指揮官の休日 No.182 公務員の質的低下を憂う
2020/05/22 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加2をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
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専門コラム「指揮官の決断」は、第190回 職務への忠誠 を掲載いたしました。
政府が提出を取り下げた検察庁法改正にまつわる議論について、ぬぐいきれない違和感があります。
その違和感の正体は何なのかについて考えています。
詳しくは、https://aegis-cms.co.jp/1994 をご覧ください。
No.182 公務員の質的低下を憂う
ビックリしました。20日の水曜日に専門コラムをアップして、その中で「検察官の麻雀のレートは凄く高いぞ」と書いたら、その夕方に話題の渦中の東京高検検事長が、外出自粛中に新聞記者の家で賭け麻雀をやっていたとすっぱ抜かれ、翌日には辞表を提出するという事態になりました。私は極めて謙虚な性格ですので、この事態を予測していたなどとその辺の評論家のようなことを申し上げるつもりはまったくありません。本当に偶然です。
ところで、3月末で決算を迎えた企業の決算が一斉に発表になりました。コロナウイルスの経済に与えた打撃の凄まじさが改めて思い知らされます。
レナウンが会社更生法の適用申請をしたのにはビックリでした。1960年代、週末に楽しみにしていたいくつかアメリカのドラマのスポンサーとして「レナウンガールズ」を覚えている方も多いかと存じますが、そのような企業ですら致命傷を負わされる事態なのだということが分かります。
トヨタもかなりの減益のようで、豊田章男社長が「リーマンショックよりも大きな影響だ。」と述べていたのが印象的です。まぁ仕方ないですね。コロナですからね。ニッサンがトヨタの責任だと言い出さないだけいいかもしれません。(こんな記事はコラムでは書けません。皆様も間違ってもトヨペットコロナに乗ると感染するなどと言うデマは流さないでくださいね。)
私も好きだったメキシコのコロナビールは生産を中止してしまったそうですし、私の地元湘南には鵠沼コロナ通りという道がありますが、自粛中で行ったことがないのですが、さぞ肩身の狭い思いをしているんでしょうね。
このような際、公務員は凄まじい業務をしなければなりません。厚労省の防疫担当、あるいは労働行政担当、経済産業省、さらには財務省などにはここ数か月ほとんど帰宅していない職員もいるでしょうし、その他の省庁でも年度業務計画の見直しに次ぐ見直しで火を噴いているはずです。よく公務員の過労死が出ないなと感心する次第です。メンタルダウンの職員は相当出ているはずです。
ということで、公務員の皆さんにはご苦労様と申し上げる一方、国家公務員の質的低下を憂う事態も生じていることにも言及しなければなりません。
イージスアショアの配備地として防衛省が考えていた秋田市内の自衛隊演習場を事実上断念し、あらたに秋田県内で候補地を探すことになったとの報道がありました。
これは候補地選定の過程で、その調査があまりにもずさんであったことから批判が高まり、その地元説明会で防衛省側の職員が皆の前で居眠りをするというだらしなさで収まりがつかなくなったことに起因するものです。
調査がずさんというのも、候補地選定の立地条件の確認にGoogleEarthを使うという信じられない手抜き調査で得たデータを使用したことによるものです。担当者が自分の机の上のPCで簡単に算出したのでしょう。
国には国土地理院と言う機関があります。ここに測量結果の計算を依頼すべきだったのですが、担当者はその手数を嫌ったのか、あるいはそうすればいいということを知らなかったかのどちらかでしょう。
私は仕事上、いくつかの省庁の公務員とお付き合いをしなければならないのですが、若い人たちは極めて優秀なのですが、しかし一方で仕事のやり方を教えられていないのではないかと思うことがあります。調整の仕方などがあまりにも杜撰なのです。つまり、今の各省庁の局長、課長級の幹部の指導力が低下しているのではないかと思うのです。
コロナ騒ぎが起こる前のことですが、ある若い官僚と話をしていてびっくりしたことがあります。驚いたことに、彼は「万歳三唱」の仕方が国の規則で決まっていることを知らないというのです。入省した時に誰も教えてくれなかったのかと訊くと、教わっていないのだそうです。
最近はそんなことも教えないのかとびっくりした次第です。
実はこの「万歳三唱」の方法に関する規則については、すでにこのメールマガジンで解説しておりますのでご記憶の方もいらっしゃるとは存じますが、途中から読んでおられる方も多々いらっしゃいますので、ここで再配信させていただきます。
世の中どこを向いても「コロナ」の話題ばかりですので、この機会に万歳三唱に関する規則でも勉強されて、雑学的知識を増やして頂ければ幸いです。
この記事は2017年の7月14日に配信したものです。
No.033 万歳の正しい作法
私は公務員生活を30年ほど経験しています。海の上にいることもありましたが、不幸なことに東京の防衛省での役人暮らしが多かったように思います。
中央にいると、他省庁の役人と業務調整をすることがよくあります。各省庁ごとにいろいろなカラーがあって面白いのですが、それもそれぞれの省庁が背負っている歴史によるところが大きいようです。
防衛省などは戦後にできた役所ですので、あまり古いものは引き摺っていないのですが、財務省や外務省、あるいは当時の運輸省などの役人と話していると面白いことがあります。
「この根拠は何ですか?」と訊くと、「太政官布告第○○号です。」などと答えが返ってくることがあって、慣れるまではびっくりしていました。
宮内庁などは2000年くらいの歴史を引き摺っていますので、内部ではもっととんでもない会話が飛び交っているのではないかと推測しています。
国の法律や規則などは、改正されたり廃止されたりしなければそのまま効力を持ち続けるので、現在も生きている太政官布告があるのです。
例えば、日本の国旗は、平成11年に「国旗及び国歌に関する法律」が施行されるまでは、明治3年に太政官布告として定められた商船規則に商船に掲げる旗として規定されていたのが日章旗を国旗とする根拠でした。
平成11年まで、太政官布告を根拠として日章旗を国旗としていたのです。
私たち日本人は、何かお目出度いことがあったり、誰かを激励したりする際に「万歳」をよく行います。日常では何気なく誰かが音頭を取って万歳三唱をしていますが、実はこの万歳のやり方については規則があるのをご存知でしょうか。
明治12年4月1日、太政官布告第168号の「萬歳三唱令」及び「萬歳三唱令の細部実施要領」によって、万歳のやり方が規定されています。
次のとおりです。
萬歳三唱令.施行明治十二年四月一日
太政宮布告第百六十八号-
第一条
萬歳三唱は大日本帝国及ぴ帝国臣民の天壌無窮の発展を祈念し発声するものとす。
第二条
発声にあたってはその音頭をとる者は気力充実態度厳正を心掛けるべし、また唱和する者は全員その心を一にして声高らかに唱和するものとす。
第三条
唱和要領の細部については捌に定む
朕萬歳三唱令を裁可し之を公布せしむ 此布告は明治十二年四月一臼より施行すへきことを命す
萬歳三唱令の細部案施要領
一 萬歳三喝の実施にあたっての基本姿勢は直立不動の姿勢なり この際両手を真っ直く 下方に伸はし体側にしっかり替けるものとす
二 万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を垂直に高々と挙げるべし この際両手指が真っ直ぐに伸びかつ両掌を正しく内側に向けておくことが肝要なり
三 万歳の発声終了と同時に素早く元の不動の姿勢に涙るへし
四 .以上の動作を両三度繰り返して行うへし いすれの動作をとるにあたっても節度を持しかつ気迫を込めて行うことか肝要なり
要するに、いい加減に両手を上げて「バンザ~ィ」などとやるのではなく、直立不動の姿勢から右足を半歩踏み出し、両手の平を内側に向けて耳の横で真上に真っ直ぐ伸ばし、全員が心を一つにして声高く「万歳」を唱和するという動作を節度と気迫を持って3回繰り返すというものです。
これを読まれた皆様は、今後、いい加減な気持ちで万歳三唱など出来なくなるはずです。三唱をする際には、この太政官布告を思い出して、心してご発声をお願いいたします。何せ、国が定めた規則があるのですから。
かつて、幹部候補生学校を卒業して任官し、3年ほど初任幹部としていろいろな船に乗組んで様々な経験を積んだ後、初めて海上幕僚監部のスタッフとして東京に着任して夜遅くまで勤務していた頃、先輩のスタッフから「オイ若いの、候補生学校でしっかりと万歳のやり方を習ってきたか?」と言われ、この太政官布告について教えられました。
それまでの艦隊勤務とは全く異なる役人の仕事をさせられて戸惑うことばかりだった私は、この太政官布告を見て、国の官僚機構というのはほんとにとんでもない組織だなぁと感心したのを覚えています。
騙されていたと知ったのは、数年後、2回目の海幕勤務を命ぜられて東京へ戻った時でした。
さすがにお役所仕事にも慣れ、どうもこの太政官布告の胡散臭さが気になっていました。施行日と布告番号はあるのに布告日の記載がないのが変だなと思ったのと、各省庁の役人も知っているにもかかわらず、その文言が微妙に異なるのが気になったのです。
海幕勤務では月曜日に出勤して金曜日に帰宅するというような勤務が別に珍しくないのですが、ある夜、例によって夜遅くオフィスで仕事をしていて一段落がついた時、思いついたことがあって、この太政官布告を調べ始めました。どうせ終電に間に合わないので、その日も泊まるつもりでいたのでしょう。
そこで分かったのは、この太政官布告は存在しないということでした。
どこの省の誰が作ったのか分かりませんが、このころ霞が関を中心とした官庁街で出回っていた怪文書らしく、法令データベースに登録されていないのです。
中央官庁の役人は深夜まで勤務していることが珍しくありません。国会会期中は大臣の答弁資料を作らなければならず、質問する議員が趣意書を前日までに国会に送付してくるのですが、これが前日の夜11時などということが珍しくなく、それから担当省庁に振り分けられ、各省で調整しながら答弁資料を作るので、どうしても深夜になるのです。
昼間は会議やかかってくる電話が多くて、まとまった作業をしようとすると夜にならざるを得ないという事情もあります。
多分、そのような勤務をしていたどこかの省の役人が、忙中に閑を見つけて、茶目っ気を出して書き上げたものかと推測されます。
しかし、役人らしいもっともらしい書かれ方がされており、かなり頭のいい奴が書いたんだろうなぁと感心したりしていました。明治のお役所の文書の特徴が凝縮したような書きぶりだからです。
皆様も、役職やお立場によって宴会などで「万歳のご発声をお願いします。」などと頼まれることがあるかと思います。その際に、この「万歳三唱令」について解説してから万歳を行うと、結構面白い「万歳三唱」になります。本当に信じ込んでお帰りになる方もいらっしゃるので可笑しくて仕方ありません。罪のない嘘なので、目くじら立てて怒られることもなく、私は大抵ほったらかしにしておきますので、いまだに信じている方もいらっしゃるかと思います。
騙されたと知った私はどうしたでしょうか?
当然のことながら、その頃、最初の艦隊勤務を卒業して海幕勤務を命ぜられて着任してきた後輩にしっかりと教えてやりました。
「オイ新人、候補生学校でちゃんと万歳のやり方は習ってきたんだろうな?」
「受けた教えはしっかりと後輩に申し継ぐ」 これが伝統を大切にする組織のやり方です。
以上です。少しはお役に立ちましたか?当メールマガジンの本領発揮です。
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お勧めのコラム
組織の中に次世代のリーダーを育てる仕組みを作ることの重要性を主張しているのは
当コラムだけではありません。アクティブメンタルという概念を中心に活気ある組織を
作ることを提唱しているコンサルティングファームであり、弊社のコンサルティングが
カバーしていないメンタルヘルスの問題を扱っている株式会社ココティアコンサルティ
ングというコンサルティングファームもその一つです。代表の高橋雅美さんはご自分の
経験をもとに独自のコンサルティング手法を編み出し、強靭な組織づくりのアドバイス
をしています。メンタルヘルスで悩みを抱えておられる経営者の方々には大変参考にな
るコラムを掲載されていますので、ご一読をお勧めします。
https://cocotia.co.jp/category/column
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第190回 職務への忠誠
前回、当コラムで検察庁法の改正案について触れました。
現政権は節操のないことに世論の高まりを見て恐れをなして早々に撤回してしまいましたが、大きな議論を呼びました。
前回のコラムの中では検察庁法の改正について賛成とも反対とも申し上げていません。ただ、この問題を巡るネットや報道のあり方、論点に違和感があるということを申し上げたにすぎません。
何故違和感があるのでしょうか。
もちろん、三権分立の観点から法務大臣や内閣が検察官の人事に介入するのはおかしいという議論に違和感をもっているわけではありません。この議論は明確な誤りです。検察官は行政官であって、行政規律に服さねばなりません。したがって、この程度の認識の反対論については議論する気にもなりません。
続きはこちらからどうぞ。
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内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
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毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
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レナウンが会社更生法の適用申請をしたのにはビックリでした。1960年代、週末に楽しみにしていたいくつかアメリカのドラマのスポンサーとして「レナウンガールズ」を覚えている方も多いかと存じますが、そのような企業ですら致命傷を負わされる事態なのだということが分かります。
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このような際、公務員は凄まじい業務をしなければなりません。厚労省の防疫担当、あるいは労働行政担当、経済産業省、さらには財務省などにはここ数か月ほとんど帰宅していない職員もいるでしょうし、その他の省庁でも年度業務計画の見直しに次ぐ見直しで火を噴いているはずです。よく公務員の過労死が出ないなと感心する次第です。メンタルダウンの職員は相当出ているはずです。
ということで、公務員の皆さんにはご苦労様と申し上げる一方、国家公務員の質的低下を憂う事態も生じていることにも言及しなければなりません。
イージスアショアの配備地として防衛省が考えていた秋田市内の自衛隊演習場を事実上断念し、あらたに秋田県内で候補地を探すことになったとの報道がありました。
これは候補地選定の過程で、その調査があまりにもずさんであったことから批判が高まり、その地元説明会で防衛省側の職員が皆の前で居眠りをするというだらしなさで収まりがつかなくなったことに起因するものです。
調査がずさんというのも、候補地選定の立地条件の確認にGoogleEarthを使うという信じられない手抜き調査で得たデータを使用したことによるものです。担当者が自分の机の上のPCで簡単に算出したのでしょう。
国には国土地理院と言う機関があります。ここに測量結果の計算を依頼すべきだったのですが、担当者はその手数を嫌ったのか、あるいはそうすればいいということを知らなかったかのどちらかでしょう。
私は仕事上、いくつかの省庁の公務員とお付き合いをしなければならないのですが、若い人たちは極めて優秀なのですが、しかし一方で仕事のやり方を教えられていないのではないかと思うことがあります。調整の仕方などがあまりにも杜撰なのです。つまり、今の各省庁の局長、課長級の幹部の指導力が低下しているのではないかと思うのです。
コロナ騒ぎが起こる前のことですが、ある若い官僚と話をしていてびっくりしたことがあります。驚いたことに、彼は「万歳三唱」の仕方が国の規則で決まっていることを知らないというのです。入省した時に誰も教えてくれなかったのかと訊くと、教わっていないのだそうです。
最近はそんなことも教えないのかとびっくりした次第です。
実はこの「万歳三唱」の方法に関する規則については、すでにこのメールマガジンで解説しておりますのでご記憶の方もいらっしゃるとは存じますが、途中から読んでおられる方も多々いらっしゃいますので、ここで再配信させていただきます。
世の中どこを向いても「コロナ」の話題ばかりですので、この機会に万歳三唱に関する規則でも勉強されて、雑学的知識を増やして頂ければ幸いです。
この記事は2017年の7月14日に配信したものです。
No.033 万歳の正しい作法
私は公務員生活を30年ほど経験しています。海の上にいることもありましたが、不幸なことに東京の防衛省での役人暮らしが多かったように思います。
中央にいると、他省庁の役人と業務調整をすることがよくあります。各省庁ごとにいろいろなカラーがあって面白いのですが、それもそれぞれの省庁が背負っている歴史によるところが大きいようです。
防衛省などは戦後にできた役所ですので、あまり古いものは引き摺っていないのですが、財務省や外務省、あるいは当時の運輸省などの役人と話していると面白いことがあります。
「この根拠は何ですか?」と訊くと、「太政官布告第○○号です。」などと答えが返ってくることがあって、慣れるまではびっくりしていました。
宮内庁などは2000年くらいの歴史を引き摺っていますので、内部ではもっととんでもない会話が飛び交っているのではないかと推測しています。
国の法律や規則などは、改正されたり廃止されたりしなければそのまま効力を持ち続けるので、現在も生きている太政官布告があるのです。
例えば、日本の国旗は、平成11年に「国旗及び国歌に関する法律」が施行されるまでは、明治3年に太政官布告として定められた商船規則に商船に掲げる旗として規定されていたのが日章旗を国旗とする根拠でした。
平成11年まで、太政官布告を根拠として日章旗を国旗としていたのです。
私たち日本人は、何かお目出度いことがあったり、誰かを激励したりする際に「万歳」をよく行います。日常では何気なく誰かが音頭を取って万歳三唱をしていますが、実はこの万歳のやり方については規則があるのをご存知でしょうか。
明治12年4月1日、太政官布告第168号の「萬歳三唱令」及び「萬歳三唱令の細部実施要領」によって、万歳のやり方が規定されています。
次のとおりです。
萬歳三唱令.施行明治十二年四月一日
太政宮布告第百六十八号-
第一条
萬歳三唱は大日本帝国及ぴ帝国臣民の天壌無窮の発展を祈念し発声するものとす。
第二条
発声にあたってはその音頭をとる者は気力充実態度厳正を心掛けるべし、また唱和する者は全員その心を一にして声高らかに唱和するものとす。
第三条
唱和要領の細部については捌に定む
朕萬歳三唱令を裁可し之を公布せしむ 此布告は明治十二年四月一臼より施行すへきことを命す
萬歳三唱令の細部案施要領
一 萬歳三喝の実施にあたっての基本姿勢は直立不動の姿勢なり この際両手を真っ直く 下方に伸はし体側にしっかり替けるものとす
二 万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し同時に両腕を垂直に高々と挙げるべし この際両手指が真っ直ぐに伸びかつ両掌を正しく内側に向けておくことが肝要なり
三 万歳の発声終了と同時に素早く元の不動の姿勢に涙るへし
四 .以上の動作を両三度繰り返して行うへし いすれの動作をとるにあたっても節度を持しかつ気迫を込めて行うことか肝要なり
要するに、いい加減に両手を上げて「バンザ~ィ」などとやるのではなく、直立不動の姿勢から右足を半歩踏み出し、両手の平を内側に向けて耳の横で真上に真っ直ぐ伸ばし、全員が心を一つにして声高く「万歳」を唱和するという動作を節度と気迫を持って3回繰り返すというものです。
これを読まれた皆様は、今後、いい加減な気持ちで万歳三唱など出来なくなるはずです。三唱をする際には、この太政官布告を思い出して、心してご発声をお願いいたします。何せ、国が定めた規則があるのですから。
かつて、幹部候補生学校を卒業して任官し、3年ほど初任幹部としていろいろな船に乗組んで様々な経験を積んだ後、初めて海上幕僚監部のスタッフとして東京に着任して夜遅くまで勤務していた頃、先輩のスタッフから「オイ若いの、候補生学校でしっかりと万歳のやり方を習ってきたか?」と言われ、この太政官布告について教えられました。
それまでの艦隊勤務とは全く異なる役人の仕事をさせられて戸惑うことばかりだった私は、この太政官布告を見て、国の官僚機構というのはほんとにとんでもない組織だなぁと感心したのを覚えています。
騙されていたと知ったのは、数年後、2回目の海幕勤務を命ぜられて東京へ戻った時でした。
さすがにお役所仕事にも慣れ、どうもこの太政官布告の胡散臭さが気になっていました。施行日と布告番号はあるのに布告日の記載がないのが変だなと思ったのと、各省庁の役人も知っているにもかかわらず、その文言が微妙に異なるのが気になったのです。
海幕勤務では月曜日に出勤して金曜日に帰宅するというような勤務が別に珍しくないのですが、ある夜、例によって夜遅くオフィスで仕事をしていて一段落がついた時、思いついたことがあって、この太政官布告を調べ始めました。どうせ終電に間に合わないので、その日も泊まるつもりでいたのでしょう。
そこで分かったのは、この太政官布告は存在しないということでした。
どこの省の誰が作ったのか分かりませんが、このころ霞が関を中心とした官庁街で出回っていた怪文書らしく、法令データベースに登録されていないのです。
中央官庁の役人は深夜まで勤務していることが珍しくありません。国会会期中は大臣の答弁資料を作らなければならず、質問する議員が趣意書を前日までに国会に送付してくるのですが、これが前日の夜11時などということが珍しくなく、それから担当省庁に振り分けられ、各省で調整しながら答弁資料を作るので、どうしても深夜になるのです。
昼間は会議やかかってくる電話が多くて、まとまった作業をしようとすると夜にならざるを得ないという事情もあります。
多分、そのような勤務をしていたどこかの省の役人が、忙中に閑を見つけて、茶目っ気を出して書き上げたものかと推測されます。
しかし、役人らしいもっともらしい書かれ方がされており、かなり頭のいい奴が書いたんだろうなぁと感心したりしていました。明治のお役所の文書の特徴が凝縮したような書きぶりだからです。
皆様も、役職やお立場によって宴会などで「万歳のご発声をお願いします。」などと頼まれることがあるかと思います。その際に、この「万歳三唱令」について解説してから万歳を行うと、結構面白い「万歳三唱」になります。本当に信じ込んでお帰りになる方もいらっしゃるので可笑しくて仕方ありません。罪のない嘘なので、目くじら立てて怒られることもなく、私は大抵ほったらかしにしておきますので、いまだに信じている方もいらっしゃるかと思います。
騙されたと知った私はどうしたでしょうか?
当然のことながら、その頃、最初の艦隊勤務を卒業して海幕勤務を命ぜられて着任してきた後輩にしっかりと教えてやりました。
「オイ新人、候補生学校でちゃんと万歳のやり方は習ってきたんだろうな?」
「受けた教えはしっかりと後輩に申し継ぐ」 これが伝統を大切にする組織のやり方です。
以上です。少しはお役に立ちましたか?当メールマガジンの本領発揮です。
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組織の中に次世代のリーダーを育てる仕組みを作ることの重要性を主張しているのは
当コラムだけではありません。アクティブメンタルという概念を中心に活気ある組織を
作ることを提唱しているコンサルティングファームであり、弊社のコンサルティングが
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第190回 職務への忠誠
前回、当コラムで検察庁法の改正案について触れました。
現政権は節操のないことに世論の高まりを見て恐れをなして早々に撤回してしまいましたが、大きな議論を呼びました。
前回のコラムの中では検察庁法の改正について賛成とも反対とも申し上げていません。ただ、この問題を巡るネットや報道のあり方、論点に違和感があるということを申し上げたにすぎません。
何故違和感があるのでしょうか。
もちろん、三権分立の観点から法務大臣や内閣が検察官の人事に介入するのはおかしいという議論に違和感をもっているわけではありません。この議論は明確な誤りです。検察官は行政官であって、行政規律に服さねばなりません。したがって、この程度の認識の反対論については議論する気にもなりません。
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