指揮官の休日 No.184 We'll meet again.
2020/06/05 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加2をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、第192回 言論という名の暴力 を掲載いたしました。
ネット上にはびこる匿名の誹謗中傷のみならず、マスメディアが公然と行う情報操作など、私たちの日常に大きな影響を与える、しかし、憲法によって手厚く保護されている新しい暴力の形態について論じています。
No.184 We'll meet again.
4月5日、英国女王エリザベス2世はテレビでビデオスピーチを行い、医療従事者をはじめキー・ワーカーと呼ばれる市民生活維持に不可欠な業務についている人々に感謝の意を表されました。
多くの人々が感染症対策のために家族からも離れて奮闘を続けていることに触れ、また国家の方針に従って家に留まっている人々の忍耐を称え、皆が一丸となって戦っている、団結して強い意志を持ち続けることにより私たちは必ずこの病を克服できると国民を励まされました。そして、これからもまだ我慢が必要であるけれど、今より良い毎日は戻ってくる、それを心の支えにしましょう。友だちにまた会えます。家族にもまた会えます。みなさん、またお会いします、とスピーチを結ばれました。
最後の「みなさん、またお会いします。」という結びが腑に落ちるためにはちょっとした知識が必要かもしれません。
この”We’ll meet again”という言葉は、第2次大戦中に英国国民が愛唱した曲のタイトルです。ヴェラ・リンという歌手が歌ったものです。原曲は1943年に発表されたミュージカルの中で歌われたものですが、その歌詞が家族を離れて戦場に向かう兵士のメンタリティーに合致したため、大戦中連合軍兵士が好んで歌ったと言われています。
この曲を最近カバーして人気となっているグループがあります。
D-Day Darlings という女性のコーラスグループで、第2次大戦当時の女性兵士の軍服に身を包み、髪形もメイクも当時の雰囲気にして、戦争に出て行った人々に感謝し称える歌を専門的に歌っているグループです。
http://q.bmd.jp/bm/p/aa/fw.php?d=1&i=aegismm&c=2&n=XXXX
このビデオを観ると、彼女たちのステージを見て涙ぐんでいる観客もおり、この歌が持つインパクトの大きさが分かります。
ちなみに、彼女たちのグループ名のD-Dayが何を意味するかお判りでしょうか。
多くの方は連合軍によるノルマンディ上陸作戦が開始された日であることをご存じかと拝察いたします。
それがD-Dayで、1944年の6月6日です。
この日は欧米の歴史では特別な日で、毎年関係国の大統領や首相が現地に赴き、その日を記念する行事を行います。もちろん実際に作戦に参加した元兵士たちも招かれますが、当然のことながら参加者は高齢化しだんだん数が減っていきます。
かつて私がこのメールマガジンで3人の格好いい男たちを紹介しましたが(指揮官の休日 No.095 カッコいい男たち
http://q.bmd.jp/bm/p/aa/fw.php?d=1&i=aegismm&c=3&n=XXXX)、そのうちの一人米国人のバーニー・ウィリアムソン氏もその一人で、プリンストン大学から海軍に入隊し、海軍中尉として上陸作戦に参加したのだそうです。それを誇りとして奥様と現地を訪れて、地元の方々と親しく話をされた時のことを奥様が懐かしそうに話してくださったことがあります。
さて、それでは何故上陸作戦が行われた日をD-Day と呼ぶのでしょうか。
これは軍隊の作戦計画の立案方法を知らないと分かりにくいかもしれません。
作戦計画立案に着手する時にその作戦実施日があらかじめ決まっていることはあまりありません。特に敵の攻撃から防御する作戦の場合、その作戦発動の決定権は敵方にあります。
そこで作戦担当者は作戦上の様々な重要な日に仮の名前を付けます。通常はアルファベットを使います。
多いのは決行日をX日とするというやり方です。そして、その準備行動を起こす日が3日前だったとすると、その日をX-3日などとして作戦を立てていきます。そして最終的に作戦命令を発出した後に、X日を何月何日とするという命令を別に出すことになります。
ノルマンディ上陸作戦は事後的にそう呼ばれていますが、連合軍がそう呼んでいたわけではありません。作戦立案時に作戦にはコードネームが付与されます。
コードネームが有名になったのは1990年にクウェートがイラクによって侵略され、それに対応して米国をはじめとする多国籍軍が行った軍事行動です。
これは「砂漠の楯」作戦( Operation Desert Shield )と名付けられました。この作戦は主としてサウジアラビアにおける多国籍軍のビルドアップを行いつつ、イラクを封鎖によって経済的に疲弊させる目的がありました。そして、クウェートからの無条件完全撤退の要求に従わなかったイラクに対して翌年の3月に開始された実力行使が「砂漠の嵐」作戦(Operation Desert Storm)でした。
この湾岸戦争に際し、130億ドルという巨額の拠出金を負担したにもかかわらず人的貢献をしなかったためにわずか300人の兵士を派遣した国よりも評価されなかった日本ですが、戦後、湾岸諸国の復興のためにはイラクが敷設した機雷の掃海が不可欠だとして海上自衛隊の掃海部隊を派遣しました。派遣部隊はその作戦計画に対して「湾岸の夜明け」作戦( Operation Gulf Dawn )というコードネームを付与しました。後で聞くと、指揮官の落合掃海隊群司令のネーミングだそうです。
私はこの時、ペンシルバニアの米海軍基地で連絡官として勤務しており、日本が人的貢献をしないので極めて肩身の狭い思いをしていました。周りの米海軍の士官は日本の憲法上の制約などをよく知っているので「日本の財政的支援がなければ俺たちは戦えないんだよ。」と慰めてくれるのですが、ご子息が従軍しているシビリアンの職員などの視線をまともには受けることができませんでした。
湾岸戦争の後、米軍が凱旋してくるころ、海自部隊の派遣が決まり、派遣される掃海艇艇長に候補生学校の同期がいることも分かって誇らしい気持ちになりましたし、また、その作戦に付与されたコードネームの巧みさにもうなりました。周りの米軍士官もネーミングセンスの良さをほめてくれました。
ちなみに、この時の指揮官だった落合掃海隊群司令は、第二次大戦の沖縄の戦いで住民を巻き込むことを嫌って住民のいない地域に転戦し、最後に「沖縄県民斯ク戦ヘリ」という決別の電報を送って後世に沖縄県民に対して特別の配慮を要請して自決した海軍部隊指揮官太田実海軍中将の御子息です。
話を戻します。
ノルマンディ上陸作戦は連合軍のコードネームではネプチューン作戦(Operation Neptune)と呼ばれていました。これはヨーロッパ全域をドイツ軍から奪い返すための大作戦計画であるオーバーロード作戦(Operation Overlord)の一部でした。
ノルマンディ上陸作戦は「史上最大の作戦」と呼ばれることがありますが、確かに凄まじい規模で、1200隻の戦闘艦艇と5500隻の補助艦艇に19万名の海軍将兵が乗り込み、D-Dayに先立ち2万3千名の兵士が空挺作戦を行ってドイツ軍の背後に忍び込み、当日は13万名を超える兵士たちがノルマンディ一帯の5つの海岸に殺到したのです。
つまり、D-dayというのはネプチューン作戦において指定された上陸決行日を指しており、当然A-Day もあればB,Cに指定された日もあります。それぞれに何をする日なのかが作戦計画において指示されています。
最終的に総指揮官であった米国陸軍のアイゼンハワー将軍が天候などの条件を勘案し、6月6日に決行を決意し、D-Dayが決定され、自動的にA,B,Cの日時が決まったことでしょう。
このような指示の仕方は軍隊では特に珍しくなく、日常的に行われています。あらかじめ何をすべきかを示し、十分に理解させたうえで、その発動日や発動時間を別に指示するのです。
たまに、命令を読んでいて「発動をX時とする」と指定されているので「そうか、そうか」と思っていたら、そのX時を指定する電報が入ってきて、「受信した時間をもって発動」などと書かれてあって「うそだろ!」とうろたえたりすることもありましたが、とにかくそのように日時を指定することは珍しくありません。
ということで、D-Dayというのはどういう意味かという知っていても知らなくてもどうでもいいお話でした。
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お勧めのコラム
アフターコロナにおいて、企業は新しい勤務形態を採用していくことが多くなるかもしれません。
そこにはまた新たな管理上の問題が生ずるはずです。長い閉塞感の後に始まる新しい勤務形態に多
くの人々がストレスを抱えるでしょう。
当コラムでは専門外のためメンタルヘルスの問題を扱うことがあまりありませんが、メンバーの
メンタルヘルスの維持は危機管理上も極めて重要な問題です。
アクティブメンタルという概念を中心に活気ある組織を作ることを提唱しているコンサルティング
ファームであり、弊社のコンサルティングがカバーしていないメンタルヘルスの問題を扱っている株
式会社ココティアコンサルティングというコンサルティングファームのコラムはその意味で大変に参
考になります。
代表の高橋雅美さんはご自分の経験をもとに独自のコンサルティング手法を編み出し、強靭な組織
づくりのアドバイスをしています。メンタルヘルスで悩みを抱えておられる経営者の方々には大変参
考になるコラムを掲載されていますので、ご一読をお勧めします。
http://q.bmd.jp/bm/p/aa/fw.php?d=1&i=aegismm&c=4&n=XXXX
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第192回 言論という名の暴力
ネット上の誹謗中傷で自殺に追い込まれた女性レスラーの問題で社会に大きな議論が巻き起こされました。
この議論は詰まるところ、ネット上の誹謗中傷の匿名性の問題に尽きるようです。
しかし、事が言論に関わる問題であるだけに簡単に規制もできず、結局は匿名の意見など相手にしないとい
う社会に変わっていくしかないのではないかと考えています。
匿名性に隠れて誹謗中傷を行うのは、嫉妬心からでしょう。何とか相手を自分以下に貶めてやりたいという
卑しさが根底にあるからであって、自分が優位に立っていると認識しつつ誹謗中傷するのであれば、それはサ
ディスティックな異常性としか言いようがありません。
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弊社出版物のご紹介
『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
セルバ出版
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ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
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代表取締役 林 祐
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それがD-Dayで、1944年の6月6日です。
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さて、それでは何故上陸作戦が行われた日をD-Day と呼ぶのでしょうか。
これは軍隊の作戦計画の立案方法を知らないと分かりにくいかもしれません。
作戦計画立案に着手する時にその作戦実施日があらかじめ決まっていることはあまりありません。特に敵の攻撃から防御する作戦の場合、その作戦発動の決定権は敵方にあります。
そこで作戦担当者は作戦上の様々な重要な日に仮の名前を付けます。通常はアルファベットを使います。
多いのは決行日をX日とするというやり方です。そして、その準備行動を起こす日が3日前だったとすると、その日をX-3日などとして作戦を立てていきます。そして最終的に作戦命令を発出した後に、X日を何月何日とするという命令を別に出すことになります。
ノルマンディ上陸作戦は事後的にそう呼ばれていますが、連合軍がそう呼んでいたわけではありません。作戦立案時に作戦にはコードネームが付与されます。
コードネームが有名になったのは1990年にクウェートがイラクによって侵略され、それに対応して米国をはじめとする多国籍軍が行った軍事行動です。
これは「砂漠の楯」作戦( Operation Desert Shield )と名付けられました。この作戦は主としてサウジアラビアにおける多国籍軍のビルドアップを行いつつ、イラクを封鎖によって経済的に疲弊させる目的がありました。そして、クウェートからの無条件完全撤退の要求に従わなかったイラクに対して翌年の3月に開始された実力行使が「砂漠の嵐」作戦(Operation Desert Storm)でした。
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3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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発行人:株式会社イージスクライシスマネジメント
代表取締役 林 祐
email: yhayashi@aegis-cms.co.jp
Web : http://aegis-cms.co.jp
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