指揮官の休日 No.109 No.9
2018/12/28 (Fri) 06:30
XXXX 様
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指揮官の休日
――コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日――
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危機管理に挑む経営者の皆様に贈るメールマガジンです。
当社コラム「指揮官の決断」の更新のお知らせ、当社セミナー情報はもちろん、危機管理の参考となる図書、是非参加をお薦めする他社主催のセミナーなどの情報をお届けして参ります。
あわせて、常時厳しい緊張状態を強いられている経営者の皆様にちょっと一息ついて頂けるような話題を選んでお送りします。「コーヒーで始まり、ドライマティーニで締めくくる心豊かな一日」というサブタイトルも、日頃すさまじいストレスにさらされながらも頑張っている経営者の皆様に、たまにはそんな日がありますようにという想いを込めています。
途中からお読みの方は、お時間のあるときに是非バックナンバーをお読みください。
ワンクリックでバックナンバーを読んで頂けます。
https://q.bmv.jp/bm/p/bn/list.php?i=aegismm&no=all
専門コラム「指揮官の決断」は、No.117 ミニボートがこうなるのは分かっていただろう を掲載いたしました。
ミニボートの事故が頻発しています。この原因と対策について考えています。
詳しくは、https://aegis-cms.co.jp/1377 をご覧ください。
No.109 No.9
最近、私の周りに「9」という数字がやけに目につくので、何だろうと思って考えていました。そこで今回はその「9」についてです。
No.9と聞いて思い浮かべるものは人それぞれかと思います。
ゴルフの好きな方は9番ホールを回るとお昼ごはん、ビールを飲んで・・・などと思い浮かべられることでしょう。
私がゴルフを覚えたのは若い頃の米国駐在勤務の時で、3年前まで米国法人の取締役としてカリフォルニアにいた際に扱っていた商品はゴルフのクラブ用のシャフトでした。
私にとってはゴルフは米国と紐づいているので、私には9番を回ったところでお昼という発想がありません。彼の地のゴルフはスルーなのです。
したがって、私は9番と聞いてもゴルフは思い浮かべません。
この季節ですとベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調を思い浮かべる方も多いかと思います。
ベートーヴェンがシラーの詩に感銘を受け、当時の交響曲として異例の合唱の付いた交響曲として仕上げた時、彼はすでに聴力を完全に失っており、初演を指揮した際、演奏が終わって聴衆がスタンディングオペレーションで拍手をしているのに気が付かず、コンサートマスターに促されて観客席を振り返って戸惑ったような表情を浮かべたと言われています。
私のような素人には、どうやって耳の聴こえない人がこんなすごい曲を書けるのか、全く理解に苦しみますが、この時期、彼は「ミサ・ソレムニス」という大作もものしています。
しかし私にとっての交響曲第9番は実はベートーヴェンではありません。
私にとっては同じ交響曲第9番ニ短調でも、ブルックナーなのです。
私が小さい頃、正月に年賀状を仕分けするのは私の役目でした。
父宛にくる年賀状の中に「朝比奈隆」さんという方からの年賀状があるのを小さい頃から知っていました。
そして全寮制の高校生時代、ある機会があってN響の演奏会のチケットを手に入れた私は、生まれて初めてのクラッシックの演奏会に緊張して出かけました。
たしか、休みの日だったにもかかわらず高校の制服を着て出かけたのを覚えています。
その時にNHK交響楽団が演奏したのがブルックナーの交響曲第9番で、指揮は朝比奈隆氏でした。
私は初めて聞いた管弦楽団の交響曲に度肝を抜かれました。
それまで中学・高校で音楽系のサークルに所属し、バンド活動などをやっていた私はフォークソングやカントリー&ウェスタン、あるいはジャズなどを聴くことはありましたが、クラシックを真剣に聴くことはあまりありませんでした。
祖父が音楽家だったため、やはりクラシックが好きだった父の影響でバイオリンやピアノなどを幼少時に習わされてはいたのですが、あまり好きではなかったようです。
それが初めて聴いたプロの交響楽団の演奏による交響曲の壮大さ、構成の複雑さと巧みさに呆気にとられたのでした。
放心状態で家に帰った私は父に「今日、上野の文化会館でN響のブルックナーの9番を聴いてきた。凄かった。指揮をしていたのはオヤジのところによく年賀状を寄越す朝比奈さんと同じ名前の朝比奈隆という人だった。」と報告しました。
父はニヤッと笑うと「凄いのは当たり前だ。朝比奈さんはブルックナーの世界的権威だ。しかも同じ名前の人じゃなく、同じ人だ。」と言ってのけたのです。
ここで私は再度度肝を抜かれました。
何でそんなすごい人がオヤジに毎年年賀状など寄越すのだろう?
私の祖父は陸軍軍楽隊出身の音楽家でした。
大阪の第4師団軍楽隊で演奏活動をしていたのですが、陸軍がヨーロッパに送った留学生として彼はイギリスでクラリネットの勉強をして帰ってきていました。
軍縮で各師団が持っていた軍楽隊を整理統合する際、祖父は陸軍外山学校軍楽隊に戻ってくるように言われたのですが、大阪で解雇される軍楽隊員の面倒を見なければと親分肌を発揮し、宝塚音楽団に頼めるだけの団員を採用してもらい、残った団員を率いて吹奏楽団を作りました。そして陸軍と大阪市に維持費を援助してくれるように申し入れ、日本初の自治体の持つ楽団となりました。
この吹奏楽団は大阪市音楽団として大阪市民に親しまれてきましたが、大阪市の行政改革により市の経営ではなくなり社団法人となりました。現在はオオサカ・シオン・ウィンドオーケストラというフランス語のような名前を名乗っていますが、このシオンは市音として親しまれた名前を残しているのです。
この吹奏楽団は実に90年の歴史を誇っていますが、この初代団長が私の祖父でした。
当時、民間では随一の実力を持つ吹奏楽団で、昭和天皇の誕生の際にはNHK大阪放送局に泊まり込みで待機し、ご誕生のニュースを流す際の君が代演奏を担当したのだそうです。
一方、朝比奈隆さんは京都大学に在学し、大学の音楽部で音楽活動をしていたのですが、大阪にあった大阪市音楽団にも頻繁に出入りしていたようです。
祖父としても大阪市音楽団は吹奏楽団なので演奏できるレパートリーを増やすためには京大音楽部の弦楽奏者の参加がある方がいいので、彼らの出入りを歓迎していたようです。
当時祖父にそのような形で可愛がられた方は朝比奈隆さんだけではなく、後にN饗の常任指揮者となった森正さんなどもいらっしゃいます。
朝比奈隆さんが祖父の家に出入りしていたため、父は彼を兄のように慕って、哲学や音楽の話を聞くのが楽しみだったのだそうです。
その縁で毎年年賀状が届いていたのですが、それを知らなかった私には青天の霹靂でした。
いずれにせよ、その日、古典音楽に目覚めてしまった私は、ブルックナーを聴きまくることになります。
当時、自分の部屋に何とかステレオを手に入れてはいたのですが(当時のステレオセットはデカかったですね。)、レコードを潤沢に買う小遣いなどは持ち合わせていません。
寮生活をしたり、クラブ活動とサークル活動の両方が必修でしたのでアルバイトなどをしている時間もありませんでした。
私は何とかしてカセットテープレコーダーを手に入れ、FM放送のエアチェックでいろいろな曲を貯め込んでいきました。
幸いなことに当時はFMがまだ現在のように通俗に堕していなかったため、クラシックにしてもジャズにしても、しっかりとした解説があり、体系的な選曲が行われていたので勉強にはとてもいい状況でした。
とにかくそのような事情があって、私にとっての9番はブルックナーでした。
さらに私にとってはNo.9という数字はもう一つ、若干重要な意味を持っています。
我が家の司令長官のお召し物のサイズが9号なのです。
時々プレゼントや土産に着るものを買う際には9号を基準に見繕っています。
これを誤ると危機管理上の事態を惹起しかねないので、私の手帳には必ず毎年このサイズが転記されます。
ちなみに司令長官はサイズ的にはまだ成人式の頃のものを着ることができるそうで、毎年ベルトの穴を一つずつ増やしている私にとってはうらやましい限りです。
いずれにせよ「9」という数字がもつ意味は人によって様々なのだろうと思います。
この1年間、飽きもせずにこのどうでもいいことばかり呟いてきたメールマガジンを読んで頂き、感謝申し上げます。
お陰様でこのメールマガジンも100号を超えました。
始めた当初は、専門コラムとメールマガジンを別のテーマで毎週出すというのは自殺行為だからやめておけと散々言われたものでしたが、皆様の励ましを頂き、何とか100回に渡り綴ってくることができました。
新しい年はさらにどうでもいい内容をパワーアップさせて勝手気ままに呟いてまいります。
ただ、皆様にお願い申し上げたいことがあります。
このメールマガジンは、あくまでも私がウェブサイトに掲載している専門コラム「指揮官の決断」の更新をお知らせするために配信しているのであって、単独の読み物ではありません。
専門コラムの方はこのメールマガジンのようにどうでもいいことばかり書いているわけではなく、危機管理についてかなり力を入れて書いています。
本来危機管理に関する読み物はあまり面白いものではありません。物騒で、あまり想像したくない事態についての内容がほとんどなのでそうならざるを得ないのです。
しかし、危機管理というのは専門家が行うものではなく、私たち一人一人が覚悟を持って当たらならければならないものです。にもかかわらず理解するのが難しく面倒な内容のものになっているのが問題なのです。
そこで私は毎回様々な事例を用いて、この面倒で難解な内容を分かりやすく解説しています。
いろいろな危機管理のコラムを読みますが、これだけ体系的にかつ幅広く、さらには危機管理の本質に渡る内容について綴っているものを他に見ることがありません。
危機管理に関しては第一級の読み物になっていると自負しています。
どうかこの専門コラムをしっかりと読んで頂きたいと思います。
来る年が皆様にとって健康で実り多い年になりますようお祈り申し上げます。
よいお年をお迎えください。
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是非Facebookページをご訪問ください。
Twitterでも時々、折に触れて気が付いたことを呟いています。
https://twitter.com/CaptainHayashi です。
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専門コラム「指揮官の決断」掲載のご案内
No.117 ミニボートがこうなるのは分かっていただろう
海上保安庁がTwitterでとんでもないことを呟きました。
曰く
【ミニボートが風で帰れない】
故障等で機関が使用できないミニボートでは、風が強いと船体が流され、オールを漕いでも思った方向への移動が困難になります。風が強い(風速4m/s以上)の場合、ミニボートでの航行は危険ですので、出航を止めましょう。
写真がそのミニボートです。
こうなることを海上保安庁は知っていたはずです。
続きはこちらからお読みください。
https://aegis-cms.co.jp/1377
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『事業大躍進に挑む経営者のための「クライシスマネジメント」』
林 祐 著
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教育訓練の受託を開始いたしました。
ご要望の多い教育訓練について、専門のスタッフを揃え、新たに教育訓練部門を開設いたしました。
内容について順次ご紹介して参りますが、弊社Webをご覧頂ければ概要をご理解頂けます。
こちらをどうぞ
https://aegis-cms.co.jp
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コンサルティングのご案内 当社では5種類のコンサルティングを行っています。
1 ACMS導入コンサルティング
イージスクライシスマネジメントシステムを導入するためのコンサルティングです。
全6回のコンサルティングで導入できるようパッケージ化されたシステムの導入支援を行います。
当社開催の戦略セミナーをあらかじめ受講し、コンサルティングの内容等にご理解を頂くことが前提
となっております。
2 スポットコンサルティング
何が問題で、どうコンサルティングを受ければいいのかわからない、自社にシステムを導入できるの
かどうかわからない、などのご相談はスポットコンサルティングをご利用ください。
3 プレコンサルティング
当社のコンサルティングの考え方をWeb等で理解されて導入を決めている方、一刻も早く導入をしたい
と考えている方には、このプレコンサルティングをお薦めします。
導入コンサルティングの第1回で行う内容を含んでおり、コンサルティングの概要及び必要な準備作業等
について、関係者全員が揃って受講できるため、理解を共有でき、導入が容易になります。
プレコンサルティングに引き続き導入コンサルティングを契約される際には、プレコンサルティング料金
は全額返金させていただきますので、費用が無駄になりません。
4 テーラード・コンサルティング
危機管理組織はすでに構築しているが指揮所演習について指導してもらいたい、中間管理層に活気がな
いので彼らに強力なリーダーとなってもらいたい、プロトコールに自信を持てるようになりたい、などのご
要望には、個別に対応させて頂きます。
5 指揮所演習コンサルティング
トップと主要スタッフだけで行うことのできるようにコンパクトに設計された図上演習です。
危機管理の先頭に立つスタッフを育てるために最適な手法として注目されています。
お気軽にご相談ください。
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図上演習コンサルティングのご案内
多数のご要望にお応えするため、図上演習に特化したコンサルティングを開始いたしました。
企業や公共放送機関での指導実績豊かなコンサルタントが各企業の実態に合わせた図上演習の運営
要領を確立します。
弊社では、図上演習を独自に企画・運営できるようになることを目標としたコンサルティングを行
っています。
毎回、図上演習の度にコンサルタントを呼ぶのではなく、自社のみで計画できる実力をつけて頂き
ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://aegis-cms.co.jp/cpx
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代表取締役 林 祐
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No.109 No.9
最近、私の周りに「9」という数字がやけに目につくので、何だろうと思って考えていました。そこで今回はその「9」についてです。
No.9と聞いて思い浮かべるものは人それぞれかと思います。
ゴルフの好きな方は9番ホールを回るとお昼ごはん、ビールを飲んで・・・などと思い浮かべられることでしょう。
私がゴルフを覚えたのは若い頃の米国駐在勤務の時で、3年前まで米国法人の取締役としてカリフォルニアにいた際に扱っていた商品はゴルフのクラブ用のシャフトでした。
私にとってはゴルフは米国と紐づいているので、私には9番を回ったところでお昼という発想がありません。彼の地のゴルフはスルーなのです。
したがって、私は9番と聞いてもゴルフは思い浮かべません。
この季節ですとベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調を思い浮かべる方も多いかと思います。
ベートーヴェンがシラーの詩に感銘を受け、当時の交響曲として異例の合唱の付いた交響曲として仕上げた時、彼はすでに聴力を完全に失っており、初演を指揮した際、演奏が終わって聴衆がスタンディングオペレーションで拍手をしているのに気が付かず、コンサートマスターに促されて観客席を振り返って戸惑ったような表情を浮かべたと言われています。
私のような素人には、どうやって耳の聴こえない人がこんなすごい曲を書けるのか、全く理解に苦しみますが、この時期、彼は「ミサ・ソレムニス」という大作もものしています。
しかし私にとっての交響曲第9番は実はベートーヴェンではありません。
私にとっては同じ交響曲第9番ニ短調でも、ブルックナーなのです。
私が小さい頃、正月に年賀状を仕分けするのは私の役目でした。
父宛にくる年賀状の中に「朝比奈隆」さんという方からの年賀状があるのを小さい頃から知っていました。
そして全寮制の高校生時代、ある機会があってN響の演奏会のチケットを手に入れた私は、生まれて初めてのクラッシックの演奏会に緊張して出かけました。
たしか、休みの日だったにもかかわらず高校の制服を着て出かけたのを覚えています。
その時にNHK交響楽団が演奏したのがブルックナーの交響曲第9番で、指揮は朝比奈隆氏でした。
私は初めて聞いた管弦楽団の交響曲に度肝を抜かれました。
それまで中学・高校で音楽系のサークルに所属し、バンド活動などをやっていた私はフォークソングやカントリー&ウェスタン、あるいはジャズなどを聴くことはありましたが、クラシックを真剣に聴くことはあまりありませんでした。
祖父が音楽家だったため、やはりクラシックが好きだった父の影響でバイオリンやピアノなどを幼少時に習わされてはいたのですが、あまり好きではなかったようです。
それが初めて聴いたプロの交響楽団の演奏による交響曲の壮大さ、構成の複雑さと巧みさに呆気にとられたのでした。
放心状態で家に帰った私は父に「今日、上野の文化会館でN響のブルックナーの9番を聴いてきた。凄かった。指揮をしていたのはオヤジのところによく年賀状を寄越す朝比奈さんと同じ名前の朝比奈隆という人だった。」と報告しました。
父はニヤッと笑うと「凄いのは当たり前だ。朝比奈さんはブルックナーの世界的権威だ。しかも同じ名前の人じゃなく、同じ人だ。」と言ってのけたのです。
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大阪の第4師団軍楽隊で演奏活動をしていたのですが、陸軍がヨーロッパに送った留学生として彼はイギリスでクラリネットの勉強をして帰ってきていました。
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この吹奏楽団は大阪市音楽団として大阪市民に親しまれてきましたが、大阪市の行政改革により市の経営ではなくなり社団法人となりました。現在はオオサカ・シオン・ウィンドオーケストラというフランス語のような名前を名乗っていますが、このシオンは市音として親しまれた名前を残しているのです。
この吹奏楽団は実に90年の歴史を誇っていますが、この初代団長が私の祖父でした。
当時、民間では随一の実力を持つ吹奏楽団で、昭和天皇の誕生の際にはNHK大阪放送局に泊まり込みで待機し、ご誕生のニュースを流す際の君が代演奏を担当したのだそうです。
一方、朝比奈隆さんは京都大学に在学し、大学の音楽部で音楽活動をしていたのですが、大阪にあった大阪市音楽団にも頻繁に出入りしていたようです。
祖父としても大阪市音楽団は吹奏楽団なので演奏できるレパートリーを増やすためには京大音楽部の弦楽奏者の参加がある方がいいので、彼らの出入りを歓迎していたようです。
当時祖父にそのような形で可愛がられた方は朝比奈隆さんだけではなく、後にN饗の常任指揮者となった森正さんなどもいらっしゃいます。
朝比奈隆さんが祖父の家に出入りしていたため、父は彼を兄のように慕って、哲学や音楽の話を聞くのが楽しみだったのだそうです。
その縁で毎年年賀状が届いていたのですが、それを知らなかった私には青天の霹靂でした。
いずれにせよ、その日、古典音楽に目覚めてしまった私は、ブルックナーを聴きまくることになります。
当時、自分の部屋に何とかステレオを手に入れてはいたのですが(当時のステレオセットはデカかったですね。)、レコードを潤沢に買う小遣いなどは持ち合わせていません。
寮生活をしたり、クラブ活動とサークル活動の両方が必修でしたのでアルバイトなどをしている時間もありませんでした。
私は何とかしてカセットテープレコーダーを手に入れ、FM放送のエアチェックでいろいろな曲を貯め込んでいきました。
幸いなことに当時はFMがまだ現在のように通俗に堕していなかったため、クラシックにしてもジャズにしても、しっかりとした解説があり、体系的な選曲が行われていたので勉強にはとてもいい状況でした。
とにかくそのような事情があって、私にとっての9番はブルックナーでした。
さらに私にとってはNo.9という数字はもう一つ、若干重要な意味を持っています。
我が家の司令長官のお召し物のサイズが9号なのです。
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そこで私は毎回様々な事例を用いて、この面倒で難解な内容を分かりやすく解説しています。
いろいろな危機管理のコラムを読みますが、これだけ体系的にかつ幅広く、さらには危機管理の本質に渡る内容について綴っているものを他に見ることがありません。
危機管理に関しては第一級の読み物になっていると自負しています。
どうかこの専門コラムをしっかりと読んで頂きたいと思います。
来る年が皆様にとって健康で実り多い年になりますようお祈り申し上げます。
よいお年をお迎えください。
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1 ACMS導入コンサルティング
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