のための行進曲ですが、高校のブラスバンドなどではどうしても演奏したがる名曲です。
特に第6番まである全曲のうち第1番の構成は見事で、出だしの後に続く第一テーマと第二テーマが躍動感を持って演奏され、その後だんだんテンポが遅くなって重厚さを与え、ダメ押しのようにトリオの旋律が流れ、最後にメインテーマが戻り、圧倒的な迫力をもって終わっていくという構成はクラシックファンならずとも耳を傾けてしまいます。
この曲の邦題『威風堂々』はかなり極端な意訳です。
原題は「Pomp and Circumstance」であり、手元の音楽事典によればシェイクスピアの戯曲「オセロ」に登場するセリフだそうです。坪内逍遥の訳によれば「飾りと立派さ」ということになっています。
pompは「荘厳、壮麗、華麗」という意味合いで使われることが多い単語ですし、circumstance は状況とか環境という意味も持ちますが同時に物々しいという意味を持ちます。
しかし、この曲の場合は邦題の『威風堂々』という訳が曲のイメージにぴったりだと思います。
英国人はやはりこの曲が大好きで、ほぼ第2の国歌扱いをされています。ただ、彼らはこの曲のテーマとなっている旋律を「 Land of Hope and Glory 」 (「希望と神の栄光の国」と呼んで合唱付きで演奏するのを好みます。
米国では学校の卒業式において卒業生の入場の際に演奏されることが多いと聞いたことがあります。
米海兵隊士官と飲んでいてたまたまこの曲の話になり、彼は海兵隊のヘリコプター乗りでしたが、父親もやはり海兵隊員で、音楽隊の指揮者をしていたそうです。小さいときに父親のコンサートで聞いたこの曲が忘れられないとのことでした。
私も祖父が陸軍軍楽隊出身で大阪市音楽団(現大阪シオン・ウィンドオーケストラ)の創設者ですが、私の生まれる前に亡くなっているので祖父の演奏を聴いたことがなく、彼が羨ましく思いました。「Pomp and Circumstance」というタイトルを教えてくれたのもその海兵隊士官でした。
日本でもその曲はポピュラーだよと言うと何ともうれしそうな顔をしたのが印象的でした。その時、「日本ではこの曲は Majestic and dignified というタイトルで知られているんだ。」と伝えると「ヘェー」と感心して、「悪くないね。」と言って何度もつぶやいていたのをよく覚えています。
英語の得意な方で、この訳がどれほど適当なのか教えて頂ければ幸いです。酔っていたので適訳が思い浮かばず、とっさにこの訳を思いついたのですが、ネイティブにはどのように聞こえたのかちょっと心配です。
英国国民がいかにこの曲を誇りとして愛唱しているかを示す動画をお贈りします。
https://www.youtube.com/watch?v=Vvgl_2JRIUs
この動画を注意深く見ていると面白い発見があります。
聴衆の多くがイギリス国旗を持って、それを振りながら聴いているのですが、中には英国以外の国の国旗も散見されます。
その中になんとびっくりすることに日章旗があります。あれだけ愛国的な感情が高まっている会場でたいした度胸だなと見ていたのですが、ある時、真相が分かりました。
これはオックスフォード大学に留学中の陸上自衛官の小学生の息子さんが開いて振っているところだそうです。
まだ若い陸上自衛隊の幹部自衛官が大学院に留学を命ぜられて家族で赴任し、このBBCプロムナイトに招かれ、制服を着用して行ったのだそうです。どういうプログラムか知っていたので、彼も国旗を用意していき、息子さんが振りたがったので渡したということでした。彼はその曲が始まる前に、周囲にいた人々が持っていた英国国旗やその他の国旗に対して敬意を表したのちに、おもむろに日章旗を取り出して息子に渡したそうで、側にいた大男の英国人男性が息子さんを抱き上げて肩車をしてくれたそうです。
かつて英国は第2次大戦におけるシンガポール攻略作戦後の英国軍捕虜の取り扱いが非人道的であったとして対日感情が極めて悪かったのですが、昭和天皇の訪英からその感情に変化が現れ、平成天皇訪英以後、英国王室と皇室の関係が極めて良好であることを英国民が理解して、極めて対日感情が良くなり、自衛隊の留学生や防衛駐在官にとっては居心地のいい国だそうです。
さて、皆様にはその日章旗が見つかるでしょうか。
----------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけま
す。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
----------------------------------------------------------------------------
当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧ください
専門コラム「指揮官の決断」掲載のご案内
専門コラム「指揮官の決断」197回 情報の理解の仕方 掲載のご案内
危機管理上の事態における情報の取り扱いは極めて困難な問題を含んでいます。
当コラムでは、情報がなければ意思決定できないトップは情報があっても意思決定できないというパラドックスについて書いたことがあります。(専門コラム「指揮官の決断」第2回 経営者が理解すべき危機管理の要諦 をご参照ください。)
危機管理上の事態においては、トップは情報を得られない状況にあっても事態を正しく認識し、適切に対応しなければなりません。
しかし、現実の危機管理上の事態においてはどうなのでしょうか。 情報が無ければ何が起きているのか分からず、その結果どうすればいいのかも分かりません。何が起きているのか分からなければ、何をどうしなければならないのか分からないのは当然です
https://aegis-cms.co.jp/2089
----------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけま
す。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
---------------------------------------------------------------------------------------
弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
https://aegis-cms.co.jp/book1
---------------------------------------------------------------------------------------
Facebookページを公開しています。
メールマガジン及び専門コラムのバックナンバーをお読みいただけます。
Facebookページ「指揮官の決断/休日」
https://www.facebook.com/aegis.cm
----------------------------------------------------------------------------------------
教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------------------
コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
----------------------------------------------------------------------------------------
図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
----------------------------------------------------------------------------------------
バックナンバーを公開しています。
こちらからご覧ください。https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
メールアドレスの変更はこちらからお手続きください。
http://aetis-cms.co.jp/mailmag
メールマガジンがご不要の場合はこちらから解除をして頂くことができます。
http://q.bmd.jp/bm/p/f/s.php?id=aegismm&mail=uhayashi%40jcom.zaq.ne.jp&no=2
----------------------------------------------------------------------------------------
メールマガジン「指揮官の休日」
発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
Web : http://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------
-------------------------------------------------------------------
指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
-------------------------------------------------------------------
危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第197回 情報の理解の仕方 を掲載いたしました。
情報はいたるところに転がっているのですが、その取り扱い方、理解の仕方を誤ると意思決定を誤るもとになります。
意思決定を正しく行うための手法については弊社のコンサルティングで詳しくお伝えしていますが、その前提となる重要な事柄について記述しています。是非ご覧ください。
https://aegis-cms.co.jp/2089
No.189 『威風堂々』
当メールマガジンでは度々英語の問題を取り上げています。
何度も繰り返していますが筆者が英語を得意としているのではなく、実はその逆なのですが、物心ついたころから海に親しんできて、しかし日本には海洋文学や海をテーマとした紀行文などもなく、ドキュメンタリーもろくなものがなく、さらには翻訳すらほとんどないために原書を読まねばならず、その中での専門用語の誤りが散見されて気になって仕方がないのが実情です。
文学でもそうなのですが、映画にも誤訳がやたらに多く、海をテーマにした映画では字幕が気になって集中できないことすらあります。ちょっと船乗りに聞けば誰でも答えてくれるレベルの誤訳をされるとその先を観る気力が失せることがあります。
劇中のテクニカルタームの誤訳ならまだしも、映画のタイトルそのものが誤っている場合があります。
海ではなく空が舞台ですが、往年の名優ジェームズ・ステュアートが主演した1955年の映画『戦略空軍命令』がそれです。第2次大戦中に勇猛を馳せた爆撃機パイロットが凱旋後にプロ野球選手をしていたところ、予備役招集の命令が届き、戦略航空団の創設に参加するように命令されるところから始まる映画であり、原題は「 Strategic Air Command」です。日本語訳としては『戦略航空軍』と訳すのが適訳でしょう。訳者はcommand に部隊という訳があることを知らず、命令という訳しか知らなかったのでしょう。『戦略空軍命令』では何を言っているのか意味が分かりません。
誤訳ではありませんが、リチャード・ギアの出世作とも言える『愛と青春の旅立ち』という映画のタイトルも微妙です。この映画の原題は「 An Officer and a Gentleman 」です。
実はこの言葉は海軍士官たる者の覚悟に関わる深遠な哲学を含んでいるのですが、邦題にはその片鱗もありません。
「An Officer and a Gentleman」 という言葉は英国海軍に起源を持っており、1800年代中庸には米国においても統一軍法典に「士官及び紳士にふさわしくない行動」を罰すると規定されています。
日本においても、防衛大学校の槙智雄初代校長は「学生は武人である前に紳士、淑女であり、よき社会人であれ。」と説き続けたと言われています。
そのような意味を持つフレーズなのですが、軍隊の歴史や謂れを知らないと訳しきれないのでしょう。『愛と青春の旅立ち』というタイトルも悪くはないのですが、原題の持つ深遠な哲学を考えるとちょっと皮相に過ぎるように思います。
さて、話を音楽に移します。
今回のテーマは『威風堂々』です。
皆さまご承知の通り、これはイギリスの作曲家であるエドワード・エルガーによる管弦楽のための行進曲ですが、高校のブラスバンドなどではどうしても演奏したがる名曲です。
特に第6番まである全曲のうち第1番の構成は見事で、出だしの後に続く第一テーマと第二テーマが躍動感を持って演奏され、その後だんだんテンポが遅くなって重厚さを与え、ダメ押しのようにトリオの旋律が流れ、最後にメインテーマが戻り、圧倒的な迫力をもって終わっていくという構成はクラシックファンならずとも耳を傾けてしまいます。
この曲の邦題『威風堂々』はかなり極端な意訳です。
原題は「Pomp and Circumstance」であり、手元の音楽事典によればシェイクスピアの戯曲「オセロ」に登場するセリフだそうです。坪内逍遥の訳によれば「飾りと立派さ」ということになっています。
pompは「荘厳、壮麗、華麗」という意味合いで使われることが多い単語ですし、circumstance は状況とか環境という意味も持ちますが同時に物々しいという意味を持ちます。
しかし、この曲の場合は邦題の『威風堂々』という訳が曲のイメージにぴったりだと思います。
英国人はやはりこの曲が大好きで、ほぼ第2の国歌扱いをされています。ただ、彼らはこの曲のテーマとなっている旋律を「 Land of Hope and Glory 」 (「希望と神の栄光の国」と呼んで合唱付きで演奏するのを好みます。
米国では学校の卒業式において卒業生の入場の際に演奏されることが多いと聞いたことがあります。
米海兵隊士官と飲んでいてたまたまこの曲の話になり、彼は海兵隊のヘリコプター乗りでしたが、父親もやはり海兵隊員で、音楽隊の指揮者をしていたそうです。小さいときに父親のコンサートで聞いたこの曲が忘れられないとのことでした。
私も祖父が陸軍軍楽隊出身で大阪市音楽団(現大阪シオン・ウィンドオーケストラ)の創設者ですが、私の生まれる前に亡くなっているので祖父の演奏を聴いたことがなく、彼が羨ましく思いました。「Pomp and Circumstance」というタイトルを教えてくれたのもその海兵隊士官でした。
日本でもその曲はポピュラーだよと言うと何ともうれしそうな顔をしたのが印象的でした。その時、「日本ではこの曲は Majestic and dignified というタイトルで知られているんだ。」と伝えると「ヘェー」と感心して、「悪くないね。」と言って何度もつぶやいていたのをよく覚えています。
英語の得意な方で、この訳がどれほど適当なのか教えて頂ければ幸いです。酔っていたので適訳が思い浮かばず、とっさにこの訳を思いついたのですが、ネイティブにはどのように聞こえたのかちょっと心配です。
英国国民がいかにこの曲を誇りとして愛唱しているかを示す動画をお贈りします。
https://www.youtube.com/watch?v=Vvgl_2JRIUs
この動画を注意深く見ていると面白い発見があります。
聴衆の多くがイギリス国旗を持って、それを振りながら聴いているのですが、中には英国以外の国の国旗も散見されます。
その中になんとびっくりすることに日章旗があります。あれだけ愛国的な感情が高まっている会場でたいした度胸だなと見ていたのですが、ある時、真相が分かりました。
これはオックスフォード大学に留学中の陸上自衛官の小学生の息子さんが開いて振っているところだそうです。
まだ若い陸上自衛隊の幹部自衛官が大学院に留学を命ぜられて家族で赴任し、このBBCプロムナイトに招かれ、制服を着用して行ったのだそうです。どういうプログラムか知っていたので、彼も国旗を用意していき、息子さんが振りたがったので渡したということでした。彼はその曲が始まる前に、周囲にいた人々が持っていた英国国旗やその他の国旗に対して敬意を表したのちに、おもむろに日章旗を取り出して息子に渡したそうで、側にいた大男の英国人男性が息子さんを抱き上げて肩車をしてくれたそうです。
かつて英国は第2次大戦におけるシンガポール攻略作戦後の英国軍捕虜の取り扱いが非人道的であったとして対日感情が極めて悪かったのですが、昭和天皇の訪英からその感情に変化が現れ、平成天皇訪英以後、英国王室と皇室の関係が極めて良好であることを英国民が理解して、極めて対日感情が良くなり、自衛隊の留学生や防衛駐在官にとっては居心地のいい国だそうです。
さて、皆様にはその日章旗が見つかるでしょうか。
----------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけま
す。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
----------------------------------------------------------------------------
当社Webサイトに、専門コラム「指揮官の決断」をアップしております。是非、ご覧ください
専門コラム「指揮官の決断」掲載のご案内
専門コラム「指揮官の決断」197回 情報の理解の仕方 掲載のご案内
危機管理上の事態における情報の取り扱いは極めて困難な問題を含んでいます。
当コラムでは、情報がなければ意思決定できないトップは情報があっても意思決定できないというパラドックスについて書いたことがあります。(専門コラム「指揮官の決断」第2回 経営者が理解すべき危機管理の要諦 をご参照ください。)
危機管理上の事態においては、トップは情報を得られない状況にあっても事態を正しく認識し、適切に対応しなければなりません。
しかし、現実の危機管理上の事態においてはどうなのでしょうか。 情報が無ければ何が起きているのか分からず、その結果どうすればいいのかも分かりません。何が起きているのか分からなければ、何をどうしなければならないのか分からないのは当然です
https://aegis-cms.co.jp/2089
----------------------------------------------------------------------------
メールマガジンのバックナンバーは弊社Facebookページからもお読みいただけま
す。
Facebookページ 「指揮官の決断/休日」 https://www.facebook.com/aegis.cm
Facebookページでは、当メールマガジンでは見ることのできない写真もご覧頂くこ
とが出来ます。
是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
---------------------------------------------------------------------------------------
弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
お求めの方は、こちらからどうぞ。
https://aegis-cms.co.jp/book1
---------------------------------------------------------------------------------------
Facebookページを公開しています。
メールマガジン及び専門コラムのバックナンバーをお読みいただけます。
Facebookページ「指揮官の決断/休日」
https://www.facebook.com/aegis.cm
----------------------------------------------------------------------------------------
教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------------------
コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
----------------------------------------------------------------------------------------
図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
----------------------------------------------------------------------------------------
バックナンバーを公開しています。
こちらからご覧ください。https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
メールアドレスの変更はこちらからお手続きください。
http://aetis-cms.co.jp/mailmag
メールマガジンがご不要の場合はこちらから解除をして頂くことができます。
http://q.bmd.jp/bm/p/f/s.php?id=aegismm&mail=uhayashi%40jcom.zaq.ne.jp&no=2
----------------------------------------------------------------------------------------
メールマガジン「指揮官の休日」
発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
Web : http://aegis-cms.co.jp
----------------------------------------------------------------------------